ジメジメとした梅雨時は出掛けるのも面倒で、気分もどんよりしがちですね。そんな時は家でスッキリ爽やかなワインを飲んで、気分だけでも晴れやかに過ごしたいと思いませんか?
そこで朗報です!実は晴れの日よりも雨の日にワインを飲んだ方がワインは美味しく感じるのです。これは気分的なことではなく、美味しく感じる理由がちゃんとあるのです。
そこで今回は雨の日とワインの関係について解説したいと思います。
雨の日を思い出してみましょう
雨が降る前や雨上がりに、いつもは意識しないような匂いを感じることがありませんか?例えば土や草木、アスファルト、身につけている洋服の匂いなど、よく晴れて乾燥している時はほとんど感じないような匂いを雨の日は感じることがあると思います。
ご存知の通りワインの風味を大きく左右する要素の一つは香りです。雨の日に飲むワインが美味しく感じる理由はこの香り(匂い)が関係しているのです。
香りが立ちやすい?
湿度が高い雨の日は空気中に水蒸気がたくさんある状態です。
匂いは空気中に揮発して広がることで私たちはその匂いを感じます。しかし、空気中に水の分子(水蒸気)が多くあると、匂いの分子はうまく広がることができません。
湿度が高い時は、匂いの元から近い場所に匂いの分子が濃い状態で空気中に存在するため、匂いを強く感じるのです。
湿度が上昇する雨上がりに草木や地面の匂いを強く感じるのもこのためと言われています。
香水に例えると分かりやすいと思いますが、匂いの分子は常温で液体から気体になりやすい性質、つまり揮発性があります。温度が高くなると匂いの分子の揮発性は高くなり、より匂いを感じやすくなります。
ですから、気温が低い冬の雨の日よりも、気温が高い梅雨時の方が匂いをより強く感じるのです。
臭覚が敏感になる?
雨の日は湿度が高いため、普段は乾燥している鼻の粘膜が湿っています。鼻の粘膜は湿っている方が匂いの分子をキャッチしやすいため、鼻がよく効きます。嗅覚が敏感になっていて匂いを感じやすいのです。
また、匂いは鼻先でキャッチしているだけではありません。肺への気道と胃への食道が喉で交差しているため、何かを飲んだり食べたりすると、飲み込む時に喉から鼻へ抜ける匂いも感じ取ることができます。
ワインをテイスティングする時は、まずグラスに口をつける前に鼻先でワインの香りを嗅ぎ、口に含んで舌のうえで転がして飲みながら、喉から鼻にぬける香りを嗅ぎとりますね。
鼻先で感じた香りと喉から抜ける香りに違いが感じられるのは、口中でワインの温度が上昇して、ワイン中のより多くの匂いの分子が気化し鼻に抜けてくるからです。
さらに、口や喉は唾液で湿っているので鼻先では感じられなかった多くの種類の香りを鼻の奥で感じることができるのです。
まとめ
雨の日は気分的にスッキリとしたスパークリングワインや白ワインを飲みたくなるかもしれませんが、複雑な香りを有するブルゴーニュの赤ワインやオールドヴィンテージのワインなどを飲むのもおすすめです。
ワインの香りが立ちやすく、私たちの鼻も敏感になっている今のような梅雨時こそ、特別な1本をじっくり楽しんでみてはいかがでしょうか?