スペイン各地でワインを生み出すトーレス。そんなトーレスの多様性に富み優れた品質を支えるのは、それぞれの地域のスペシャリストとして、テロワールを表現したブドウ栽培とワイン醸造を手掛ける醸造長達です。

こちらの特集では、トーレスが4つの産地で手掛けるワイナリーの醸造長が、おすすめワインをご紹介。それぞれのワインが生まれた産地や現地での楽しみ方など、各醸造長の熱いコメント共にご紹介します。ぜひこの機会に、お楽しみください。

リオハ、アラベサにあるファミリア・トーレスの醸造長。ワイン業界で20年以上も活躍する経験を活かし、2006年からワイナリーの指揮をとる。

リオハは、スペインワイン法の最上位である特選原産地D.O.Ca.に認められた産地。大西洋からの風と寒さを遮る山脈による温暖な気候を有し、エブロ川による土壌の多様性と微気候、畑の標高と位置、古いブドウ畑の比率の高さといったそれぞれの好条件に恵まれた、スペインが誇る銘醸地です。

アルトス・イベリコス・レゼルヴァは、高台のリオハ・アラベサにある古い畑のテロワールを表現したいという想いから生まれました。複雑でエレガント、この土地のポテンシャルを反映することを第1に造られています。ブドウ栽培においては、収量の低い古樹ブドウを使用し品質をコントロール。また、醸造面では、複雑性の高いワインを造るために、さまざまな素材と容量のタンクをバランス良く使用、熟成は36ヵ月間と長期間行われ、全工程においてこだわりを持ってワイン造りを行っています。

ソースをかけたお肉のグリルやチーズとよく楽しんでいます。ジビエ（グリル、ロースト、煮込み、何でも！）やパスタと合わせるのがおすすめです。このワインの持つ素晴らしい複雑味により、非常に手の込んだお肉料理との組み合わせは最高です。子羊のローストや羊のチーズ、あらゆる種類のイベリコハムやソーセージとの相性も抜群です。

クリアンサは、樽感よりも果実感が勝るエレガントなワインを目指して仕立てられました。フレッシュさとテンプラニーリョが持つフルーティーさ、2種類のオーク樽がもたらす香り、これらが完璧なバランスを表現しています。

毎日仕事から家に帰ったら、妻や友人とこのワインを飲みながらリラックスしています。またこのワインは、前衛的な食のトレンドに合うように考案されたワインです。生ハムや新鮮な赤身の肉、油分が豊富な魚、チーズなどの食材を使った、あらゆる種類のタパスに最適です。熟成したイベリコ豚とのマリアージュもおすすめです。

大学で化学とワイン醸造学の学士号を取得。様々なワイナリーで専門的な経験を積んだプロ。

リベラ・デル・ドゥエロは、スペインで最も冷涼な地域の1つです。標高750～900mという高標に位置し昼夜の寒暖差が激しいため、力強さとエレガンスを備えた素晴らしいワインが生まれます。この地域の伝統を取り入れたモダンでフレッシュなスタイルが、リベラ・デル・ドゥエロのワインの個性です。

セレステ・クリアンサは、リベラ・デル・ドゥエロの中でも最も高い、標高900mという非常に特別なエリアにある畑。このテロワールで育つテンプラニーリョの個性と特徴に注目し、セレステ・クリアンサは誕生しました。非常に凝縮感のあるブドウが育ち、厳しい選果に加え、醸造では重量に逆らわずに仕立てることで、柔らかくフレッシュな味わいに。艶やかで洗練された仕上がりです。

楽しみ方は沢山ありますが、私の場合、週末に料理をしながら飲んだり、友人と夕食を共にする時によく飲んでいます。セレステ・クリアンサはビーフ・ステーキと最高の相性ですが、私たちはリベラ・デル・ドゥエロの代表的な料理である、ラムの串焼きと一緒に楽しんでいます。こちらの人々は、土曜日の夜にこの料理を友人と食べることが多いんですよ。

カタルーニャ州コンカ・デ・バルベラ出身。2005年にトーレスに入社し、プリオラートにてワイナリーの立ち上げに携わる。

プリオラートは、モンサン山脈の山間部にあるコンパクトな地域です。この地域は、15度を超える傾斜が特徴で、この曲がりくねった斜面という特徴的な地形のため、機械化がほとんどされず伝統的なブドウ栽培が行われています。また独特な土壌と気候により、1本の樹の収量は最大でも僅か1kg。この収量の少なさと細かく分かれた微気候が、ワインに唯一無二の個性を与えます。

この地域独特の地形により、非常に多様な特性を持ち、細かく分かれた微気候が存在するプリオラート。そんなプリオラート内でも、最も暖かく乾燥したリョアール村と最も寒い地域のポレラ村のブドウを使用し仕立てられるサルモス。それぞれの地域に適性を持つガルナッチャとカリニャンが、ワインにアロマと複雑性をもたらします。この2つの異なるテロワールの長所を掛け合わせることにより、プリオラートを上手く表現することができると私たちは考えています。

私は金曜日や土曜日の夜に、家族や友人と、ワインや食事の話をしながらサルモスを飲んで楽しんでいます。ジビエ料理や焼き野菜など好相性で、特にローストしたラム肉とよく合います。

タラゴナ州レウス出身。大学時代は農業工学を学び、2018年にプルガトーリのワインメーカーに就任。

コステルス・デル・セグレは、7つのサブゾーンから成り、伝統と最新技術を駆使したクオリティの高いワインが造られている産地です。プルガトーリは、ガリゲスというサブゾーンで造られ、このエリアは雨が少なく乾燥し、夏の最も暑い時期には気温40度に達することがある過酷な気候です。そのため畑での作業は本当に大変・・。しかし、その過酷さがブドウには良いストレスとなり、高品質なワインの誕生に繋がっています。

1770年からワイン造りが行われており、「ワインのあまりの美味しさに、天使たちがワインを樽ごと天国に持ち帰ってしまった」という伝説が残るプルガトーリ。痩せた土壌で育った低収量のブドウは、2種のタンクを使用し品種ごとに醸造。熟成が終わるまでブレンドを行わず15ヶ月間の熟成の間、畑から収穫されたそのままの状態であるため、土地の起源をより感じ取っていただけると思います。シルキーで、豊かな果実の香りとフレッシュさを備えた素晴らしい仕上がりで、私はこのワインをとても特別だと思っています。

私の楽しみ方は、畑を眺めながらプルガトーリを飲むことです。ワインの起源や原点を感じる最良の方法です。（残念ながらお客様は同じことはできませんが・・・。）私はいつもお客様に、自然を感じながら、友人や家族と一緒に外で楽しんでいただきたいとお伝えしています。料理と合わせるなら、郷土料理の牛ホホ肉のカネロニ（パスタ）がおすすめです！