プロのソムリエさんが自宅でワインを楽しむコツやプロのテクニックを紹介するコラム。
第8回目は「ペペロッソ」のソムリエ、藤本さんです。
すぐに真似できちゃうソムリエならではの楽しみ方は必見です!どうぞお見逃しなく。
【プロフィール】藤本智さん
東京・世田谷のイタリアン「ペペロッソ 池ノ上店」マネージャー兼ソムリエ。
バーテンダーから天現寺「incanto」のオープニングスタッフとしてサービスに転身。代々木上原il Pregioのマネージャー兼ソムリエを経て2020年より現職。
第13回「イタリ アワイン・ベスト・ソムリエ・コンクール JETCUP」セミファイナリスト。
こんにちは。東京・世田谷のイタリアン「ペペロッソ 池ノ上店」にてマネージャー兼ソムリエを務める藤本です。
今や赤・白・ロゼに続く第4のカテゴリーとして認知されたオレンジワイン。レストランでお客様から「オレンジワインありますか?」なんて聞かれるシーンも増えてきました。
オレンジワインは「オレンジ信者」と呼ばれる人もいるくらい支持されていますが、おうちで楽しむポイントは何でしょう? 今回は3つのポイントに分けてご紹介します。
おうちワインにピッタリな3つの理由
おうちで楽しむポイント、一つ目は温度管理。
白・赤に共通するのは「温度のストライクゾーン」がある程度決まっていることだと思うんです。シェフにとっての料理の「火加減」がソムリエにとってのワインの「温度」だと思います。この白ワインならしっかり冷やして、この赤ワインなら室温でのように。
しかしオレンジワインならそこまで気にせずとも楽しめます!キンキンに冷やすのはダメですけど「冷蔵庫から出して冷やしめ→そこからヌルめ→そして温度高め」など「温度」はどれでも成立しちゃいます。
あえて温度には緩く向き合ってOKというところがおうちワインに向いています。
二つ目のポイントは日持ちの良さです。
1本のワインを数日かけて飲みたいというのは「おうちワイン」では重要ですが、その点、オレンジワインはピッタリです。
今週忙しくてワインを飲む時間がなかったな…みたいな人でも1週間ぶりに飲んだけど美味しいと感じやすいのはオレンジワインだと思います。
全てのオレンジワインに言えることではないですが、オレンジワインが他のワインより日持ちしやすいのは下記の2点が考えられます。
①オレンジワインはその醸造方法によりワインが還元状態=酸欠状態なことが多く、抜栓してからワインが開くまでに時間がかかるため。
②完熟した果汁(ワインによっては遅摘み)に果皮も漬け込み、ワインの酒質が複雑で力強いため。
最後のポイントは和食との相性の良さです。
白ワインでは生臭さが際立ち「食材もワインも台無しになりがち」なウニやイクラ、カラスミなどの「魚卵」、ワインの味を磯の風味に変えてしまいがちな「生牡蠣」ともオレンジワインはよく合います。「柚子・ハッサク」など和の柑橘もキレイな味わいの「薄旨」タイプは相性良しです!
また、白ワインの何もかもを台無しにする僕の大好物「納豆」。おうちで食卓に上る機会も多いと思いますが、オレンジワインと合わせればネガティブな要素が出にくいです!もともと酵母っぽい香りがあるので発酵食品と合わせやすいんでしょうね。
オレンジワインあるある
最後に オレンジワインによくあることですが…。オレンジワインはその造り方がゆえ、開けたては人によってネガティブな香りを感じることもあると思います(人によってはそれがポジティブな香りでもあるのですが)。
そんな時は無理に飲まずにコルクを挿して涼しい所に即放置!そして2、3日したら試しに飲んでみましょう。
あら不思議、ネガティブな香りが消えることもあります。ボトルの中にこもっていた香りが酸素と触れることでほぐれて飲み易くなりますので、抜栓後「あれ?」と思ったら慌てずほっといてあげてください。
おうちワインは気軽に楽しむのが1番!まだオレンジワインを飲んだことがない方もまずは試してみてくださいね。