ストローワインってどんなワイン?

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公開日 : 2021.1.29
更新日 : 2023.7.12
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ストローワイン

通常、ワインを造る時はブドウを収穫したらすぐに破砕してジュースにします。そして白ワインは皮や種を取り除き、赤ワインはそれらと一緒に醸しますね。

しかし世の中には、凍ったブドウから造られるアイスワインや貴腐菌の付いたブドウから造られる貴腐ワイン、発酵途中でブランデーを添加して造られる酒精強化ワインなど、いろいろな種類のワインがあります。

では、ストローワインとはどんなワインかご存知ですか?今回はストローワインについて解説します。

目次

ストローワインとは?

ストローワイン(Straw Wine)とは、干しブドウから造られる甘口ワインのことを言います。収穫したブドウを藁(straw)の上で乾かしてから造られるためこのように呼ばれるようになりました。

現在は藁の上で干したブドウからだけでなく、吊るして干したブドウなどから造られたワインもストローワインと呼びます。

乾燥して水分が蒸散した干しブドウは糖度が高いため、醸造すると通常のワインよりもアルコール度数が1〜3%程度高くなり、赤ワインの場合でも白ワインの場合でも味わいは非常に濃厚で、長期熟成にも耐えうるワインとなります。

主な生産地はフランス、イタリア、スペイン、オーストラリアです。

代表的なストローワイン

覚えておきたい代表的なストローワインを紹介します。

ヴァン・ド・パイユ

ヴァン・ド・パイユ

フランス東部のジュラ山脈の西に位置するワイン産地、ジュラ地方で陰干ししたブドウから造られる甘口ワインがヴァン・ド・パイユです。

パイユ(paille)とはフランス語で「藁」という意味で、藁の上にブドウ敷いて乾燥させたことからこのように呼ばれています。

現在A.O.C.ヴァン・ド・パイユを名乗るには、ブドウを藁、または簀子の上に並べるか、吊り下げ、風通しの良い場所で最低6週間以上乾燥させることが義務付けられています。

ブドウ品種はサヴァニャン、シャルドネ、プールサール、トゥルソーの4種が認められています。

収穫から3年目の11月15日まで熟成させなければならず、そのうち最低18ヶ月間は木樽による熟成でなければなりません。そして熟成後は「ポ(Pots)」と呼ばれる375mlの特殊な小型のボトルに入れられて出荷されます。

味わいは濃厚な甘口でレーズンやカラメルの風味が特徴です。焼き菓子などのデザートはもちろん、フォワグラともよく合います。

なお、ローヌ地方のエルミタージュでも僅かながらヴァン・ド・パイユが造られています。

ペドロ・ヒメネス

ペドロ・ヒメネス

スペインのアンダルシア州南西部、大西洋岸地域で白ブドウから造られる酒精強化ワインのシェリーには、辛口から極甘口までいくつかのタイプがありますが、その中でも極甘口のペドロ・ヒメネスは天日で干したブドウから造られます。

原料となるペドロ・ヒメネス種のブドウは収穫後、エスパルトというゴザのような敷物に広げ約10日から2週間ほど天日干しされます。そして、その干しブドウから得られる濃厚なブドウジュースを発酵させずに酒精強化をするため、ブドウ本来の高い糖度を残したワインとなります。

なお、熟成は他のシェリー同様にソレラシステム(※)で行われます。

ペドロ・ヒメネスはグラスに注ぐと向こうが見えないほどの濃い茶褐色で味わいも非常に甘く濃密です。そのまま飲むのはもちろん、バニラアイスクリームにソースとして注げば絶品デザートになります。

※ 何段にも樽を積み重ね一番下のソレラと名付けられた樽からシェリーを取り出してボトリングし出荷する。そして、ソレラの減った分を二段目の樽から継ぎ足し、さらにその目減り分を上の樽から補充するという具合に順次継ぎ足して熟成させるシステムのこと。若いワインと既に熟成しつつある古いワインをブレンドされ安定した品質と個性を持つシェリーが生み出されます。

アマローネ

アパッシメント

アマローネは、イタリアのヴェネト州ヴァルポリチェッラ地区で、アパッシメントにより果実味と糖分を凝縮させたブドウから造られる赤ワインです。

糖度の高いモスト(ブドウジュース)はほぼ全て発酵させるため辛口となり、アルコール度数14%以上でボリューム感のあるワインになります。

原料ブドウはコルヴィーナ・ヴェロネーゼ、ロンディネッラ、モリナーラの3種ですが、コルヴィーナ・ヴェロネーゼを主体として造られ、最低2年間、リゼルバは4年以上の樽熟成が必要です。

アマローネという名前は、後味に残る苦味(Amaro)に由来しています。

芳醇な香りとビターチョコレートのような濃厚な味わいが特徴で、中には20年以上もの長期熟成が可能なワインも存在します。

また、アマローネ同様にアパッシメントにより糖度の高いモストを造り、糖分を残して甘口に仕上げた赤ワインをレチョート・デッラ・ヴァルポリチェッラと呼びます。

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ストローワインに関する用語

ストローワインに関連する用語をまとめてご説明します。

アパッシメント

陰干ししたブドウ

収穫したブドウを2〜3ヶ月陰干しすることによりエキスを凝縮させることをアパッシメントと言います。前述したアマローネがこの方法で造られます。

そして、アパッシメントによって得られた濃厚なブドウジュースから造られる甘口のワインのことをイタリアではパッシートと言います。

レチョート

パッシートと同じく陰干ししたブドウから造られる甘口ワインで、ヴェネト州で造られたものをレチョートと言います。

レチョートとはイタリア語で「耳たぶ」という意味で、ブドウを耳たぶくらいの硬さになるまで乾燥させることから名付けられたと言われています。

レチョートは発酵段階のブドウを使用するため甘口になりますが、完全に発酵が完了すると辛口のワインになります。

パスリヤージュ

パスリヤージュ

ブドウの実を収穫せずに収穫時期を遅らせ、完熟を過ぎた状態にすること。水分が蒸発し糖度の上がったブドウができ、甘口に仕上がります。

厳密にはストローワインではありませんが、干しブドウを使用しているという点は同じで、造られるワインも似た特徴を持っています。

ニューワールドで造られる「LATE HARVEST」と書いてある甘口ワインはこの手法で造られています。

まとめ

甘口のデザートワインといえば、貴腐ワインやアイスワインが有名ですが、ストローワインもまた手間を惜しまずに造られる希少なワインです。

ブドウ本来の自然な甘みと酸味はもちろん、干しブドウに由来する濃縮感と焦がしたカラメルのようなほのかな香りと苦味は、他の甘口ワインにはない素晴らしい個性です。

普段、辛口のワインしか飲まないという方も是非一度お試し下さい。

参考: 日本ソムリエ協会 教本 2020

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