皆さんはフランス・ローヌ地方で造られたヴィオニエのワインを飲んだことはありますか?
ヴィオニエは白ブドウの中でも世界中にファンをもつ人気品種の一つです。
今回はそんなヴィオニエの特徴と、ローヌ地方で造られるワインにスポットを当て、ヴィオニエから造られるワインの魅力をご紹介します!
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香り華やかなアロマティック品種、ヴィオニエ
ヴィオニエは濃い黄色をした、フランスの北ローヌ原産の白ブドウ品種です。
ブドウ樹の成長段階で、多くの花が実をつけずブドウがうまく実らないという症状(花ぶるい)が起こりやすい品種で、栽培当初は育てても収穫できるブドウが少ないのが生産者の大きな悩みでした。
その生産性の低さからヴィオニエの栽培を行う生産者はどんどん減少していき、1968年には栽培面積がわずか14haになるなど、絶滅の危機があったほどです。(注1)
しかし、ヴィオニエの華やかなアロマの特徴から、フランス各地で栽培を試みる生産者が現れ、2011年にはフランスのヴィオニエの総栽培面積が5,874 haとなるほどまでに成長しました。
その後フランスだけでなくイタリア、カリフォルニア、アルゼンチン、オーストラリアなどでも栽培されるようになり、現在では世界中で愛される人気品種となっています。
そんなヴィオニエの魅力として1番に挙げられるのは、やはり各地で栽培が広がる理由となった、その華やかなアロマです。
アプリコットや桃のような有核果実にカモミール、タイムのようなハーブ、キンモクセイなどの花のアロマに例えられ、他の品種にはない香りを楽しむことができます。
そして口に含んだときのなめらかな口当たりと、香りから想像されるようなフローラルでふくよかな果実味は、香りの期待を裏切らない魅力的な味わいとなっています。
(注1)フランス農業統計調べ
ここからは、発祥地でもある北ローヌを含む、ローヌ地方のヴィオニエのワインについて見ていきましょう!
ローヌ地方からみた、ヴィオニエの多様なワインスタイル
ヴィオニエの原産地と言われているローヌ地方は、フランス南部に位置し、南北約200kmに広がるローヌ渓谷にあるワイン産地です。
ローヌ地方は途中のブドウが栽培されていない地域を隔てて北ローヌ、南ローヌと上下に分けられます。
気候や土壌、ブドウの品種も南北で異なっており、様々なスタイルのワインが造られています。
ヴィオニエ発祥の地、北ローヌ
ヴィオニエの故郷は北ローヌと言われていますが、栽培当初から収穫量が少なく、北ローヌの中でも希少性の高い品種です。
使用が認められているアペラシオンは北ローヌの中でもコンドリューとシャトー・グリエの二つのみですが、どちらもヴィオニエ100%の高品質なワインが生産されています。
コンドリューは、北ローヌの北端に近い場所に位置しています。ここで造られるワインは、アプリコットやキンモクセイのような華やかなアロマが特徴で、高品質なヴィオニエのお手本とも言われるほどです。
一方、シャトー・グリエはコンドリューの敷地内にあるわずか3.8haというとても小さな畑で、その希少性から「幻のワイン」とも言われています。
通常一つのアペラシオンはいくつもの生産者で構成されていますが、シャトー・グリエはたった一つの生産者のみで所有されるという、非常に珍しいアペラシオンです。
ブドウ畑は南向きで、円形劇場に例えられるような円を描いたような形に広がっており、ローヌに吹く冷たい風からブドウを守っています。
その品質はモンラッシェやシャトー・ディケムなどと並び5大白ワインの一つとして数えられるほどで、10年から20年の熟成ポテンシャルを備える、素晴らしいワインが生み出されています。
2011年からはシャトー・ラトゥールのオーナーであるフランソワ・ピノー氏が所有しており、現在も唯一無二の偉大なワインが造り出されています。
コンドリュー ラ・ボネット / ルネ・ロスタン
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赤ワインにも使われる?
またヴィオニエは白ブドウ品種ですが、実は赤ワインにもブレンドされています。
例えば北ローヌのアペラシオンであるコート・ロティの赤ワインは、伝統的に黒ブドウ品種であるシラーに白ブドウ品種のヴィオニエを一緒に発酵させて造られます。
出来上がるワインは、シラーのブラックベリーやブルーベリーなどの黒系果実の凝縮した味わいと黒コショウのようなスパイシーさにヴィオニエの花のようなアロマティックな爽やかさが加わり、力強くもエレガントに仕上がります。
コート・ロティ コート・ブロンド / ルネ・ロスタン
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ブレンドして造られる南ローヌ
南ローヌでも広く栽培されているヴィオニエですが、ここではメインのブドウ品種ではなく、マルサンヌやルーサンヌ、グルナッシュ・ブランといったローヌの土着品種とブレンドされる補助品種として使用されています。
ブレンドすることでフローラルな香りとまろやかさを加えることができ、果実味たっぷりの飲みやすい味わいが魅力です。
また、北ローヌで造られるワインよりも比較的リーズナブルで、その果実味とバランスの良い味わいは食事との相性も抜群です。
コート・デュ・ローヌ・レ・ベック・ファン・ブラン / タルデュー・ローラン
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まとめ
このように栽培の発祥地でもある北ローヌを含め、ローヌ地方では魅力的なヴィオニエのワインが造られています。
世界中でもヴィオニエを使ったワインはたくさんありますが、ローヌ地方のワインがヴィオニエの美味しさを証明してくれていることは間違いありません!
皆さんも是非、ローヌ地方のヴィオニエに注目してみてはいかがでしょうか。
【参考文献】 Jancis Robinson, Julia Harding, Jose Vouillamoz. Wine Grapes.2012 Jancis Robinson. The Oxford Companion to Wine. 2015
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