料理の名脇役、薬味。素材の良さ、持ち味、旨味を引き出します。
料理とワインのペアリングを考える際、メインとなる食材やその味わいから考えるのがセオリーですが、今回は香りや味で料理を引き立ててくれる薬味からペアリングを考えてみました。
料理全体の味わいが、添える薬味やお供のワインで変わる、すぐ試したくなる楽しいペアリングですよ!
薬味の役割
薬味にはネギやしょうが、しそ、みょうが、ワサビなどの香味野菜、七味唐辛子などの香辛料が当てはまります。また、これらだけではなく、ゆずやすだちなどの柑橘類も薬味の一種です。
酸味や辛味、苦味、旨味が加わることで、料理全体の味を引き締め、薬味で風味付けすることで味わいが奥深くなります。
「刺身にわさび」、「秋刀魚にすだち」など定番の薬味の組み合わせもあるほど、日本料理には欠かせない食材です。
ワインと合わせることで薬味によって料理との相性がさらに良くなることもあり、仲介役的な存在でもあります。
今回は定番の5種の薬味に合うワインのペアリングを考えてみました。
ネギに合うワイン
小口切りにした青ネギは、お味噌汁からメイン料理までにも添えられる日本の食卓の代表名脇役。
ネギを添えると香りが良くなり、緑の色味が見た目にも鮮やかで食欲がそそられますよね。
ネギは、ネギ特有の香りがポイントです。切って生のまま薬味として使用する青ネギの爽やかな香りと、ほのかな辛味の味わいが料理の風味に大きく影響します。
そんなネギには、爽やかなソーヴィニヨン・ブランがおすすめです。
ソーヴィニヨン・ブランは、柑橘系やハーブのような香りが特徴的な品種。さっぱりとした味わいが和食によく合います。
芳香性の高いもの同士ですが、どちらの香りにも共通するグリーンノートが、相性の良いポイントです。ワインのもつ柑橘系の香りにもネギの清涼感は相性が良く、ワインのミネラル感が際立ちます。
おすすめワイン
ムートン・カデ・ソーヴィニヨン・ブラン / バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド
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みょうがに合うワイン
香りに特徴があるみょうがは、夏の料理にあると嬉しい香味野菜。そうめんや冷や奴に欠かせない、風味が強い薬味です。
生のシャキシャキとした食感と、爽やかで力強い香り、そして後味に苦味と辛味もあり、大人味というような奥深い味わいです。
香味野菜の中でも香りの強いみょうがには、ピノ・ブランがおすすめです。フランス・アルザス地方で親しまれているピノ・ブランは、フレッシュでイキイキとした果実味と、飲み口は軽やかでありながら、後味に膨らむボリューム感を併せ持ちます。
合わせる食材を選ばないピノ・ブランは、繊細な和食との相性も良く、素材本来の特徴を引き立てます。
ピノ・ブランをみょうがに合わせると、ワインの柔らかさがみょうがの瑞々しさを引き立て、みょうがの豊かな香りが一層と広がります。
みょうがのピリっとした辛味にフレッシュなピノ・ブランの果実味が合わさると、辛味や苦味が穏やかになり好相性。みょうがの力強さを優しいピノ・ブランが包み込むようなペアリングです。
おすすめワイン
ピノ・ブラン / トリンバック
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しそに合うワイン
清涼感のある香りと鮮やかな緑で料理に彩りを添えるしそ。
刻んだしそは、食材との絡みも良く料理の品を格上げします。魚介類の臭みなどを和らげる効果もあり、豊かな香りを楽しむ薬味です。
しその爽やかな香りには、日本の甲州がおすすめ。
甲州は、和柑橘のゆずのような香りと優しい酸味、アルコールも控えめで和食に合う定番品種です。甲州の優しい味わいや風味が繊細な和食に寄り添います。
甲州にしその香りが加わると、日常のご飯が料亭に変わるような、香りが繊細に広がり奥行きが出ます。甲州の和柑橘の香りと爽やかなしそが重なり、甲州の柔和な味わいと後味に感じるほのかな渋みがしその爽やかさを際立たせます。
飾らない日々の食卓をランクアップさせる組み合わせです。
おすすめワイン
いろ 甲州 / まるき葡萄酒
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梅に合うワイン
日本の食卓に欠かせない梅。
干すことで梅の果実味が凝縮された梅干しは、酸味と甘みだけではなく、旨味や塩味、ほのかな苦味のバランスの良い薬味ですよね。昔ながらの塩気の利いた梅干しから、食べやすい甘めのはちみつ梅干しなど、種類も様々あります。
梅干しの甘酸っぱい味わいには、同じような伸びやかな酸味と甘みのバランスの良いリースリングがおすすめです。
梅にリースリングを合わせると、梅の甘酸っぱさによって、リースリングの酸味が穏やかになり、梅の香りとフルーティーな甘みが際立ち、双方の華やかな香りが同時に楽しめます。さらに梅の塩味が、ワインの旨味やコクを引き立てます。
おすすめワイン
マグヌス・リースリング・トロッケン / シュタッフェルター・ホフ
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柚子胡椒に合うワイン
ピリリとした辛味と、清涼感のある香りで料理のアクセントとなる柚子胡椒。柚子の香りと後味にガツンとくる香辛料の辛味で、魚料理から肉料理、お鍋などの仕上げに添えて楽しめます。
辛味が特徴の柚子胡椒には、味わいにふくよかな果実味とややボリューム感があるピノ・グリが合います。後味のほのかな苦味が旨味となり、料理に寄り添うフードフレンドリーなワインです。
柚子胡椒単体だと、口の中で辛味を強く感じますが、ピノ・グリを口にすると、辛味が穏やかになり、ピノ・グリの柔らかな果実味に溶け込みます。
柚子の清涼感のある香りは、ピノ・グリの柑橘系の香りと相性ピッタリ。冬のお鍋に柚子胡椒とピノ・グリは、定番になりそうなペアリングです。
おすすめワイン
サンタ・クリスティーナ・ピノ・グリージョ / サンタ・クリスティーナ
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まとめ
薬味と一言で言っても、酸味や辛味の味わいは様々。主役の食材ではないのですが、料理全体の味わいに大きく影響します。
ワインとの相性を考える際には、共通項を見つけることも一つのポイントです。料理の薬味を変えることで、一緒にいただくワインを変えることもできるほど、薬味は日々のワインのある食卓には便利な食材なのです。
今晩の料理には、どの薬味を添えましょうか。ぜひお試しください!