南ローヌの銘醸地、ジゴンダスの特徴

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公開日 : 2023.5.9
更新日 : 2023.5.24
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南ローヌの銘醸地、ジゴンダスの特徴

南フランス・ローヌ地方南部の銘醸地、ジゴンダス。温暖な気候に恵まれた人口600人ほどの小さな街ジゴンダスで生まれるワインは、なんと言っても豊かな果実味が魅力です。


主に赤ワインが生産されており、濃厚で飲み応えがありながらも果実のやわらかな甘みがあり赤ワイン初心者にもおすすめです。


そこで今回はジゴンダスについて解説するとともに、同じくローヌ南部を代表するワインであるシャトーヌフ・デュ・パプと比較してみたいと思います。

目次

ジゴンダスとは?

ダンテル・ド・モンミライユ山
ダンテル・ド・モンミライユ山

ジゴンダスは南フランスのワイン産地ローヌ地方南部にあるダンテル・ド・モンミライユ山の麓に位置する村で、この村にのみ認められたAOCです。


アルデッシュやヴォークリューズなどローヌ地方4県95市町村に認められている広域AOCのコート・デュ・ローヌ・ヴィラージュから1971年に単独で独立しました。


AOCジゴンダスは2022年9月に白ワインが新たに追加され、現在赤ワイン、白ワイン、ロゼワインが認められています。


2022年12月時点では全生産量の9割が赤ワイン、1割がロゼワインとなっています。

ジゴンダスは地中海へ向かってローヌ地方を流れ下るローヌ川の左岸にあり、シャトーヌフ・デュ・パプからちょうど東へ20㎞、小さな山脈ダンテル・ド・モンミライユの北西に位置します。森林面積が1500haと広いのに対し、ブドウの栽培面積は1200haほどとなっており、生物多様性に富んだ自然と古い街並みが美しい産地です。

聖人コスマスと聖ダミアンの礼拝堂

ワイン造りは紀元前1世紀にローマの軍人がこの地域にブドウ樹を植えたことに始まったとされており、2000年以上の長い歴史があります。


19世紀にはフランス全土を襲ったフィロキセラでジゴンダスのブドウ畑も荒廃し、ブドウにかわってオリーブが導入されました。しかし、1926年、1956年にオリーブが大きな霜の被害を受けたため、再びブドウが栽培されるようになりました。


ジゴンダスは赤・ロゼともにグルナッシュを中心に2、3種のブドウ品種をブレンドして造られます。収穫翌年の1月までの熟成が義務付けられており規定は短めですが、一般的には多くの生産者が1年程度熟成させてから出荷しています。


温暖な気候に由来するたっぷりとした果実味と凝縮感、バランスの良さ、滑らかなタンニンが特徴で、数年から数十年の長期熟成可能なワインもあります。

シャトーヌフ・デュ・パプとの違い

ローヌ南部を代表する二つのワイン、ジゴンダスとシャトーヌフ・デュ・パプ。両者の距離は20㎞ほどと近いですが、テロワールは大きく異なります。詳しく見ていきましょう。

ブドウ品種

黒ブドウ

赤ワインと白ワインが認められているシャトーヌフ・デュ・パプは原料ブドウが13品種も認可されていることで有名ですね。通常はグルナッシュを主体に3〜4品種をブレンドして造られますが、そのブレンド比率に規定はありません。


一方、ジゴンダスは赤ワインとロゼワインに関してはグルナッシュを50%以上、補助品種のシラーとムールヴェードルは合計15%以上使用することが義務付けられています。規定では主要品種と補助品種の作付け比率が90%以上でなければいけません。なお、カリニャンとマルスランを除くAOCコート・デュ・ローヌの付帯品種(※)の栽培も認められています。


そして白ワインに関しては10もの品種が認められています。その中でクレレット・ブランシュを70%以上使用することが義務付けられており、補助品種であるヴィオニエとユニ・ブランは最大5%までの使用が認められています。

※A.O.C.コート・デュ・ローヌの付帯品種 ブールブーラン、カマレーゼ、ヴァカレーゼ、カラドック、カリニャン、サンソー、クレレット、クレレット・ロゼ、クーノワーズ、クーストン、グルナッシュ・ブラン、グルナッシュ・グリ、マルサンヌ、マルセラン、ミュスカルダン、ピクプール・ブラン、ピクプール・ノワール、ルーサンヌ、テレ・ノワール、ユニ・ブラン、ヴィオニエ。ローヌ地方以外ではほとんど栽培されていない品種が多く含まれています。

土壌

ジゴンダス畑

ローヌ川に近いシャトーヌフ・デュ・パプの土壌は、古代ローヌ川によって運ばれた玉石土壌、いわゆるギャレと呼ばれる土壌が多く見られます。


赤い粘土の上に拳ほどの大きさの石がゴロゴロところがった土壌で、通気性と水捌けに優れ、日中の太陽の熱を蓄えて夜間も土壌が保温されるため、凝縮したブドウが実ります。その他にも、白亜紀の石灰質層を覆う砂質の土壌、赤い粘土土壌などシャトーヌフ・デュ・パプの土壌は多岐にわたります。


ジゴンダスの畑はダンテル・ド・モンミライユの裾野に広がっています。ダンテル・ド・モンミライユは2億年前に海から押し出され、その後何万年にもおよぶジュラ紀と白亜紀の石灰岩と泥灰土、新生代の砂と砂岩の蓄積と浸食によって今日の地質に至っています。


よって、ジゴンダスの丘の斜面に段々に広がるブドウ畑は石灰岩の泥灰土の土壌となっています。ジゴンダスの土壌は、一般的に川の影響を大きく受けて形成されたローヌ地方の土壌とは異なるのです。

標高

ジゴンダス風景

なだらかな丘陵地帯がひろがるローヌ南部の中で、ジゴンダスのブドウ畑は標高140m〜400mと少し高めの斜面に広がっています。ローヌ南部一体は温暖な地中海性気候ですが、ジゴンダスは山から吹き下ろす風と、北からのミストラル(ローヌ渓谷から地中海に向かって吹き抜けるこの地方独特の強風)の影響でローヌ南部の他の地区よりも冷涼です。


実際、ジゴンダスの平均気温はシャトーヌフ・デュ・パプより1度ほど低く、収穫もシャトーヌフ・デュ・パプより2週間ほど遅くに行われています。


また、ジゴンダスのブドウ畑の大半が西北西を向いているため、畑の風通しも良く、夏の過度の暑さからブドウが守られています。そのため、ワインには繊細さと程良い酸味が生まれます。


温暖な気候のもと、ローヌ南部の主要品種グルナッシュを中心に造られるジゴンダスとシャトーヌフ・デュ・パプ。


お互い果実味が豊富で飲み応えのあるワインとなりますが、より冷涼な気候で石灰岩が広がる土壌で生まれるジゴンダスの方が、程良い酸味と繊細さを兼ね備えたエレガントなワインとなるのです。

ついにジゴンダスに白ワインが認可

1971年の原産地呼称認定から50年もの時が経ったジゴンダスに新たなニュースが。


2022年9月8日、国内委員会会議が開かれ、I.N.A.O.(国立原産地品質研究所) によりAOCジゴンダスの白ワイン導入が認められたのです。


白ワインは2023年ヴィンテージから生産可能となり、以下品種の使用が認められています。

・クレレット・ブランシュ(最低70%使用必須)

・ブールブーラン

・クレレット・ロゼ

・グルナッシュ・グリ

・グルナッシュ・ブラン

・マルサンヌ

・ピクプール

・ルーサンヌ

・ヴィオニエ、ユニ・ブラン(最大5%まで使用可)

現在は16ha以上の畑で30人ほどの生産者が白ブドウを植えているとのこと。そして今後5年間で生産者の15%が白ワインを醸造すると予測されています。


先ほどご説明したように、ジゴンダスは石灰岩土壌を有し、南部ローヌの他の地域と比べて標高が高く冷涼な気候。クリーンでミネラル感豊かな白ワインが生み出されるのではないかと期待されています。 

白ワイン認可について詳しく知る

まとめ

ローヌ南部で生まれる二つのワイン、ジゴンダスとシャトーヌフ・デュ・パプの違いをおわかりいただけたでしょうか?


日本では一般的にジゴンダスより知名度の高いシャトーヌフ・デュ・パプの方が価格は少し高めですが、優劣はありません。ワイン会等をする機会があれば、この二つのワインを飲み比べてみるのも面白いでしょう。

参考: 日本ソムリエ協会 教本 2020     Gigondas vin. http://gigondas-vin.com

ジゴンダスの商品一覧はこちら

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