長い歴史と膨大な生産量、そしてブドウ栽培に適した土地と気候、さらに高い品質を保持する技術により、「ワインの女王」と評されるボルドーワイン。
「女王」と聞くと女性的な味わいが想像されますが、ボルドーワインの味わいは「渋み」「飲み応え」「力強さ」「どっしり重厚」と表現され、どちらかというと男性的なイメージかもしれません。
ボルドーワインと一言に言ってもその味わいは様々です。そんなボルドーワインに合う料理を、四つのタイプに分けてご紹介します。
ボルドールージュに合う料理
ボルドーは白ワイン、ロゼワイン、スパークリングワイン、甘口の貴腐ワインと幅広く生産されていますが、代表的なのはやっぱり赤ワイン。
ボルドーの産地をざっくり大別すると、主流となる川(ジロンド川とその上流のガロンヌ川)の左側に位置する「左岸」、右側の「右岸」に分けられます。左岸と右岸では土壌が違うため、造られるワインの傾向も違います。
砂利質で水はけが良い左岸は、カベルネ・ソーヴィニヨンの比率が高めで、酸味とタンニンのしっかりとした力強い赤ワインが特徴です。
対する右岸は粘土質で、メルロが多く栽培されています。カベルネ・ソーヴィニヨンに比べ、渋みが少なく丸みのある味わい。エレガントで女性的な味わいのワインになる傾向にあります。
そんな味わい別にピッタリな料理をご紹介します。
カベルネ・ソーヴィニヨン主体のワインには?
カベルネ・ソーヴィニヨン主体の赤ワインは、スモーキーさのなかに豊かな果実感と酸味、渋み、奥行きと複雑さのある味わい。
どっしりとしたフルボディが多いので、何といってもお肉と相性抜群です。牛肉やラム肉のステーキ、ローストビーフ、チンジャオロースなど、濃厚な旨味を味わう肉料理全般と間違いない相性を発揮してくれます。
中でも抜群の組み合わせは、ビーフシチューでしょう。お肉はごろごろっと大きめサイズにカット。スパイスを効かせて、じっくりコトコト煮込んだこだわりの料理がお似合いです。
肉の脂がワインの渋みをまろやかにまとめ、ワインは肉の脂をさっぱりさせる相関性。後味の余韻に顔を出すワインの酸味が、次の料理へのインビテーションのように止められなくします。
料理が得意な方は、煮込みながらワインを入れちゃうのも手。作りながらちょっとだけ、天使の分け前をいただいちゃいましょう。
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メルロ主体のワインには?
メルロ主体の赤ワインの特徴は、丸みを帯び、きめ細やかで穏やかなタンニン、ふくよかさと滑らかな舌ざわり。プラム、ブルーベリー、ブラックチェリーのような果実味と酸味、明るく洗練された味わいです。
合わせる料理も、まろやかな味付けの肉料理、柔らかな食感のハンバーグが好相性です。こちらは煮込まず、焼き上がりにソースをかけるくらいがちょうど良いでしょう。
また、デミグラスソースをかけたメンチカツ、ハッシュドビーフ、グラタンなど地元の洋食屋さんに出てきそうなお料理や、コロッケなど家庭料理にも合わせやすいワインです。間口が広く、前菜からメインまでこれ1本で通せて、決して飲み疲れることのない親しみやすさも魅力です。
カジュアルラインのメルロ主体のワインは「会話を楽しみながら」がお似合い。ボルドーワインの入門編にもおすすめです。家族や親しい友人と一緒にお楽しみください。
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ボルドーブランに合う料理
ボルドーブランとは、ボルドー地方で造られるドライタイプの白ワインの総称。ボルドーと言えば赤ワインというイメージが強いですが、秀逸な白ワインも豊富に産出されています。
爽やかで華やかなアロマと、味わいは香りほど直線的ではない繊細でやわらかな酸、最後にほんのり甘い香りの余韻が残ります。
休日のお昼に、のんびりと飲みたい華やかさのあるボルドーブラン。爽やかなアロマは、香りを味わう春野菜にしっとり寄り添ってくれます。
特に、カブや若竹、菜の花などに、ダシの旨味を含ませる炊き合わせとの相性は素晴らしく。少し甘めのダシを合わせると、ワインの酸が奥からふわっと立ち上がり、更なる広がりを楽しめます。
軽くしめたサバや甘酢など、酸味のある料理と合わせると、ワインに酸を補完して協調し合うペアリングに。他にも、柚子の香りを添えたおひたし、煮こごりや寒天よせ、天ぷらなど、上品でクラシカルな和食全般によく合います。
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ソーテルヌに合う料理
ソーテルヌとは、フランス・ソーテルヌ地区で造られる甘口白ワインを指します。限られた気候条件の元でしか造ることができない、貴重なワイン。
モモやアプリコット、南国フルーツの果実味が広がり、リッチでクリーミーな味わいです。程良い酸が甘みを穏やかにしており、ベタッとした印象は全くなく、透明感があり、とても綺麗な余韻が残ります。
メイン料理を食べた後に、ゆったり贅沢な時間を楽しむ……ソーテルヌは、豊かな大人時間を作ってくれるワインです。アイスクリームやチーズケーキ、フルーツタルトなどに合せると、甘みに深みと風味をプラスし、いつものデザートをグッと格上げしてくれます。
甘い物は苦手という方は、生ハムやチーズでいきましょう。いずれも、ちょっと塩気の強いタイプがおすすめです。ブルーチーズにハチミツをかける代わりに、ソーテルヌを合わせるイメージで。ご家族やお子さんがデザートを楽しむ横で、塩味食材と甘口ワインの逆ベクトルペアリングを堪能してください。
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まとめ
格付けシャトーの高級赤ワインはもちろん魅力的ですが、親しみやすい軽やかな赤ワインや白ワインも素晴らしいボルドー。
肩肘張らずとも、日本の食卓にスッと溶け込んでくれる懐の深さを感じます。
もちろん、感じ方は人それぞれ。今回ご紹介した組み合わせが、ペアリング探しのヒントになれば幸いです。