ワイン専門誌『アドヴォケイト誌』では「パオロ・サラッコ氏こそモスカートの巨匠」(2011年)と絶賛され、2016年モスカート・ダスティは、イタリアで最も権威あるワインガイド『ガンベロロッソ』の2018年度版で最高賞であるトレビッキエリを獲得するなど、モスカートの最高峰として高い評価を得ているサラッコ。
この度、オーナーのパオロ・サラッコ氏が日本に初来日!インタビューの様子と、ワインショップ・エノテカ アトレ川崎店で行われたテイスティングイベントをレポートします。
目次
モスカートのポテンシャルにいち早く気が付いた
飲みやすい甘口微発泡ワインという従来のイメージを超え、サラッコのモスカート・ダスティがこれほどまでに絶賛されるようになった理由は、パオロ・サラッコ氏本人の熱意と努力の賜物の他ありません。
パオロ・サラッコ氏は1900年代初頭からモスカートを栽培するサラッコ家の4代目。15歳の時にはすでにワインメーカーを志していたそうです。しかし当時のサラッコ家はモスカートを栽培していたものの、ワインは作らず、育てられたブドウはバルクで大手ヴェルモットメーカーに売られていました。
そんな中、モスカートのもつポテンシャルに気づき、一家のワインを自分で造りたい!と思い立ったパオロ氏は、1984年に21歳でアルバの醸造学校を卒業後すぐ、自らモスカートを造り始めます。そして、地元のリストランテを1軒1軒訪ねては、丹精込めて造ったワインを売り込んでいったそうです。そんな熱意と才能に満ちた若者を見て、レストランのオーナーは無名のワインをリストに入れてくれたとか。「それに、その頃(20歳くらい)の私はかわいかったしね(笑)」とパオロ氏。
そんな地道な努力を続けていたパオロ氏にチャンスが訪れます。パオロ氏の地元のリストランテを訪れたアメリカの輸入業者が、パオロ氏が造ったモスカート・ダスティを気に入り、1992年にはアメリカへの輸出がスタート。その後は、高い品質によって国内外で一気に知名度が高まりました。
ワインは甘いけどワイン造りは甘くない!マエストロの仕事の流儀
世界的なワイン評価誌『ワインアドヴォケイト』誌をして「パオロ・サラッコ氏こそモスカートの巨匠」(2011年)と言わしめるようになったサラッコですが、それはサラッコ氏自身のモスカートへの熱いパッションとたゆまぬ努力があってこそ。
大手モスカート生産者のほとんどが自社畑をもたず、買いブドウを使ってワインを造っているのに対し、サラッコのワインは100%自社畑のブドウを使用。55haもの広大な自社畑は、サラッコ氏が利益をコツコツと畑への投資に使ってきた甲斐あってのものです。同規模の生産者の自社畑が広くて10ha位というので、55haは「クレイジーな大きさ!」だそうです。
そしてモスカートの樹齢は通常3~40年くらいまでと言われていますが、サラッコの畑には7~80年という高樹齢の樹もあるそうです。その分、収穫量は通常の半分ほどになってしまいますが、低収量のおかげで凝縮した味わいのブドウが得られるのだとか。
そして醸造へのこだわりも並大抵ではありません。フレッシュさが身上のモスカート・ダスティ。パオロ氏はフレッシュさに「命を懸けている」そうで、その年に収穫したブドウは全てジュースにした後マイナス1℃で保管され、その後は注文が入る度にジュースを発酵させ、出来立てのモスカートを瓶詰めして出荷しています。
通常のワイン生産者の収穫と醸造は1年に1回限りですが、パオロ氏は1年中ワインを造り続けているため、1年分のワイン造りが終わったら次の年の収穫が始まり、休みはほとんどないとか。周りの人からも「何でそこまで働くの?!」と聞かれるそうですが「ワイン造りを愛しているから苦にはならない」(!)そうです。
さすがモスカートのマエストロ。甘くておいしい最高のモスカート・ダスティを造るのはそう甘い仕事ではなさそうです。
生産量の95%以上を占める看板ワイン「モスカート・ダスティ」
さっそくテイスティングしてみましょう。
ワインショップ・エノテカ アトレ川崎店のイベントで最初の1杯として供されたのは、こちらの「モスカート・ダスティ」。生産量の95%を占める、ワイナリーの顔ともいえる看板ワインです。
こちらは、19におよぶ区画の畑から収穫され、別々に仕立てられたジュースをブレンド。白桃やオレンジ、白い花のアロマ。とてもフレッシュで甘みもありながら、生き生きとした酸味があるため飲み心地はとても爽やかです。アルコール度数は5%ほどと低く、すいすいと飲めてあっという間にグラスが空になってしまいました。
テイスティング当日は25度近い陽気で、よく冷えた甘みのあるモスカートが心地よく、会場のあちこちで「美味しい!」という声が聞こえました。
常識外れの“熟成する”モスカート
今回のテイスティングでは、スペシャルワインが供されました。それがこちらの「モスカート・ダスティ2006年(1,500ml)」と「モスカート・ダスティ2014年(1,500ml)」※どちらも非売品
フレッシュさが身上のモスカートは若いうちに消費されることがほとんどですが「日本の皆さんにも、モスカートがもつ熟成のポテンシャルを知って欲しい。」というパオロ氏の意向で、今回はパオロ氏のセラーから特別に熟成ボトルが用意されました。
特に、10年以上の熟成を経た2006年のモスカート・ダスティは、蜂蜜、熟したリンゴ、ミント、セージなどのブーケが表れてきており、熟成した偉大な甘口ワインの片鱗が感じられる見事な1本で、テイスティングしたスタッフもそのおいしさに驚いていました。このように常識外れの熟成ができるのも、凝縮した果実味と酸味を備えた最高品質のモスカートだからこそ。
ただ、熟成ワインを提供したパオロ氏の意図はあくまでもモスカートというブドウの偉大なポテンシャルを多くの人に知って欲しいという願いから。「フレッシュなうちに楽しむのが本来のモスカート」とパオロ氏は言います。
それにしても「早飲みのカジュアルな甘口ワイン」というイメージを払しょくするため、自宅のセラーで大切に熟成させたボトルをイベントのために持参してくださったパオロ氏のパッションと探究心に改めて感じ入ったテイスティングでした。
オススメは「アメリカン・ブランチ」 パオロ氏に聞く!モスカートの楽しみ方いろいろ
甘みのあるモスカート・ダスティ。何となく食事に合わせにくそう・・と思っている方も多いかもしれません。そこで、今回はパオロ氏おすすめの楽しみ方を伺ってみました。
その①アメリカン・ブランチ
意外な答えですが、パオロ・サラッコ氏が最近アメリカを訪れて一番感動したという組み合わせがこちら。アメリカン・ブランチには、フルーツやナッツ、パンケーキ、オムレツ、クロワッサン、生ハム、チーズ、蜂蜜、ジャム・・・と、モスカートに合う食材がたくさん! パオロ氏曰く、このブランチにモスカートがあれば「パーフェクトな時間を過ごすことができますよ!」とのこと。真似してみたい、何とも贅沢な組み合わせです・・・
その②フルーツ
本場ピエモンテでは、クリスマスのパネトーネ(ドライフルーツ入りの甘いパン)と一緒に食べるほかに、ピーチとの組み合わせが定番だそう。ちょうど日本でも桃のおいしい季節が始まりますが、カットした桃を直接モスカート・ダスティに入れてもいいそうです。フルートグラスに注げば見た目も美しく、食前酒として出せばどんなゲストにも喜ばれそうです。
その③エスニック料理
アロマティックな香りと爽やかな甘みをもつモスカート・ダスティは、スパイシーなエスニック料理とも好相性。例えば、ココナッツミルクを使った甘辛いシーフードカレーなどがおすすめの組み合わせだそうです。
今回は、巨匠、パオロ・サラッコ氏の熱いパッションに触れ、モスカートがもつ偉大なポテンシャルを存分に感じることができました。
ワイン初心者の方も、上級者の方も、様々なシチュエーションで楽しんでいただけるモスカート。皆さんもぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。
今回イベントが行われた ワインショップ・エノテカ アトレ川崎店
ワインショップ・エノテカ アトレ川崎店
住所 〒210-0007 神奈川県川崎市川崎区駅前本町26-1アトレ川崎店 3F
TEL 044-589-7238 / FAX 044-589-7239
E-mail atrekawasaki_shop@enoteca.co.jp
営業時間 10:00 ~ 21:00
住所 〒210-0007 神奈川県川崎市川崎区駅前本町26-1アトレ川崎店 3F
TEL 044-589-7238 / FAX 044-589-7239
E-mail atrekawasaki_shop@enoteca.co.jp
営業時間 10:00 ~ 21:00
サラッコ アイテム一覧 >