コント・ラフォンやルフレーヴといったブルゴーニュの有名ドメーヌと並び、英ワイン専門誌Decanterの選ぶ”世界の白ワイン生産者TOP10”にランクインしたトリンバック。「アルザスのロマネ・コンティ」とも称されるクロ・サンテューヌを手掛ける、アルザス地方の超名門ワイナリーです。
今回はそんなトリンバックの魅力を改めてお伝えします。
世界最高峰の白ワイン「クロ・サンテューヌ」
ラベルにも描かれているクロサンテューヌの畑からの景観
トリンバックの地位を確固たるものにしているのが、アルザス最高のリースリングに留まらず、世界最高峰の白ワインの一つとも言われる「クロ・サンテューヌ」の存在ではないでしょうか。
ワイン評論家ヒュー・ジョンソン氏曰く、「アルザスで最も偉大なリースリング」。世界最優秀ソムリエ、セルジュ・デュブ氏も「ワイン愛好家が味わうことを夢見るリースリングがあるとすれば、それがクロ・サンテューヌだ」と語るなど、ワイン愛好家にとって憧れの白ワインです。
今でこそ当たり前になった単一畑でのワイン造りですが、クロ・サンテューヌは時代に先駆け1919年から生産されています。アルザス地方のグラン・クリュが制定された1975年には、既に圧倒的な知名度を誇っていたそうです。そのため実際にはロザケールという特級畑の一画なのですが、敢えてグラン・クリュを名乗らず、現在でも孤高の存在として君臨し続けています。
畑の面積は1.6ha、年間平均生産量はたった8000本。あのロマネ・コンティの畑が1.8haですから、希少さという点でも「アルザスのロマネ・コンティ」と呼ぶのに相応しい存在かもしれません。
品質の秘密
クロ・サンテューヌがどんなに凄いワインでも、普段から飲めるワインではありませんよね。ご安心ください。トリンバックは手頃なワインも高品質なことが魅力の一つです。
その秘密は自社畑にあります。古くから名門として君臨していたトリンバックは、アルザス地方でも4番目に大きな55haの自社畑を所有し、そのうちの35%が特級畑。アルザス全体のブドウ畑に対する特級畑はわずか4.5%ということから、どれほど優良な畑を所有しているかが分かります。
トリンバックは元々、アルザスの特級畑の認定が甘すぎるとして、グラン・クリュ制度に反対する姿勢をとっていた生産者の一人でした。それ故に、これらの特級畑を個別にボトリングせずに、自分たちの商品に合わせて適宜ブレンドしていることが、トリンバックの造るワインの品質を支えています。
例えば、リースリング セレクション・ド・ヴィエイユ・ヴィーニュはクロ・サンテューヌと同じ特級畑ロザケールのブドウが15%前後、リースリング・レゼルヴにはキルシュベルグ・ド・リボヴィレという特級畑のブドウが10%前後ブレンドされています。どちらのワインも比較的手頃ですが、評論家からそれ以上に高い評価を得ていることが納得できる理由です。
ちなみに特級畑のブドウがブレンドされている銘柄はこの他にもありますが、全てレゼルヴ以上のワインとなっているため、手を伸ばしやすいレゼルヴシリーズが最もお買い得なワインと言えるでしょう。
食事と共にあるワイン
そしてトリンバックの最大の魅力は、何といってもフードフレンドリーなことです。
ワイン造りに新しいオーク樽を使用しないアルザスワインは、一般的にフードフレンドリーと言われていますが、その中でもトリンバックのワインは群を抜いています。
それもそのはず、トリンバックのワイン造りのポリシーは「ワインは食事と共にあるべし」という考え。ワインのバランスを重視し、常に辛口であることに拘っています。
辛口なのは当たり前と思う方も多いかもしれませんが、アルザス地方ではある程度の糖分を残し、やや甘みを感じる中辛口のワインを造る生産者が比較的多いのです。
それに対してトリンバックは、ゲヴュルツトラミネールなどの元来甘味を感じやすい品種のワインに至るまで、食事と合わせやすい辛口仕上げ。(※1)そのスタイルが手伝ってか、フランスのミシュラン3つ星レストラン全店にトリンバックのワインが採用されているほどです。(※2)
(※1)甘口ワインとして作っているヴァン・ダンジュ・タルディヴ、セレクション・グラン・ノーブルを除く(※2)2016年12月時点
ブドウ本来の味わいを活かした、透明感があり辛口のトリンバックのワインは合わせる料理を選びませんが、特に和食のように素材重視でシンプルな味付けの料理と相性抜群。我々日本人にとって、最大の魅力と言えます。
12代目であるジャン・トリンバック氏のお気に入りのペアリングは、鮨や刺身といった生の魚介にはピノ・グリ、天ぷらや鮎の塩焼きなどにリースリングだそうです。ぜひご自宅でトリンバックのワインを楽しむ際に参考にしてくださいね。
まとめ
アルザスのトップ生産者トリンバックの魅力をお分かりいただけたでしょうか。
ボルドーやブルゴーニュのようなプレミアム産地のワインほどは値上りしておらず、未だ手の届く価格。フードフレンドリーなスタイルは、家に常備しておきたいワインです。
またワイン愛好家ならば、憧れのクロ・サンテューヌを1度は飲んでみたいところでしょう。本数は限られますがエノテカにも入荷しますので、機会があればぜひお試しください。
トリンバックの商品一覧はこちら