サクッとした衣の食感、香ばしい香り、素材の味がぎゅっと閉じ込められじゅわっと広がるジューシーな旨味、特別な魅力に溢れる揚げ物料理。
よく冷えたビールやレモンサワーとは言わずもがなの組み合わせですが、意外と楽しいワインとのペアリング!リセットだけではない、ワインならではの素晴らしい発見があります。
ワイン合せのセオリーもごくシンプルに。今回は、揚げ物とワインのペアリングについて考えてみましょう。
ペアリングのポイント
スパークリングワインは、幅広い料理と手軽に合せられるフードフレンドリーなワイン。揚げ物との相性の良さも抜群です。
スパークリングワインはドライタイプで、ふくよかさと綺麗な酸が広がる爽やかな物をチョイス。アツアツの揚げ物にキンと冷やしたスパークリングワインを合わせれば、油っぽさをシュワシュワッと流し、お口を爽やかにリフレッシュしてくれます。
スパークリングワインのもつ爽やかな酸味・苦み・香りがプラスされ、ちょっと特別なレモンを絞ったように華やかに!
ここまでは、揚げ物とビールやレモンサワーとの関係によく似ていますが、ワインとのペアリングの魅力はリセットだけではありません。
旨みや果実味など複雑な味わいが、揚げ物の素材の旨み・甘みを引き立て、共によりふくよかな味わいになります。また、フレッシュな飲み口を選ぶか?リッチなタイプか?合せるワインによって、相性の変化を楽しむこともできます。
スパークリング以外のワインとのペアリングは、「食材・衣の質感・ソース」の三つがポイントになります。
ベースとなる食材が野菜なら白ワイン、お魚やシーフードなら白ワインやロゼワイン、お肉ならロゼワインを。
天ぷらなど、衣の質感が軽い揚げ物には軽やかなタイプ。フライなど、食べ応えのある揚げ物にはコクのあるタイプが合います。
ソースはかけずに塩だけでいただくなら軽やかな白ワイン、タルタルソースなどコクのあるソースにはコクのある白ワイン、トマトソースならロゼワイン。食材やソースの色合いに合わせてワインを選ぶ、色合わせのセオリーも参考になります。
海外の揚げ物文化
それぞれのペアリングを考える前に海外の揚げ物文化についておさらいしてみましょう!
日本の揚げ物「天ぷら」は、日本を代表する食文化の一つであり、海外でも非常に高い人気を誇る料理ですが、そのルーツは外国からの伝来にあります。
油で揚げる調理法を日本に伝えたのは、ポルトガル。鉄砲の伝来とともに伝わった南蛮料理、小麦粉と卵を合わせた衣をつけて揚げるフリッターが、のちに天ぷらになったと言われています。
ポルトガルのお隣、スペインにも天ぷらによく似た料理があります。カタクチイワシやイカなどに、薄い衣をまとわせてオリーブオイルで揚げるフリートス。塩鱈のすり身を揚げたブニュエロ、生ハムのコロッケ(クロケッタ)など、バルの定番タパスにシンプルな揚げ物は欠かせません。
イタリアでは、お食事前にスパークリングワインを軽く一杯いただくアペリティーボの時間に、魚介のフリッターや、ピザ生地に海藻を混ぜて揚げたゼッポリーニなどがよく登場します。
フランスではポテトフライの源流となったのはポムフリットを爽やか系白ワインで、アメリカではスパイスをきかせたフライドチキンをカリフォルニアの赤ワインで。
ワインと揚げ物は、古くから欧米で親しまれてきた組み合わせと言えます。
とんかつとワインの相性
香ばしい衣の食感と、旨味たっぷりの豚肉を存分に楽しめるとんかつには、ドライタイプのロゼワインがイチオシです。
華やかな色合いと、洗練されたオシャレな雰囲気が注目を集めるロゼワイン。合わせる料理の幅が広いのも魅力です。
中でも最高のペアリングとなる食材は「豚肉」。色合わせのセオリーがピタリと決まる組み合わせです。
ロースの柔らかな食感と脂身のコク、香ばしく食べ応えのある衣に、ロゼならではのほど良いボリューム感がマッチします。
フルーティーでエレガントなアロマが豚の甘みに絶妙に融合。ロゼの繊細な香りが引き立ち、とびきり上品なペアリングを楽しめます。
いつもはたっぷりかけるウスターソースも、この時ばかりは控えめに。できれば塩でいただきましょう。
手作りするなら下味にドライハーブをちょっとプラスしてみるのもおすすめです。
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コロッケとワインの相性
衣の香りとジャガイモのホクホク感、口の中でサクッとほどける食感が魅力的なコロッケ。その味わいは意外と繊細なものです。
インパクトのあるワインはコロッケの味わいを邪魔してしまいがちですので、ボディの軽やかな白ワインで果実味と甘味のバランスをとると良いでしょう。
特におすすめなのが、世界一美しいとも評される酸味が特徴の、ドイツのリースリング。口当たりも良く、綺麗な酸がぼやけがちなジャガイモの味わいをキリッと引き締め、旨味を引き立ててくれます。
通常であれば、そのまま食べるかソースをかけるかでペアリングも変わってしまいそうですが、ここでは心配ご無用。
野菜やハーブの香味をもつウスターや中濃ソースは、リースリングとも好相性。よほどかけすぎたりしない限り、リースリングの果実味と酸味、長い余韻が、いずれの食べ方にもほどよく寄り添ってくれます。
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アジの南蛮漬けとワインの相性
アジのから揚げと刻み野菜を、合わせ酢に絡めた南蛮漬け。スペインやポルトガルの「エスカベシュ」がルーツと言われています。
淡泊な魚に爽やかな味付け、素材の味わいをくっきり引き立てるスッキリ系の白ワインがドンピシャな印象ですが、甘口の白ワインを合わせるとまた違った魅力を発見できます。
例えるなら、スイートチリソースの感覚。料理のツンとした酸が穏やかになり、柔らかく、やさしい味わいに。アジの味わいもふんわり穏やかな旨みになり、不思議と懐かしさを感じられる癒し系のペアリングを堪能できます。
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まとめ
ペアリングの注意点としては、ソースにあり。インパクトの強いソースをたっぷりかけてしまうと、ワインの風味や味わいを邪魔してしまいがち。ペアリングを楽しみたいシーンでは、かける量を控えめにするか、塩やレモンにチェンジしてみてください。
サクッとジューシーな揚げ物に、爽やかさと華やかな風味、旨味までもプラスしてくれるワインとのペアリング。
暑いのに揚げ物?と敬遠するなかれ。揚げ物と一緒に楽しむワインは、ビールと一緒にキンキンに冷やしちゃってもOK!パーティー感覚でカジュアルに楽しんでみましょう。