ワインを飲むのに欠かせないワイングラス。せっかくお気に入りのグラスを手に入れたからには、ピカピカの状態を保って綺麗なグラスでワインを飲みたいですよね。
でも正しいお手入れをしていないと、水垢ができたり曇ってきたりするものです。さらにはワイングラスを洗っている時や拭いている時に、つい力が入って割れてしまったりポキッと折れてしまったり……。
今回は大事なワイングラスの正しいお手入れ方法をワイングラスの名門ブランド「リーデル」でブランドアンバサダーを務める庄司大輔さんの解説とともにお伝えします。
正しいワイングラスの洗い方、拭き方、保管方法をぜひ今日から実践してみてくださいね。
解説してくれるのは、庄司大輔さん
RSN Japan株式会社 / リーデル ブランドアンバサダー。2001年リーデル・ジャパン入社、日本人初の「リーデル社グラス・エデュケイター」となる。リーデルグラスとワインの深いつながりやその機能を、グラス・テイスティングを通して広く伝えるため、文字通り東奔西走している。
ワイングラスのお手入れの鉄則
まずグラスのお手入れで一番大切なことは、酔っ払ってしまったらその日の洗浄はやめることです。
美味しいワインを飲んで良い気持ちになり、おぼつかない手元でグラスを洗い、割ってしまった……なんてことになったら、楽しかったはずのワインタイムも台無しになってしまいます。そんなことを未然に防ぐために「酔ったら洗わない!」が鉄則です。
そして、もう一つの鉄則が「洗うなら拭く、拭かないなら洗わない」です。洗って拭かずに自然乾燥すると、ワイングラスに水滴汚れ(ウォータースポット)がつく原因になります。
翌朝、楽しかった昨晩のワインタイムに浸りながらグラスの洗浄、拭き上げを行いましょう。
グラスのプロに聞く!お手入れのポイントは?
薄くて脚が長いワイングラスは壊れやすいイメージがあるかもしれませんが、怖がらないでください。正しい扱い方をすれば心配ありません。 今回ご説明する正しい扱い方を実践してみてくださいね。
グラスを割らない!洗い方のポイント
グラスの洗浄時に起こりがちな破損事故の原因の一つは蛇口です。ステムが長くボウルが大きいワイングラスは、普段のコップを洗う感覚だと大きさに慣れず、蛇口にぶつけて欠けたり割れたりしやすいです。
蛇口の位置を調整できる場合は、移動させてシンクに十分なスペースを確保してから洗浄しましょう。
ワイングラスの正しい洗い方を庄司さんに教えてもらいました。
ワイングラスの正しい洗い方
①30度〜40度くらいのぬるま湯で、中性洗剤をつけたスポンジで洗います。
※スポンジは食器用とグラス用で分けて使いましょう。
②特に汚れやすいのは、口紅などが付着する飲み口の部分です。グラスは薄いので、力を入れずに注意して洗いましょう。
※グラスの内部は無理に手を突っ込んでゴシゴシ洗う必要はありません。ボウルが大きくて底まで届かない場合も無理せず、内側に入った洗剤をゆすぐ程度で十分です。
③飲み口の部分の汚れが取れたら、泡で手が滑らないように注意しながら洗い流します。
グラスのプロに聞く!どうしてぬるま湯が良いの?
冷たい水よりも温かい水の方が、グラス表面の水はけが良くなります。水はけが良いと、水滴が少なくなり拭き上げが楽になります。 ただし、温度が高すぎてもグラスにとって良くないのでぬるま湯で洗いましょう。
グラスのプロに聞く!どんなスポンジがおすすめ?
家庭用のスポンジで問題ないですが、研磨剤が入ってないスポンジにしてください。グラスに傷がついてしまうのを防ぎます。
グラスのプロに聞く!食器洗浄機を使っても大丈夫?
リーデル社のグラスにおいては食器洗浄機の使用は原則OKですが、必ず食器洗浄機の説明書きに従ってください。 グラス同士がぶつかって割れたり、他の食器やカトラリーなどと触れ合って割れることがないよう配慮が必要です。
綺麗に保つ!拭き方のポイント
グラスの洗浄後は、水垢を防ぐため早めに拭き上げることが大切です!
洗い終わったグラスのボウル部分を下にして置いて水気を切るのは、バランスが悪く倒れる危険性があるのでやめましょう。もちろん、そのまま放置すると水垢の原因にもなります。
正しいグラスの拭き方を庄司さんに教えてもらいました。
グラスのプロに聞く!グラスの拭き方のポイントは?
グラスはとにかく「捻じる」力に弱いので、その力を与えないことが大切です。絶対に台座とボウルを持って捻じらないでください。 また、たくさんのグラスを拭いているときに布きんが濡れてきたら、すぐに交換しましょう。布きんが水を吸ってグラスに張り付いている状態で無理に力を入れて拭くと、割れる原因になります。 特にボウルの内側は、手で拭こうとするのではなく布きんで拭き上げていくイメージです!
グラスの正しい拭き方
①大きめの布きんを2枚用意し、それぞれ手に持ちます。
②台座部分を布きんで包み込むようにして支え、ステムと台座を拭きます。
③ステムと台座を拭いたら、手でボウルの下を包み込むようにして持ち替え、布きんをボウルの中にフワッと入れます。布きんに指を添えて底の水滴まで取るように4、5回クルクルと布きんを回します。
④外側は縦方向に布きんを動かし、拭き上げると安全です。
⑤最後に水滴が残ってないか確認して完了です。
グラスのプロに聞く!どんな布きんがおすすめ?
ある程度大きくて、毛羽立ちがなく、吸水性の高い布を使うのがおすすめです。そういったグラス用のクロスなら拭き上げが楽なので、グラスが割れるリスクが減ります。 大きめの布きんがない場合、水滴を取る分にはキッチンペーパーでも代用できます。ただ、磨き上げることはできないのでぜひ大きめのクロスを手に入れてみてください。
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グラスのプロに聞く!しばらく使わなかったグラス、どうしたらいい?
ほこりが溜まって曇っている時は、使用前に軽く水洗いをして拭くと良いでしょう。簡単にゆすぐだけでも良いですし、お湯の温度を少し上げて、グラスを蒸らすように洗い、磨けばピカピカになります。 一方、軽い水垢がついていた場合は、酸性のもので中和させると良いです。お酢やレモン果汁が効果的と言われています。 ただ、頑固な水垢になると簡単には落ちないので、普段から水滴を残さず拭き上げるようにしましょう。
意外と困る?グラスの保管方法
ワイングラスについての盲点が保管場所。高さも幅もあるワイングラスは自宅での保管スペースを確保するのが意外と大変です。できれば購入前に自宅の食器棚の高さを確認しておくのが良いでしょう。
台座のほうが重いため、立てて置くのが理想の保管方法ですが、高さがあるため食器棚に入らないことも多いと思います。
安全に、そして綺麗に保管するには購入時の箱に入れておくことをおすすめします。ほこりの付着も最小限に抑えることができますよ。
グラスのプロに聞く!グラスの保管どうしてる?
使用頻度が低いものは購入時の箱に入れています。保管スペースの問題やほこりの付着のことを考えると一番良いですね。 我が家にはグラスハンガーもあるので、使用頻度が高いグラスはここに吊るしています。 便利なんですが、大失敗だったのが設置場所です。コンロの近くに設置したのでグラスに油が跳ねてしまってほこり、油、ほこり、油……という層の汚れがついて厄介です。 ぜひこれからグラスハンガーを設置するという方はコンロから遠いところにつけてくださいね!
グラスのプロに聞く!飲む前に気を付けることは?
食器棚や箱から出してすぐのグラスにワインを注ぐのはNGです! ワインを注ぐ前の洗浄と拭き上げが大切!匂いやほこりを取るこのひと手間を加えるだけで、良い状態のグラスで美味しくワインが楽しめますよ。
まとめ
ワイングラスはワインの美味しさを引き出すために欠かせません。そのお手入れもまた、ワインライフに欠かせない重要なステップです。
正しいお手入れ方法を実践すれば、割れるリスクも最小限に抑えることができます。ぜひ、今回ご紹介した洗い方、拭き方、そして保管方法を取り入れてみてください。
皆さまのワインライフがより楽しく、美味しくなりますように。
ワイングラス一覧
文=川畑あかり