「ワインはマグナムボトルのほうが美味しい」と、聞いたことはありませんか?
でも実際に体験したことがないと、ワイン好きの間でまことしやかにささやかれる噂のようにも感じてしまいますよね。
そこで今回はエノテカが誇る3人のソムリエにマグナムボトル(1500ml)と通常のフルボトル(750ml)のワインをブラインドテイスティングしてもらい、その感想を訊きました。
本当にマグナムボトルは美味しいのか――。
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テイスティングしたのはこの3人
JSA認定ソムリエ。スカラシップコンクールの前身、第3回コミ・ソムリエコンクール最優秀賞受賞。 都内で20歳からソムリエ修行を行い、1998年JSA認定ソムリエを取得。レストランでソムリエに従事する傍らコンクールにも出場、多数の入賞歴を誇る。現在は企業向けワインセミナーの講師、講座の監修など多方面で活躍中。
JSA認定ソムリエ / WSET Level 4 Diploma in Wines。第9回全日本最優秀ソムリエコンクール クオーターファイナリスト。 大学時代、フランス留学中にワインに興味を持つ。成城学園前店に勤務後、現在は通販事業部で企画制作・予算策定を担当。
JSA認定ソムリエ / WSET Level 3 Award in Wines。第3回ボルドー&ボルドー・シュペリュールワイン ソムリエコンクール2019 セミファイナリスト。 新卒入社したIT企業勤務後、好きなワインを仕事にと2018年にエノテカに転職。渋谷ヒカリエShinQs店、六本木ヒルズ店を経て、現在はリテール戦略部にてワインのコンテンツ作成やワインセミナーを担当。
テイスティング開始
今回テイスティングしたのはエルヴィオ・コーニョの「バローロ ラヴェーラ」2013年。
A:750ml
B:1500ml
3人には同一ワインであることは伏せて2種類のワインを比較テイスティングしてもらいました。
―では早速ですが、外観や香りの印象から教えてください。
河:シンプルに外観を比べた時にAのほうが明らかにオレンジがかった色合いでトパーズのようです。これは確実にAのほうが熟成していると思います。
BはAと比較するとそこまでオレンジ色を帯びていない印象です。
見た目からはそんなに熟成していないのかなとも思いましたが、香りをとってみるとBのワインもある程度熟成していることが分かりました。
井出:見た目からはっきりと色合いが違いますね。
香りをとってもAは見た目通り熟成感が強く、なめし革などの第3アロマが主体で、Bはフレッシュな果実や花など第1アロマが主体です。
宮嶋:そうですね。共通しているのはどちらも程良く熟成している、ということ。皆さんと同じくAのほうが、熟成度合いが高いと感じました。
―皆さん、熟成の違いを感じたようですね!それでは味わいはどう違いましたか?
宮嶋:酸とタンニンのバランスはBのほうが良いですね。タンニンが上手く溶け込んでいて良い熟成をしているなと率直に感じました。
河:Bは果実味を残しつつ、複雑性も感じますよね。
井出:果実感より熟成感の印象が強いので、Aは今が飲み頃のピークなのかなと感じました。
宮嶋:個性なのかもしれないですが、Aはこれだけの熟成感があってこれだけ輪郭のしっかりしたタンニンと酸が残っているというのは好意的に思ってもいいのかなと思いました。
熟成感のあるワインが好きな方にピッタリだと思います!
―なるほど!どちらもどのくらい熟成したワインだと思いますか?
井出:Bは2010年代くらいのイメージで、Aは2000年代前半くらい。
AとBで10年くらいヴィンテージに差があるのかなと思います。
河:そうですね…Bは2012年くらいでAは1990年代後半くらいですかね?
宮嶋:難しいですね…Aは10年以上熟成しているのかなと感じました。
井出:全く違う熟成をしていますよね。
テイスティング結果
―ではずばり、どちらのワインがお好みですか?
宮嶋:好きなのはBですね。酸とタンニンのバランスを考えた時にBのほうがジューシーな果実味がまだ残っていてバランス良く感じましたね。
井出:同じく私もBが好きです。
フレッシュな果実のアロマと華やかさを感じて…個人的に果実感があってエレガントなワインのほうが好きなのでBが好きです。
河:私もBが好きです。
果実のニュアンスを残しつつ、綺麗な熟成をしていて複雑さも感じられるので好きですね。
―ということは満場一致でBが好きということですね!皆さんの意見をまとめるとこのような外観、香り、味わいの結果となりました。
A:外観はオレンジ色を帯びており、香りはドライイチジクなどの果実の香りもあるがなめし革などの第3アロマが主体。熟成感の感じるワインが好きな人にピッタリ!
B:外観はやや紫がかっておりAと比べると若い印象。香りは熟成によるアロマも感じるが、フレッシュな果実や花などの第1アロマが主体。エレガントなワインが好きな人にピッタリ!
ここでネタバラシ!
―実はこのワイン、どちらも同じワイン、同じヴィンテージなんです!二つの違いはボトルのサイズです!Aのワインが750ml、Bのワインが1500mlのマグナムボトルでした。
一同:えー!!!
宮嶋:全然違いますね…同じワインとは思いませんでした!
井出:やられましたね(笑)この飲み比べは初めてです。
河:スタイルが似ているなとは思ってはいましたが、まさか同じワインとは…想定外でした!
宮嶋:単純に液量が多いから熟成がゆっくり起こりました、ということだけではない何かが瓶の中で起こっているのかな、と思います。
井出:たしかにそうですね。マグナムのほうが熟成がゆっくり、ということは知っていましたがここまで違うとは驚きです。
熟成感だけではなく、タンニンと酸のバランスも高次元だったので、その違いも感じますね。
河:熟成感の違いもそうですが、タンニンの溶け込み方も違っていたので、やっぱりゆっくり熟成すればするほど美味しくなるんだなと感じました。
まとめ
ワインのプロを驚かせたマグナムボトルとフルボトルのテイスティング。
このテイスティングを通して、マグナムボトルはただサイズが大きい、液量が多いというだけでなく、熟成に与える影響の大きさも感じてもらえたかと思います。
ワイン好きが集まった時はマグナムボトルがおすすめです!その見た目のインパクトやたっぷり楽しめる満足感だけでなく、その味わいに驚くこと間違いなしです。
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