もう安物ワインではない!スクリューキャップワインの利点とは?

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公開日 : 2021.9.28
更新日 : 2023.7.12
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スクリューキャップワイン

以前よりコルク栓ではないスクリューキャップのワインをよく見かけるようになりましたが、スクリューキャップワインにはどんなイメージをお持ちですか?

「スーパーやコンビニで売られている安ワイン」でしょうか?

実は、最近のスクリューキャップワインは安価なものばかりではありません。

近年はフランスやイタリアの名門生産者もスクリューキャップを採用する傾向が見られます。そこで今回はスクリューキャップの利点について解説します。

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目次

スクリューキャップの利点

スクリューキャップワイン

コルク栓からスクリューキャップに切り替える生産者も増えているのは、なぜでしょうか?

まずはコルク栓との違いからスクリューキャップの利点を見ていきましょう。

ブショネを抑えることができる

スクリューキャップはブショネを大幅に抑えることができます。これは、スクリューキャップの最大の利点と言えます。

ブショネとは、汚染されたコルクがダンボールや濡れた雑巾のような不快な匂いを放ち、ワイン本来の香りが損なわれてしまうことを言います。

コルクに潜んだ細菌と消毒時に用いられる塩素によってTCA(トリクロロアニソール)という物質が発生しコルク自体が汚染されて起こる現象ですが、その発生率は実に2〜5%程と言われており、それほど珍しいことではありません。

ブショネはワイナリーが不衛生でその設備が汚染されていた場合にも起こるため、スクリューキャップにすることで完全になくすことはできませんが、コルク栓と比較すると圧倒的にブショネは少ないです。

ブショネについて詳しくはこちら

コルク栓と遜色ない熟成をする

ワインの熟成には微量の空気と透過させるコルク栓が不可欠というのが長年の通説でしたが、最近はそうでもないようです。

気密性の高いスクリューキャップもわずかながら空気を通すため、コルク栓より熟成の速度は遅いものの素晴らしい熟成をすることがわかっています。

むしろ、スクリューキャップは密閉性に優れているので、フレッシュな果実味を保ちながらゆっくりと熟成させることができます。また、酸化防止剤の使用量を減らすこともできるため、そういった利点を生かしたワイン造りを行う生産者もいます。

ちなみにスクリューキャップはコルク栓のように乾燥に注意する必要がないため、ボトルを立てて保管することができます。

ワインの還元問題は解決済

かつて、スクリューキャップワインは開封すると還元状態になっていることが多い、という問題がありました。

還元状態とは酸化の反対で、ワインが極度の酸欠になった状態のことを言い、還元状態になると還元臭と呼ばれる、硫黄のような匂いが発生してしまいます。

もちろんコルク栓のワインも還元状態になることはありますが、スクリューキャップワインはその気密性の高さから還元状態に陥りやすかったのです。

しかし、現在は酸素透過率の多様なスクリューキャップが開発されており、生産者が自らのワインに適したキャップを使用することで、この問題は既に解決されています。

栓の開閉が容易

ご存知の通り、スクリューキャップは栓をひねるだけで簡単に開栓できます。ワインオープナーも不要ですから、コルク栓を抜き損なったりするような失敗もありません。

また、再栓もできますから、飲み残した場合も安心です。

ニュージーランドでは99%以上のシェア

ニュージーランドのブドウ畑

1926年にイギリスで初めてガラス瓶に導入されたスクリューキャップですが、密封性の高いスクリューキャップが開発されたのは1960年代で、ワインの栓として商業的に使用されるようになったのは1970年頃からです。

スクリューキャップを本格的に採用し始めたのは、南オーストラリア州クレア・ヴァレーの生産者でした。

コルクの生産地は主にポルトガルで、コルクの輸入にはコストがかかったことや良質なコルクはフランスなど長年の取引先であるワイン産地に渡ってしまい、オーストラリアのようなワイン新興国ではなかなか手に入らなかったことが理由です。

また、クレア・ヴァレーはリースリングの産地ですが、ダメージコルクの影響はリースリングのワインのようなフルーティーで樽熟成させない白ワインほど顕著に現れたのもスクリューキャップを採用し始めた理由の一つです。

クレア・ヴァレーの生産者13社が2000年ヴィンテージから白ワインにスクリューキャップを使用すると宣言すると、ニュージーランドの産地マールボロもこれに続きました。マールボロもフルーティーなソーヴィニヨン・ブランのワインの産地であり、クレア・ヴァレーの生産者と同様にコルクの問題を抱えていたからです。

その後、マールボロの動きは一気にニュージーランド全体に広がり、2001年8月には「ニュージーランド・スクリューキャップ・ワイン・シール・イニシアティブ(NZSWSI)」が結成され、スクリューキャップの普及活動とともに、スクリューキャップを使用することのメリットをワイン業界関係者および消費者に理解してもらうための教育活動を行いました。

その結果、現在ニュージーランドでは99%以上のボトルワインにスクリューキャップが使用されるようになりました。

広がるスクリューキャップワイン

白ワイングラス

ニュージーランドやオーストラリアを中心に普及が進むスクリューキャップですが、最近はフランスやイタリアの伝統的な産地でもスクリューキャップを取り入れる動きがあります。

例えば銘醸地ブルゴーニュのニュイ・サン・ジョルジュに本拠地を置く生産者パトリス・リオンは、ネゴシアン形式で造るブルゴーニュ・シャルドネに、ムルソーの巨匠コント・ラフォンがマコンで手掛けるドメーヌ、レ・ゼリティエール・デュ・コント・ラフォンはマコン・ヴィラージュにスクリューキャップを採用しています。

また、北イタリアのフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州で古くからワイン造りを行う生産者イエルマンは白ワインの名手として世界的に有名です。彼らはこの地方では珍しく1990年代後半からスクリューキャップを取り入れています。

まとめ

ソムリエナイフを使って優雅にコルクを抜く一連の所作はワインの楽しみの一つです。また、コルクで打栓されたボトルの方がスクリューキャップのボトルより高級感があるのも否めません。

しかし、今や生産者にとっても私達消費者にとっても、合理的という観点ではコルク栓よりもスクリューキャップに軍配が上がるでしょう。

少なくともこれからは、スクリューキャップだから…という先入観を捨ててワインを選んでみて下さいね。

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