奇怪な用語が飛び交うワインテイスティング。フルーツや花ならまだしも、スパイスに、ミネラル、焦げ香??しまいには動物臭?!ですが、これにはきちんと意味があるのです。ソムリエ目線で、毎回難解なテイスティング用語や表現などを解明!
あなたもイメージを膨らませてテイスティングに挑戦してみてはいかがでしょうか。
ワイン業界のトレンドについては何度となく取り上げてきました。新興生産地、新世代、ハンズオフ・ワインメイキング(非介入)、ナチュラル、サスティナブル、缶ワイン…。
いずれも今日のワインであり、今後も重要な役割を果たしてゆくことでしょう。
これらは、ヴァラエタルワイン、グローバリゼーションのゆり戻しにより生まれたものと考えることができます。世界中、同じブドウ品種、同じ造り方をして、ある特定の批評家のつける点数により、価値が決まる。そんな画一化された状況から脱却すべく生産者や消費者が今日の多様なワイン生産や消費のスタイルを生み出したといっても過言ではありません。
「新しいもの」が広まれば広まるほど、存在感を増してゆくものがあります。それは「古いもの」です。
しかしかつての名声にあぐらをかき、古くなっただけのものに未来はありません。「永遠のスタンダード」となるべく、伝統の尊重と革新に取り組まれたものです。原点回帰はあるスパンで起きるものですが、今、そんなタイミングではないかと思います。
Reassuring、直訳で「安心」、「心強い」、また「疑いのない」、といった意味があります。ワインの表現としては、「オーセンティック」、「昔ながらの」などが類義になり、伝統産地の伝統かる生産者のワインのスタイルを表すものです。味わってみて、「やっぱり、いいよね、これこれ」となる感じです。
Reassuringなワイン
オー・ロック・ブランカン2015は、繊細で、緻密、広がりがあり、潰した野イチゴやブルーベリー。萎れた牡丹、カルダモン、燻製肉や鉄分、バルサミック(樹脂っぽい)やナツメヤシと複雑かつ、芳香高く、安心させる、優雅さのある香りがあります。味わいはしなやか、酸味がソフトなボディをリフトします。全体に調和があり、大変きめ細かなテクスチュアにタンニンが溶け込みます。
大変豊かで、複雑な香りが緻密に織りなすディテールのあるワインです。サンテミリオン中心部の丘の石灰岩がもたらす、フレッシュさ、芳香、きめ細かさ。類い稀な名家の系譜が創りだす優雅さと調和。
グラスの中、ボトルの中でゆっくり変化してゆくワインです。大勢で一気に空けてしまうワインではありません。大き過ぎないグラスで、ゆっくりと時間をかけて味わいたいワインです。デカンテーションもお勧めです。30分ほど前に。
ワインは時代、世相を反映するといわれます。サンテミリオンはメルローの力強い部分を最新の技術により引き出し、際立たせ、一時代を築きました。力強いものが求められた時代です。不況や災害など不安な時代には、スムースで優しい味わいのものが求められるようになります。
新しく、トレンドの、クールなワインも楽しいものですが、飲んでほっとする、安心できるワインが、これからの時代はより求められるでしょう。
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ペトリュスやドミナスを成功させた世界屈指の醸造家クリスチャン・ムエックス氏とその息子が手がけるサンテミリオンの名門シャトー。
こちらはファーストと同じ区画のブドウ、同様の製法で仕立てられるサードラベルです。ファーストの入門キュヴェとして存分にそのエッセンスが味わえます。
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