スーパーのワインコーナーには多種多様なワインが並んでいます。ワインを嗜む方であれば商品名や品種名からどんなワインか分かることもあるかと思いますが、「ミュスカデ」という名前にピンとこない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実はミュスカデのワインはリーズナブルでフードフレンドリーな普段飲みにピッタリの品種なんです。
今回はそんな「ミュスカデ」について解説をしていきます。
ミュスカデの基本情報
種類 | 白ブドウ |
主な産地 | フランス・ロワール渓谷地方 |
香り | マスカット、グレープフツルーツ、ハーブ |
味わい | 溌剌とした酸味、爽やかな辛口 |
ミュスカデは元々「ムロン・ド・ブルゴーニュ」と呼ばれており、その名前から分かる通りブルゴーニュを起源とする品種です。起源はブルゴーニュですが、現在は主にロワール渓谷地方のペイ・ナンテ地区で栽培されています。
グラスに注ぐと、外観はややグリーンがかった淡いイエローの色味。フレッシュな柑橘系の香りを持ち、爽やかで溌剌とした酸の味わいが感じられる軽快な口当たりが特徴です。よくブルゴーニュ地方の白ワイン「シャブリ」と味が近いと語られますが、比較的ミュスカデの方が値段も安く、よりさっぱりとした味わいです。
ちなみに似たような名前でミュスカ、ミュスカデルという品種がありますが、それらとミュスカデは別の品種。よく混合されますが、ミュスカは主にフランス南部栽培、ミュスカデルはフランスのボルドーが原産地のブドウ品種です。
ミュスカデと合う料理
ミュスカデはフレッシュ感と酸味が特徴的なので魚介類と合わせるのは鉄板。中でも牡蠣は生でも焼いてもミュスカデの爽やかな酸味が相まって相性抜群です。
またシュール・リーによる旨味を意識すると和食のダシとも良いペアリングとなるでしょう。炊き込みご飯など味が濃くない食事とも寄り添うように上手くマリアージュしてくれます。意外と合わせる料理を深く考えずに美味しく飲めてしまうのもミュスカデの魅力の一つかもしれません。
ミュスカデの歴史
ミュスカデは最初にご説明した通り、元々はブルゴーニュ地方が起源のブドウ品種。ではなぜ今ではブルゴーニュではなくロワール渓谷のペイ・ナンテ地区が主要産地なのでしょうか。
ペイ・ナンテ地区では古くから貿易が盛んで、ブドウ品種もたくさん持ち込まれてきましたが、18世紀初頭に襲った厳冬によってそれまで栽培されていたブドウ品種が全滅してしまいます。そんなとき、ブルゴーニュ地方から修道院を通して寒さに強いミュスカデが移植されたといわれています。
ミュスカデが好む冷涼で石灰質を含む土壌が多く、大西洋の豊富な海の幸を使った料理との相性が良いということもあって今ではペイ・ナンテ地区で栽培されるのが定着しました。
ミュスカデのAOCワイン
「ミュスカデ」という名前を名乗れるワインは以下の4種類あります。
・ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ
・ミュスカデ・コート・ド・ラ・ロワール
・ミュスカデ
・ミュスカデ・コート・ド・グランリュ
最も生産量が多く、スーパーで売られているミュスカデの大半が「ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ」。ロワール河口域のペイ・ナンテ地区周辺のAOCワインで、4種類の中でも秀逸だとされています。この原産地呼称は、セーヴル河とメーヌ河周辺の23の村で造られるワインに認められており、土壌は花崗岩や片岩の丘陵地から粘土質まで様々ですが、石灰質を多く土壌に含んでいることから熟成に耐えるものが多いと高く評価されています。
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シュール・リーについて
ミュスカデのワインは「シュール・リー」という醸造法で造られることがほとんどです。
シュール・リーとは、フランス語で「澱の上」という意味で、アルコール発酵後ワインを澱引きをしないでそのまま発酵槽の中に放置し年を越させ、翌4~5月ごろに澱の上にあるワインの上澄みだけを取り出し瓶詰めを行う手法のこと。こうすることで澱からアミノ酸などのうまみ成分が抽出され、独特のうまみや豊かな味わいのある白ワインとなります。
先ほどご紹介したAOCワイン「ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ」もシュール・リー製法で造られることが多く、ラベルに表記されている名前に注目してみるとミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ・”シュール・リー”と付いているのでお分かりになるかと思います。
まとめ
知名度としては高くないミュスカデ。でも気軽にどんな料理とも合わせやすいと知っていると選んでみたくなりますよね。
ぜひ、お食事と一緒にミュスカデを合わせて魅力を堪能してください。