「日本」はこの10年間で目覚ましい変化があった範囲のうちの一つです。
十数年前は2~3問ほどしか出題されていなかったのが、今や6~7問出題される重要範囲に飛躍したのです。
今回は日本の勉強法についてお伝えします。
変化の背景
問題が急増した背景は二つあります。
一つは21世紀以降、日本のワイン産業が目覚ましいスピードで進化していること。
そして二つ目は、そもそもソムリエ協会の資格試験は日本のソムリエ対象にスタートしたもので「自国のワインのことを語れなくてどうするのか」というメッセージが出題者サイドに込められているからです。
最新のテキストで学ぶ
ここで勉強するときは最新のテキストや問題集を手に入れて学ぶ必要があります。
理由は前述の通り、日本のワイン産業は目を見張るような進化を遂げているため、昨年、正解だったことが、今年は正解でないという可能性がよくあるからです。
古い年度の出題は参考にならないことが多々あるので注意が必要です。
どの国よりも細かいワイン史
日本のワイン産業が本格化したのは、ヨーロッパと比べると比較的最近です。しかし、歴史に関しては、どの国よりも細かく聞かれます。
理由の一つに、前述の日本のソムリエのための試験であるからということ、二つ目に年号は数字の問題でもあり、簡単に4択問題が作れるからです。
勉強のポイントは一つずつ順番に追っていくのでなく、大枠をとらえる癖をつけること。脳の性質は「木を見て、森を見ず」は苦手で、「森を見て、木を見る」のが得意です。
日本の歴史も、「あけぼの」「明治以降の発展のフェーズ」「戦後の発展のフェーズ」と三つぐらいに分けて勉強してみてはいかがでしょうか。
年号を覚えるのが苦手という方に、おすすめなのが「語呂合わせジェネレーター」です。インターネットで調べると、複数のサイトが出てきます。このジェネレーター、年号を入れるだけで、自動でゴロを作ってくれる優れモノなのです。
多岐にわたる品種
ヨーロッパ系、アメリカ系品種、野生ブドウ、はたまた川上善兵衛が開発したブドウ品種など、その種類は多岐にわたります。思った以上に数が多く、暗記に時間を要します。
どの都道府県を中心に栽培されているのか、また川上善兵衛が開発したものは、その掛け合わせをチェックしましょう。
甲州、マスカットベリーAは日本を代表するブドウ品種です。この二つに関しては、できるだけ細かく特徴を理解し、暗記しましょう。
例えば、3次試験の論述で特徴や相性料理が問われるかもしれません。実際、ワインアドバイザーという呼称が過去にあったとき、3次試験の口頭試問で、甲州の特徴を説明するように求められたことがあります。また2020年のソムリエの3次試験でもマスカットベリーAの相性料理について問われました。
「百聞は一見に如かず」、この二つの品種は実際飲んで確かめておきましょう。
産地はポイントを意識して学ぶ
急激に出題数が増えている1番の原因は、国内での産地の広がりと充実があります。実際、教本に掲載される都道府県も増え続けています。
そのためフランスを勉強するようなつもりで、日本の産地には向き合う必要があります。しかし、日本に長らく住んでいるなら、47都道府県がどこにあるかから学習をスタートする必要はないので、気持ちは多少楽かもしれません。
特に、北海道、山梨県、長野県といった日本を代表する都道府県に関しては下記の五つを意識して勉強したいものです。
1.都道府県ごとの特徴(GI認定は必ずチェック)
2.気候タイプ
3.ブドウ品種(上位の品種、その都道府県を象徴する品種)
4.具体的な産地名(このとき最大、最東など「最」のつく情報やワイン特区注意)
5.有名生産者
白地図にまとめる
場所と特徴はセットで覚えるのが効率的です。その1番早い方法が、白地図に情報を書き込んでいくことです。
このときポイントなのは、人が作成したものをコピーしたり、印刷したりするのでなく、自分で作ることです。まとめているうちに、自然に頭が整理されるでしょう。
二つ目に、凝りすぎないことです。そのまとめた資料は誰かに見せるためのものではなく、自分の勉強用の資料です。凝り始めると「資料を作る」という行動にフォーカスしすぎて、勉強したつもりになって、実際はあまり勉強してなかった現象が起こりうるからです。
三つ目に、まとめたら何度も見る必要があることです。資料を作って終わりでなく、作ったところがスタートです。例えば、その資料をコピーして自宅のよく目につく場所、3カ所に貼っておいてはどうでしょうか。
余談ですが、資料を壁に貼るという勉強法は、昔からある最もシンプルな勉強法の一つです。小さいころに掛け算、日本地図、元素記号を壁に貼っていなかったでしょうか。
日常で日本ワインを感じる
少し意識を広げれば、日常生活は日本ワインに触れる機会に溢れています。例えば、テレビ、新聞、マンガ、もしくは書籍や映画でも日本ワインが扱われていたりします。
中でも『ウスケボーイズ』は日本ワインの転換期を知ることができる良い作品です。書籍、映画の両方でリリースされているので、学びを深めるために一度手に取ってみてください。
直接、産地に足を運ぶことができるのも嬉しいことです。コロナ禍でも、訪問を受け付けてくれているワイナリーがいくつかあるようです。生産者から直接話が聞くことができるのは、とてもインパクトがありますよ。
日本ワインをもっと応援しよう
ワールドカップやオリンピック観戦で自然と日本代表選手を応援するように、ワインを飲むときも、日本を選んでみませんか。
自国のワインなのだから、もっと詳しくなりたい、応援したいという気持ちで学ぶことができれば、この範囲を征するのは案外簡単なのかもしれません。