大草直子さん
(ファッションエディター・スタイリスト)
「プロジェクトの打ち上げでは、必ずシャンパーニュが登場します」と話す人気スタイリスト兼ファッションエディターの大草直子さん。1本のシャンパーニュをみんなでシェアし、同じ香りや味わい、舌触りを共有するひとときが大好きなのだそうです。そんな大草さんが魅了されたルイ・ロデレールのシャンパーニュとは…?大草さんのすてきなワインライフと共に聞いてみました。
ワインが大好きで、様々なシーンで日常的に楽しまれているとのことですが、大草さんはどのようにしてワイン好きになられたのでしょうか。
「両親がワイン好きで、よくワインを楽しんでいる一家でした。そんなに高いワインではなかったと思うんですが、クリスマスにはケーキとワインが必ずあるというかんじで。そのとき私は子どもでまだお酒が飲めなかったのですが、ワインって、楽しくて、場を盛り上げてくれ、記憶に残っていく飲みものなんだな、っていうイメージが自分の中に積み重なっていきました。
私が結婚してからも、両親とご飯を食べるときには必ずワイン。その場と、ワインの味わい、香りも含めた“アトモスフェア”をそこにいるみんなでシェアする一体感というんでしょうか。1本のボトルをみんなで分けていく、そのシェア感がすごくすてきだなあって思っていました。
プロジェクトの打ち上げでは必ずシャンパーニュを選びます。1本のシャンパーニュをみんなでシェアしながら、「おつかれさま」と言うのは、すごく大事なことだと思っています。ポンと栓を抜く音、立ち昇る泡、美しいエチケットそうしたシャンパーニュが持つ華やかさも含めて、大切な人とのシェアする時間を作るようにしています。」
ルイ・ロデレールが大好きと公言されている大草さん。そのなかでも特に好きだという銘柄についてお話いただきました。
「誕生日プレゼントとしてルイ・ロデレールの『ブリュット・ナチュール・ブラン フィリップ・スタルク』をいただいたのですが、度肝を抜かれるくらい美味しいなと思いました。
ボックスを含めてスペシャル感もあるため、自分の本当に記念すべき日だったり、特別な方のお祝いなどに買うようにしています。
視認性の高さというのでしょうか、このシャンパーニュはやはりボックスと、フランスのデザイナー、フィリップ・スタルクとのストーリーがあることですごく覚えていて。
“ノン・ドサージュ”(糖分を添加せず、ブドウ本来の味わいを生かして仕上げられた極辛口のワイン)がどういうものなのか、補糖しないとはどのような味で、どういうことを意味するのか、それが『ブリュット・ナチュール・ブラン フィリップ・スタルク』を飲んでピタッと理解できたんですね。
軽やかさがあって、自宅でいろいろとお料理を楽しむときに、最初に飲むのにぴったりなシャンパーニュです。」
今、大草さんのなかでも特にワクワクする仕事と話すのが、日本各地の作り手との取り組み。素材の大切さは、洋服にもシャンパーニュにも共通すると気づいたとか。
「日本にはすばらしい生地や織物の産地があり、山形県の米沢や愛知県北西部の尾州、ほかにも和歌山や山梨などにけっこう行かせていただいています。
米沢のジャガード織は海外の一流メゾンがわざわざ買い付けにくるほど。日本がもっと誇ってよいものなのですが、誠実で堅実なものづくりをしている方たちになかなか陽の目が当たっていません。
海外からも高く評価される尾州織物のなかでも、大草さんはツイード生地に注目。デッドストックのツイード生地を今に蘇らせるコラボレーション企画では、生地を選びに尾張一宮へ足を運んだそうです。
お洋服ってフォルムやデザインに注目がいきがちですが、実は素材がないと何もできない。そこを自分で勉強したり、取材してできるだけお伝えしていくようにしています。歴史も含めて土地にローカルに根付いているのは、各産地に広く共通するところ。
シャンパーニュの場合、素材はブドウですね。ルイ・ロデレールは自分たちで畑を持ち、気候や土壌などすべてを鑑みながらブドウを栽培していることが興味深いです。そうした堅実さがありつつも、華やかさを持っていると言うんでしょうか。ルイ・ロデレールのそういうところが本当に大好きです。」
ファッションもシャンパーニュもまったく別ものではありますが、尽きるところは素材が命。「日本各地の生地や織物産地への興味と、ルイ・ロデレールに惹かれる理由は似ているなと思っています。」と語るのは、ものづくりの本質を見抜いている大草さんだからこそ、かもしれません。
Profile
大草直子
東京都出身。大学卒業後、現・ハースト婦人画報社へ入社。雑誌『ヴァンテーヌ』の編集に携わった後、独立。現在は、ファッション誌、新聞、カタログを中心にエディトリアルやスタイリングをこなすかたわら、 トークイベントの出演や執筆業にも精力的に取り組む。2019年にはメディア『AMARC(アマーク)』を立ち上げ、「私らしい」をもっと楽しく、もっと楽にするために、ファッション、ビューティ、生き方のレシピを毎日お届けしている。2021年には、「AMARC magazine」を発刊。最新著書は「見て、触って、向き合って自分らしく着る、生きる」(マガジンハウス)。
シャツ/j.(j. 自由が丘八雲店) ニット/AMARC LIFE STORE デニム/REDCARD シューズ/Amina Muaddi
撮影協力/j. 自由が丘八雲店