ワイングラスの種類と知っておきたい選び方

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公開日 : 2024.9.24
更新日 : 2024.9.27
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ワイングラスの種類と選び方

ワインを楽しむために欠かすことのできないワイングラス。ワインの味わいはワイングラスによって変化すると言っても過言ではありません。


だからこそたくさんあるグラスの中からどんなグラスを選べばいいのか迷ってしまったことはありませんか?


そこで、今回は、ワイングラスの種類と選び方について、ソムリエの解説付きで詳しくご紹介します。

解説してくれるのは、紫貴あきさん


紫貴あきさん

ワイン講師 日本最大級ワインスクール「アカデミー・デュ・ヴァン」の人気講師。初心者から上級者まで唸らせる質の高いレッスンが評判で、その指導実績は3500人超。その他、企業研修、メディアへの執筆・監修・取材協力、出演など幅広く活動している。 著書『ゼロからスタート! 紫貴あきのソムリエ試験1冊目の教科書』(KADOKAWA)を2024年3月28日に出版。

目次

ワイングラスの選び方

ワイングラスの選び方

まずはグラスの選び方から。どんなグラスを選ぶにしても「薄手」のグラスがおすすめです。その理由としては唇に当たる部分が薄ければ薄いほどワインの口当たりが良くなり、感じる味わいや香りに違いが出てくるからです。


そんなポイントも抑えながら、もっと具体的にワイングラスを選ぶときに気を付けていただきたいポイントを3つご紹介します。

ワイングラスの選び方のポイント

その1:割れ物だということを意識する

最初に薄手のグラスを、とお伝えした通り、ワイングラスはコップ類よりもガラスが薄いために、非常に割れやすい代物です。大事に扱っていても割れてしまうときはあるので、もし割れてしまっても精神的なダメージが少ない価格帯のものを選ばれることをおすすめします。


ちなみにワイングラスには機械で作られたマシンメイドのものと、職人が一つ一つ手作りしたハンドメイドのものがあり、後者の方が高価です。

その2:収納スペースを考える

何度もお伝えしますが、ワイングラスは割れやすいものです。そのグラスを置くスペースがどのくらいあるかを購入前に把握しておくようにしましょう。


特にワイングラスはステムの部分が高さを取り、自宅の食器棚に収納できないこともあるのでその点を考慮する必要があります。


食器棚に収納できない場合は、購入した箱に入れておくのがほこりや破損を防ぐためにもおすすめです。

その3:用途別で選ぶ

グラスの使用用途やシーン、目的がはっきりしている人は、それに合わせてグラスのブランドやシリーズの中から適したものを選びましょう。


例えば、色々な種類のグラスを揃えたいという方には、リーデルの「ヴェリタス・シリーズ」がおすすめです。ヴェリタス・シリーズはブドウ品種ごとの特徴に基づいて作られたグラスです。同じワインを、グラスを変えて飲んでみるのも楽しいですよ。


グラスを絶対に割りたくないという人には、ゴヴィノのグラスがおすすめです。ゴヴィノは割れないプラスチック素材のワイングラスです。割れないので自宅で使用する以外にも野外への持ち運びも安心。ボウル部分が少しくぼんだスタイリッシュな形状は、気の利いたプレゼントとしてもおすすめです。


また、持ち運びを考えている場合は、携帯用ケースのついたグラスをチョイスしてみてもいいかもしれません。

はじめての1脚を選ぶには?

「たくさんあるワイングラスの中から、まずは1脚を」と思う方も多いでしょう。そんな時、どんなワイングラスが好ましいのか紫貴さんに聞きました。

1脚目のグラスを購入されるなら、次の3つの特徴があるものを探すと良いです。 ①グラスの先が少しすぼまっているもの 先がすぼまっているワイングラスは、香りがすぼまり部分(「香りの部屋」と呼びます)に溜まりやすくなります。 一方、先が広がっているラッパ型のグラスは、香りが逃げやすいため、ワインの香りを楽しむのに好ましくありません。 ②ボウルの大きさは中くらいのもの 一般的に、赤ワインには大きめのグラス、白ワインはタイプにもよりますが小ぶりのグラスが選ばれます。中くらいのサイズのグラスなら、1脚で白ワインでも赤ワインでも楽しむことができます。 ③ステム(脚)があるものを選ぶ ステムを持つことで、ワインの温度が上昇しにくくなり、ゆっくりと楽しむことができます。グラスに高さがでるとテーブルも華やぎます。

はじめてのワイングラス

はじめての1脚を選ぶならば、特定のワインに特化した形よりも、さまざまなワインスタイルに使える汎用性の高いグラスを探してみましょう。

グラスで味わいが変わるって本当?

ワインを飲んでいるところ

ここまでで選び方についてご説明しましたが、そもそも「グラスによって本当に味わいが変わるの?」と疑問に思う方も多いでしょう。紫貴さんに解説いただきます!

ワインは繊細な飲み物で、グラスの飲み口の薄さや形状によって、その味わいが大きく変わります。 まず、グラスの飲み口の薄さについて。飲み口が薄いグラスでは、ワインの味をよりダイレクトに感じることができ、フレッシュさや軽やかさが際立ちます。 次に、グラスの形状について。グラスの口径が広いか狭いかによって、飲むときの顎の角度が変わります。口径が狭く、先がすぼまっているグラスでは、顎をしっかり上げて飲むことになるため、ワインが勢いよく口に入ります。この飲み方だと、酸味を強く感じやすくなるので、酸味が特徴の軽めの白ワインには、口径が狭いグラスが適しています。 一方、口径が広く、飲み口がすぼまっていないグラスでは、顎を上げることなくゆっくりと飲むことができ、ワインが口の中でじっくり広がります。この飲み方では、ワインのコクやまろやかさ、全体的な風味をしっかり感じることができます。複雑な風味の白ワイン、赤ワインには、口径が広いグラスが合うでしょう。 このようにグラスの薄さや形状によって味わいの感じ方が変わってきます。なので、これだけ多くのワイングラスが存在するのです。

ワイングラスの種類

ワイングラスの種類

ワインによって味わいや風味の特徴が違うため、ワイングラスには大きく分けて、赤ワイン用、白ワイン用、スパークリング用に分類されています。それぞれのグラスの特徴を見ていきましょう。

赤ワイン用グラス ボルドー型

ワイングラス

フランス・ボルドー産のような、タンニンが多く色調が濃い目の赤ワインに適したグラスです。


このグラスは香りがふんわりと香り、タンニンがまろやかに感じられるという特徴があります。そのため、渋みと酸味、甘みなどのバランスが整って感じられます。

赤ワイン用グラス ブルゴーニュ型

ワイングラス

フランス・ブルゴーニュの赤ワインを飲む際にピッタリのグラスです。ブルゴーニュの赤ワインと言えば、その多くはピノ・ノワールです。ラズベリーやスーボワなど繊細で静寂を感じるようなワインの香りを嗅ぎ取るためにボウルがボルドー型よりも広がっており、グラスのフチの口径が狭まったタイプとなっています。


このグラスは風船型に広がっているため、ワインを注ぐ際に空気に触れる面積が広くなることでより香りを引き出すことができ、さらにフチの狭さから香りをグラス内に閉じ込めることもできます。

白ワイン用グラス 万能型

ワイングラス

テイスティング専用の国際規格のグラス(高さ155mm、最大容量215ml、口径約48mm~最大約65mm)を大きくしたような形のグラスです。すっきりとしたタイプの白ワインや軽快で若めの赤ワインに適しています。


ワイングラスを1脚だけ購入するとしたら、このグラスを持っておくと便利です。

白ワイン用グラス モンラッシェ型

ワイングラス

ブルゴーニュの特級畑・モンラッシェのような、樽で熟成させた非常に香り高い白ワインを飲む際に使用されるグラスです。ブルゴーニュ型よりも口径が広めで、ボウルが風船のように膨らんでいるタイプになります。


万能型に比べて酸味をしっかりと感じ取ることができ、バランス良く引き締まった味わいを楽しむことができます。

スパークリングワイン用グラス フルート型

ワイングラス

シャンパンなどのスパークリングワインを楽しむためのグラスです。細長く、中で泡が立ち上っていく様子を視覚的に楽しむことができます。立食パーティーなどあまりスペースがない場所でも場所を取らないスマートな形状のグラスです。通常のワイングラスに比べて泡抜けの時間を遅らせる効果もあります。


また近年、特にプレステージのシャンパーニュなど香り高いスパークリングワインについては、フルート型よりもモンラッシェ型などのふんわりと香りが広がる形状のグラスが使われることも増えてきています。

スパークリングワイン用グラス クープ型

ワイングラス

飲み口がとても広く、平べったいお椀型の脚付きグラスです。フルート型に比べて顎を大きく上げなくてもスパークリングワインを飲むことができます。そのため、首のシワを晒さずにワインを楽しむことができるという理由で、社交界ではご婦人たちに多く支持されたという逸話があります。


フルート型に比べて香りが飛びやすい反面、より香りを強く感じられるというメリットがあります。

おすすめのワイングラス

おすすめのワイングラスのメーカーを紫貴さんに聞きました。ぜひ参考にしてみてくださいね。

リーデル

オーストリアの老舗グラス会社です。「シャルドネにはこの形」といった具合に、品種ごとにどんな形状が良いか、飽くなき探究をしていることでも知られています。その形状を決めるときも、その品種を代表する造り手たちとディスカッションして決めるという徹底ぶりです。 機械で作っているか、職人が手作りしているかによって値段が変わってきます。初心者でも手が届きそうなものから、上級者になって試してみたいものまで幅広くあるのが嬉しいところです。

リーデルのグラス一覧

ロブマイヤー

1823年創業のオーストリアの高級ガラス会社です。リーデル社よりも、値段が張るものが全体的に多い印象。それもそのはず、すべてのグラスが熟練の職人たちによって、伝統的な手吹きガラスの製法によって手作りされているからです。 その品質管理は非常に高く、日本に輸入されてからも、スタッフが1脚1脚、厳しくチェックする徹底ぶりです。リーデルよりも形状の種類は少ないですが、薄く繊細、それでいて丈夫なグラスは、優雅な気分にさせられます。

ロブマイヤーのグラス一覧

木村硝子店

日本の老舗ガラス会社です。リーデルほどではありませんが、形状にも幅があるので、「今日は軽い白を飲むからこの形にしよう」という風に、選べるのが嬉しいところです。 何よりも木村硝子のグラスの1番の魅力は、割れにくく丈夫なところ。そういったことから、実は、飲食店で採用されていることが多いグラスでもあります。グラスの洗浄に慣れていない初心者の「はじめの1脚」におすすめしたいメーカーです。

木村硝子店のグラス一覧

ワイングラス一覧はこちら

ワイングラスの豆知識

最後にワイングラスにまつわる豆知識をご紹介します。お気に入りのグラスを手に入れたら正しい知識も身に付けてワインを美味しく楽しみましょう!

ワイングラスの部位・構造

他のコップやグラスとは異なる独特な形状をしたワイングラス。この形状はワインの香りと味を最大限に引き出し、おいしく感じるように設計されているんです。


ワイングラスは以下のとおり、それぞれ4つのパーツに分けられます。ぜひ覚えてみてください。


  • ワイングラスのフチ「リム」
  • ワイングラスの真ん中部分「ボウル」
  • ワイングラスの脚「ステム」
  • ワイングラスの台座「プレート」

ワイングラスのフチ「リム」

グラスのフチを「リム」といいます。


リムが薄いほどワインが口に入るときの抵抗感がなく、不思議とおいしく感じられます。高価なグラスほど薄くなる傾向があります。

ワイングラスの真ん中部分「ボウル」

ワインが注がれる本体部分が「ボウル」です。


空気と触れさせることで本来の香りが引き出されたり、まろやかになったりすることが期待できるワインは、大きなボウルのグラスを使用します。

ワイングラスの脚「ステム」

グラスの脚は「ステム」といいます。


ステムを持つことで体温が伝わらず、ワインを最適な温度のままに保てます。

ワイングラスの台座「プレート」

ワイングラスを支える底の部分を「プレート」、または「フット」といいます。


装飾が施されていることが多く、高価なグラスの場合は大抵ブランドロゴが入っているため、どのメーカーのグラスなのか判別することもできます。

プロが実践するワイングラスのお手入れ方法

ワイングラスのお手入れ

お気に入りのワイングラス、綺麗に保つためには正しいお手入れが大切です。紫貴さんに日頃のお手入れを聞きました。

まずは、酔っぱらったら洗わない!グラスが割れやすいのは、洗っている最中です。「グラスを洗えないぐらい酔っぱらっちゃったな」と思ったらグラスに水を張ったままにして、翌日洗いましょう。 2つ目は、洗ったらすぐにグラス専用の布で拭くことです。洗いっぱなしでそのままにしておくと、水垢が残り取れなくなってしまいます。せっかくお気に入りのグラスを購入したのに水垢が付いてしまったら残念ですよね。 最後は、グラスを拭くときのコツです。ボウル下部を左手で布ごと包み込むように持ち、右手でボウル部分を拭くと良いでしょう。ドラマや漫画で、左手でプレートを持ち、右手でボウル部分を拭くシーンを見かけますが、実はこの方法は高い技術が必要なのです。初心者が同じようにすると、ステムとボウルの部分でグラスが折れやすいのでお気をつけてください。

お手入れについて詳しくはこちら

プロに聞く!ワイングラスの正しい持ち方とは?

ワイングラスのち方

最後に、気になるワイングラスの持ち方についてご説明します。正しい持ち方で美味しくワインを飲みましょう!

海外の映画やドラマ、または英国王室の晩餐会などをテレビで見ると、ボウル部分を持っている人が圧倒的に多いように感じます。一方で、日本のソムリエたちは、テイスティングの際にステムを持つことが多いようです。 ときどき「ボウルを持つべきか、ステムを持つべきか」と議論になることがあるようですが、どちらにもメリットとデメリットがあり、どちらが正しいというわけではありません。 ボウルを持つ方法は、グラスを安定して持つことができます。立食パーティーでは、誰かに肩をぶつかられても、ワインがこぼれにくいというメリットがあります。ただし、手の平の温度で、ワインの香りや味わいが変化しやすいというデメリットもあります。 ステムを持つ方法では、体温でワインの温度が変わりにくく、ワインそのものの個性をゆっくり楽しむことができるのです。日本では、どちらかというとステムを持つ人が多く、フォーマルな場でも推奨されています。 結論として、どちらの持ち方にもそれぞれ良さがあります。状況や好みに応じて、持ち方を選んでも良いでしょう。

まとめ

グラスにまつわるあれこれをご紹介しましたが、自分に合ったものを見つけられたでしょうか?


ワインは世界各国で生産されていて、その国ごとに様々な個性を持っています。その個性を引き出してくれるのがワイングラスです。


たかがワイングラスかもしれませんが、ワイングラス次第で、ワインの味わいは大きく変わってきます。やはりグラスは大切な要素。もしかすると、普段飲んでいるワインも、もっと美味しいワインなのかもしれません。


ぜひ、自分に合ったワイングラスをチョイスしてみてください。この記事が、少しでもワイングラスを選ぶヒントになれば幸いです。

文=川畑あかり

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