ボルドーと聞いて、赤ワインの濃い色味や豊富なタンニン、あるいは豪華絢爛なシャトーを思い浮かべる方が多いかと思います。
実はそのボルドー、海から近い港町で魚介をよく食べるため白ワインも豊富ってご存知でしょうか。
ここでは、その特徴と楽しみ方、そしてトップシャトーが造る特別なボルドーブランをご紹介していきます。
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ボルドーブランとは?
ボルドーブランとは、その名の通りボルドーで造られる白ワインの総称です。今回は辛口のボルドーブランに焦点を当て、ご紹介していきます。
使用される品種は、ソーヴィニヨン・ブラン、セミヨン、ミュスカデルの三つ。
ソーヴィニヨン・ブランは、柑橘類や花を思わせる瑞々しく溌剌としたアロマと酸を、セミヨンは厚みのある果実味と芳醇さを、そしてミュスカデルは華やかな香りをワインに与えます。
ボルドーブランのほとんどは、ソーヴィニヨン・ブランとセミヨンのブレンドです。
フランスのソーヴィニヨン・ブランといえば、ロワール地方で生産されるものが有名ですが、ロワールは基本的に単一品種で造られるのに対し、ボルドーではセミヨンとブレンドして造られることが多いため、骨格のしっかりとしたバランスの良いワインとなります。
この2つの品種が絶妙なバランスでブレンドされることで、端正さとふくよかさを兼備したボルドーブラン特有の魅惑的な味わいを生み出しているのです。
赤ワインよりも古い!?ボルドーブランの歴史
ボルドーブランには欠かせない、代表的な品種ソーヴィニヨン・ブラン。
ボルドーにおけるソーヴィニヨン・ブランの歴史は1600年代頃からと推定されており、なんと赤ワインよりも長い歴史をもつと言われています。
「フランスの白ワインと言えばブルゴーニュのシャルドネ」という認識が強く、ソーヴィニヨン・ブランはそのフルーティーさやアロマが“初心者向け”、“青臭い”と言われていた時代もありましたが、1980年代に入りボルドーではソーヴィニヨン・ブランの研究、改善が進められました。
その結果、1980~90年代にはソーヴィニヨン・ブランはフレッシュかつフルーティーなワインとして人気を博します。
さらに、醸造学の権威であるボルドー大学の教授により「ソーヴィニヨン・ブランは木樽で発酵させると良い」という新しいアイディアが発表され、実践、試行錯誤することにより、フルーティーな味わいに加え木樽による複雑味をもった、洗練されたワインとなっていくのです。
ソーヴィニヨン・ブラン主体のワインは、品種の個性である爽やかさを生かしてフレッシュ感のあるワインに仕立てるため、ステンレスタンクを用いて発酵・熟成が行われることが一般的ですが、今や木樽を用いることで生まれる、複雑味を帯びた芳醇な味わいがボルドーブランを下支えする特徴となっています。
おすすめの楽しみ方
ヴィンテージが若いうちはよく冷やして、3年程度の熟成を経たら温度は少し高めにして楽しみましょう。
リリースしたてのボルドーブランは、樽感の少ないフレッシュなタイプであれば8℃くらいまでよく冷やすのがおすすめです。しっかり冷やすことによって、フレッシュさが際立ちます。
また樽感の効いた、しっかりタイプのボルドーブランは10℃前後がおすすめ。少し温度を上げることで、果実に加え樽の香ばしい香りを十分に楽しむことができます。
熟成を経たタイプは、温度が低すぎると奥深い香りが十分に感じられなくなってしまうため、樽の効いたタイプと同様、10℃程度を目安に冷やしてみましょう。じっくり温度の高まりによるアロマや舌触りの変化を楽しむことができますよ。
ボルドーブランとペアリングしたいのは、何と言っても和食。
ミネラルによる厚みとシャープさは、お刺身やお寿司にもピッタリです。また、爽やかなアロマは山菜の天ぷらや菜の花のおひたしなど、野菜の瑞々しい香りと味わいにも寄り添ってくれます。
数年熟成を経た、奥深いタイプのボルドーブランは、発酵食品を使用した西京焼や、たっぷりの出汁を吸った煮浸しなどと好相性。
今日は和食を楽しみたいという日は、ぜひメニューに合わせてボルドーブランを選んでみてくださいね。
トップシャトーの造るワイン
手頃なものから中には10万円を超える高額のものまで価格帯の広いボルドーブラン。
中でも有名シャトーが造る白ワインは、ワイン好きなら一度は飲んでみたいと思われるのではないでしょうか。
今回はトップシャトーが造り出す極上の白ワインをピックアップしてご紹介します。
シャトー・ムートン・ロスチャイルド
ボルドーのメドック格付け第1級、シャトー・ムートン・ロスチャイルド。
大シャトーの中でも特に豪奢で明朗、堂々たる味わいのスタイルと、アートラベルやジョイントベンチャーなどビジネス面の挑戦の両面で、ワインラヴァーを楽しませてきました。
そのシャトー・ムートン・ロスチャイルドが、1991年に約35年ぶりに復活させたのが「エール・ダルジャン」という白ワインです。
シャトーはかつてより白ワインを生産していましたが、1956年に起きた霜害以降、赤ワインの復活が主眼となり、白ワインの生産量は激減しました。
その後、客人に振る舞うためだけにプライベート用の白ワインを手掛けていましたが、あまりの美味しさに客人たちから声が上がり、エール・ダルジャン(=銀の翼)の名のとおり飛躍し、輝かしい復活を遂げたのです。
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シャトー・マルゴー
ボルドーの中でも最も高貴と言われ、エレガンスを極めた女王的存在のシャトー・マルゴー。日本でも絶大な人気を誇ります。
そのシャトー・マルゴーが、ソーヴィニヨン・ブラン100%で造るのがこちらの「パヴィヨン・ブラン・ドゥ・シャトー・マルゴー」。
わずか12haの畑から厳選されたブドウのみが使用され、生産量はマルゴーの5分の1という稀少な1本です。
19世紀にソーヴィニヨン・ブランの白ワインとして販売され、1920年頃にはパヴィヨン・ブラン・デュ・シャトー・マルゴーとして存在していた、長い歴史を持ちます。
ヴィンテージによっては、30年は熟成が可能と言われるほどのポテンシャルを持った、極上のボルドーブランです。
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シャトー・オー・ブリオン
数世紀に渡る歴史を持つ由緒正しきシャトー、オー・ブリオン。
ボルドーで最初に発酵槽にステンレスタンクを用いるなど、技術革新にも積極的。しっかりとした骨格を備える雄大なスタイルが、人々を魅了し続けています。
そのシャトー・オー・ブリオンが造り出す白ワインは、ボルドーで最も稀少と言われています。
19世紀にオーナーであったラリユー家が抱いた「甘口ワインのように、最高に甘美なアロマを持つ辛口白ワインを造る」という壮大な夢に基づいて造られ始めました。
年間生産量はたった450~650ケースほど。その稀少性と他にはない独特のスタイルで、他のボルドーブランとは一線を画した存在です。
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まとめ
赤ワインのイメージが強いボルドーですが、実は個性ある白ワインの名醸地でもありました。
もしまだボルドーブランを試したことがないという方は、ご自身のお気に入りのシャトーや名前の聞いたことのあるシャトーが白ワインを造っているかどうか、チェックして試してみるのも楽しいですよ。
他の地域とは異なる魅力を持つボルドーブランをぜひ和食と合わせてお楽しみください。
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