ドイツ生まれで寒いの大好き!「ケルナー」の特徴

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公開日 : 2020.10.23
更新日 : 2022.5.23
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ケルナー

ワイン用ブドウ栽培において北限の地とされるドイツで生まれたブドウ品種、ケルナー。

耐寒性があって早熟、収穫量も多いと三拍子揃った優等生ブドウで、ドイツにおいては交配品種の最高傑作と言われてきました。

日本でも1970年代にドイツと気候が似ている北海道に導入され、現在もケルナーから多様なスタイルのワインが造られています。

今回は寒冷地でのワイン造りに多大な貢献を果たしてきたケルナーについて解説したいと思います。

目次

ケルナーとは

白ワイン
種類白ブドウ
主な産地ドイツ・ファルツ地方、日本・北海道
香りマスカット、白桃、ミント
味わいみずみずしく、やさしい酸味
フルーティーで軽やか

ケルナーは、1929年にドイツのヴュルテンベルク地方の研究所で、黒ブドウのトロリンガーと白ブドウのリースリングを人工交配させて生まれた白ブドウ品種です。

ケルナーという名前は、同じヴュルテンベルグ出身の詩人であり医師でもあるユリウス・ケルナーにちなんで名付けられました。彼の作品にはワインの詩や歌があるそうです。

ケルナーはマイナス10度の寒さも耐えられる耐寒性があること、ドイツワインの主要品種であるリースリングより早く成熟して収穫量が確保できることから、1990年頃はドイツで広く栽培されていました。

しかし近年ドイツではリースリングが流行していることや辛口志向になっているなどの理由からケルナーの栽培量は減少傾向にあります。

ドイツの他、主な産地はスイスとオーストリア南東部、そして南チロル地方と呼ばれるイタリアのトレンティーノ・アルト・アディジェ州です。1975年に昇格したトレンティーノ・アルト・アディジェ州のD.O.C.ワイン「アルト・アディジェ」の白ワイン用品種の一つとして認められました。

そして、ケルナーの産地として忘れてならないのが日本の北海道です。北海道はドイツと気候が似ておりケルナーの栽培に適しているのです。

ケルナーからは甘口から辛口、さらにスパークリングワインと多様なスタイルのワインが造られています。

総じて、アロマティックでマスカットのような甘い香りやミントのような清涼感のある香りがし、みずみすじい酸味を持つフレッシュでフルーティーな味わいのワインとなります。

ケルナーと相性の良い料理

カルパッチョ

甘口から辛口、スパークリングワインまで様々なスタイルのワインを生むケルナー。味わい別に相性の良い料理を紹介します。

まず、ケルナーの辛口ワインには、ツナサラダや蒸し鶏など、淡白でさっぱりとした肉や魚料理とよく合います。また、ドイツ風のハムやボイルしたソーセージ、ジャーマンポテトもおすすめです。

野菜ならヴィネグレットソースをかけたホワイトアスパラガス、家庭料理ならマヨネーズで味付けしたポテトサラダやマカロニサラダも気軽に合わせられます。

ケルナーのスパークリングワインには、野菜や魚介のフリットがよく合います。アロマティックなものが多いので、香りを尊重してレモンは絞らず、塩だけで食べるのがおすすめです。白身魚のカルパッチョや塩焼きも良いでしょう。

ドイツのケルナーから造れられるシュペートレーゼやアウスレーゼ、北海道産ケルナーの甘口ワインには、フルーツがおすすめです。シャインマスカットやグレープフルーツなどの柑橘類と好みの葉野菜を和えたフルーツのサラダは、フルーツ果汁の甘みと酸味がワインとよく合います。ハーブを少し散らせばワインの清涼感ともマッチします。

また、リコッタチーズやブリアサバランなどクセの少ないフレッシュチーズにフルーツのジャムを添えてワインと楽しむのも良いでしょう。

ケルナーの主な産地

原産国であるドイツと、世界的にケルナーの産地として認知されつつある北海道について見てみましょう。

ドイツ

ドイツのブドウ畑

2018年の統計では、ドイツのケルナーの栽培面積は2,463ヘクタールでリースリングの約10分の1となっており、白ブドウでは6番目。決して広くはありません。

ドイツ国内の主な産地はファルツ、モーゼル、ラインヘッセン、そして生まれ故郷のヴュテンベルグで、いずれの産地でもケルナーの占める割合は3%前後もしくはそれ以下となっています。

1929年に人工交配によって生まれたケルナーは、1969年にドイツで一般栽培されるようになりました。その後1990年頃にドイツ国内でのケルナーの栽培面積が最高潮に達し、1990年代半ばにはリースリング、ミュラー・トゥルガウに次いで3番目の栽培量を誇るほどになりました。戦後のドイツワインの復興にケルナーが果たした役割は非常に大きかったと言えるでしょう。

しかし近年、ドイツではケルナーやミュラー・トゥルガウなどの交配品種の栽培量は減少しています。

収穫量があってアロマテテイックな交配品種が後退し、リースリングやヴァイスブルグンダー、グラウブルグンダー、シャルドネなどの国際品種の栽培面積が増えつつあるのは、ドイツワイン業界が量から質へ、甘口より辛口のワイン生産へシフトしていることを反映しています。

日本

北海道のブドウ畑

日本では、冬場の気温がマイナス10度以下になる北海道でも栽培可能なブドウ品種として、1973年にドイツからケルナーの苗木が導入されました。現在、白ワイン用ブドウ品種としては北海道最大の栽培面積となっており、日本のケルナーの全醸造量の大半を北海道が占めています。

道内では後志地方の余市町を中心に栽培が盛んで、多くのブドウ農家がケルナーを栽培しています。小樽市にある北海道ワイン株式会社は道内産のブドウのみでワインを造る老舗で、優良ブドウ生産者と契約を結び、高品質なケルナーのワインを生産しています。

北海道産ケルナーから造られるワインは甘口から辛口、スパークリングワインと多様であること、比較的リーズナブルなものが多いことから、デイリーに楽しむワインとして北海道を中心に根強い人気があります。

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まとめ

昨今、ドイツに限らず各国でワインの品質は原料となるブドウの質に由来することが認識されるようになりました。また、土地の個性を反映し、その土地ならではのブドウ品種を使用したワイン造りが主流となりつつあります。

ケルナーは人工交配によって誕生した、ワイン造りの歴史の中ではまだ新しいブドウ品種ではありますが、ドイツや北海道の冷涼な気候のもとで生まれるクリーンでみずみずしい味わいのケルナーのワインは、しっかりとテロワールを反映しているのではないでしょうか。

カジュアルに楽しめるケルナーのワイン、今後も期待したいと思います。

参考文献 日本ソムリエ協会 教本 2020

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