ソムリエ / エキスパート試験 対策講座 フランス編

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公開日 : 2022.2.28
更新日 : 2023.7.12
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ソムリエ / エキスパート試験 対策講座 フランス編

チャンスの神様は前髪しかない、とはよく言ったもの。ソムリエ / エキスパート試験を受けてみようと少しでも思ったならば、2022年は挑戦してみませんか。


そして、このとき真っ先に取り掛かりたいのがフランスなのです。

目次

増え続ける試験範囲

参考書

モルドバ、英国、ウルグアイが試験範囲になるとは10年前に予想できたことでしょうか。実際、ソムリエ教本は年々厚くなっており、試験範囲も増え続けているのです。


それにともない顕著なことが一つ。それは、新しい範囲に圧されてフランスの出題率が低くなってきていることです。


10年以上前は、試験全体25%がフランスを占めていたことなど、今では夢物語のようになってしまいました。

フランスを侮ってはならない

フランスのワイン産地

ここで注意が必要なのは、フランスからの出題が減ったからと言って、決してフランスを侮ってはならないということです。なぜでしょうか。理由は、世界のワイン造りはどこかフランスをお手本としているところがあるからです。


なぜカリフォルニアのロシアン・リヴァー、ニュージーボーロのマーティンボーロのピノ・ノワールが開花したのでしょうか。ピノ・ノワールの本家本元のブルゴーニュは冷涼から温和な気候タイプで、ピノ・ノワールはそういったややひんやりとした環境に適合するからです。


イギリスのスパークリングワインが急成長しているのはなぜでしょうか。瓶内二次発酵のスパークリングワインを造るにはシャンパーニュ地方のように冷涼産地である必要があり、イギリス南部がその条件に合致しているからです。


つまりフランスをしっかり勉強すれば、他国を勉強する際のいわゆる礎石となり、スムーズに理解し、暗記することができるのです。

格付け命のボルドー

シャトー・マルゴー

この範囲で最も重要視されるのが「格付け」です。中でもメドックの格付けが大切です。


1級にどんな造り手が格付けされたかだけでなく、何村の造り手なのかということまで覚えなければならず、その暗記量は膨大です。おまけに飲んだこともない生産者も複数あり、まるで寿限無寿限無の世界です。


これでは匙を投げたくなるのも無理もありません。こういった範囲は誰がやっても力業。対策の一つは試験まで余裕をもって覚え始めること、二つ目は壁に貼って常に目が届くような環境するなどの地道な努力をすることです。


もしメドックの格付けの暗記で嫌気がさしてしまって、試験自体が嫌になってしまうなら、この範囲に限って諦めるのもアリです。全範囲で一番覚えるのが大変な割に、最近では出題率が減っており、出題されても1問くらいしかないからです。

A.O.C.命のブルゴーニュ

ヴォーヌ・ロマネ

ボルドーが格付け命なら、ブルゴーニュはA.O.C.命です。「A.O.C. Vosne-Romanéeの生産可能色は」といった具合に問われます。


しかし、この暗記に関してはボルドーほどナーバスになる必要はありません。なぜならばブルゴーニュのA.O.C.には大まかなルールあり、一部に例外があるだけだからです。基本を覚えて、例外をピックアップして覚えれば暗記量は格段に減ります。


例えば、コート・ド・ニュイのグランクリュは基本赤ワインのみですが、ミュジニーだけが例外で赤白ワインの両方が認められています。


A.O.C.の生産可能色を効果的に勉強する方法はずばり「色塗り」です。教科書のA.O.C.ごとに蛍光ペンで塗分けましょう。赤だけならピンク、白だけならブルー、両方ならイエローという具合です。


白地図を同じように塗り潰すのも効果的です。ポイントは人がまとめた資料を使って勉強するのでなく、一度自分で手を動かしてみることです。

お得なシャンパーニュ&アルザス

シャンパンのカーヴ

覚えることが少ない割に、程良く出題されるお得な範囲です。シャンパーニュは、醸造・貯蔵工程が頻出です。


流れをしっかり理解したら、何も見ないでその工程を紙に書き出してみましょう。1週間も続ければきっと頭に入るはずです。暗記のコツはアウトプットすること、覚えたつもりにならないで手を動かしてみましょう。


アルザスはA.O.C.が三つしかありません。ブルゴーニュで大量のA.O.C.を暗記したことを思うと、きっと楽に感じるでしょう。A.O.C.Alsace Grand Cruの三つの例外、Altenberg de Bergheim、Kaefferkopf、Zotzenbergに気を付けて暗記しましょう。

究極の選択 ローヌVSロワール

ローヌ

この二つの産地の出現率はほぼ同じぐらいで、ともにブルゴーニュ同様A.O.C.の暗記がメインです。しかし、もし時間が足りない、となった場合はローヌをおすすめします。


理由の一つが、ロワールと比べ、ローヌのA.O.C.は少なく暗記量が少ないこと。二つ目に、ローヌ地方では北部はシラー中心、南部はグルナッシュ中心と規則性があるために、ブルゴーニュのように大枠を捉えて例外を覚えるという暗記のテクニックが使えるからです。

その他の産地

プロヴァンス

南西地方、ジュラ・サボワ、ラングドック・ルーション、プロヴァンスなど、フランスの中でも、出題率が低いこれらの産地は効率良く暗記を進めたいものです。A.O.C.の暗記は有名なものに絞りましょう。


それよりも、こういったややマイナーな産地は、観光情報、偉人、郷土料理といったプロフィール部分からも出題されます。こういった個所は旅行している感覚で学べるのが嬉しいところです。

暗記のテクニック「再生」と「再認」

ノートを書く女性

ソムリエ / エキスパート試験は8割が暗記です。いかに効率良く暗記できたかが、合格 /不合格を隔てます。効率という観点では、1次試験は選択式なので、A.O.C.や人物名をフルネームで覚える必要ありません。


「酵母による発酵メカニズムを解明した人は?」と聞かれて「パストゥール」と答えられるのが記憶の「再生」、上記の質問には「パ…なんとか」としか答えられないのが「再認」です。


この試験は後者で十分合格できるのです。理由は、1次は選択式で、提示された四つから選べれば良いからです。そう思えばずいぶん肩の荷が下りないでしょうか。

まとめ

フランス1か国でもタスクは多く、早い段階で着手する必要があります。「出題数が減ったから」と言って、後からやろうとすると地獄を見るかもしれません。


切羽詰まっての一夜漬けは、一時的に「火事場の馬鹿力」的に記憶力をアップさせることもときにはあります。しかしそれ以上に、追い詰められたストレスから記憶力が落ちてしまうリスクがあることもお忘れなく。


「千里の道も一歩より」とは上手く言ったもので、残念ながら勉強に近道や魔法などないのです。

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