お酒はほどほどに……と分かってはいても、ついつい飲み過ぎてしまうことがありますよね?
気付いたらワインボトル1本空けてしまっていたなんて経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
健康に良いと言われているワインなら毎日飲んでも大丈夫、そう思って連日飲み続けている方もいるかもしれません。
そこで今回は、ワインの適正な飲み方について一度しっかり考えてみたいと思います。
ワインの適量は?
“人生100年時代”と言われる今、大好きなワインを末長く楽しむためには、何より節度ある適量の飲酒が大切です。
そこで適切な飲酒を心掛けるために知っておいた方が良いこと、そしてワインの適量をお伝えします。
日本人はお酒に弱い
私たち日本人は他の人種に比べてお酒が弱いということが科学的に証明されています。
体内に入ったアルコールは肝臓などで分解される際、有害物質であるアセトアルデヒドを発生します。このアセトアルデヒドを素早く分解する酵素「ALDH2」を日本人の約4割の人が持たないか、その働きが弱いことが分かっています。
お酒を飲むと顔が赤くなったり二日酔いになったりするのは、アセトアルデヒドが完全に分解されていないことで起こります。
また、酵素「ALDH2」の活性は遺伝するので、両親ともにお酒が弱い人は「お酒が弱い」体質を受け継いでいます。
この遺伝的性質は日本人などモンゴロイド系人種特有で、ヨーロッパ系やアフリカ系の人種には見られません。フランス人やイタリア人、アフリカ人にお酒が弱い人はまずいないということです。
お酒の強さは人それぞれ
お酒の強さ・弱さは人によって異なります。一般的に女性よりも男性の方が、年輩の人よりも若い人の方がアルコール分解能力が高い、つまりお酒に強いとされます。
体重によってもアルコール分解能力は異なり、体重の重い人と軽い人が同じ量のお酒を飲んだ場合、体重の重い人の方が血中アルコール濃度が低いため酔いにくいと言えます。
ですから、お酒はどんな時も適量を自分のペースで楽しむことが大切なのです。
適量は個人差がある
適量には個人差があるだけでなく、同じ人であってもその日の体調によって酔い具合が異なるため一概に言うことはできませんが、厚生労働省が推進する国民健康づくり運動「健康日本21」によると、「節度ある適度な飲酒」は1日平均純アルコールにして約20g程度であるとされています。
20gをワインに換算すると、アルコール度数12%のワインで200mlですから、ワイングラス2杯程度ということになります。
女性や高齢者、飲酒後にフラッシング反応(※)を起こす人は、これより少なめの量を適量と捉える必要があるでしょう。
※フラッシング反応とは、ビールグラス1杯程度の少量の飲酒で起きる、顔面紅潮・吐き気・動悸・眠気・頭痛などを指す。酵素「ALDH2」の働きが弱い人に多くみられる。
休肝日は大事
休肝日とは、肝臓を休めるために週に1日以上飲酒しない日を設けることを推奨する目的で作られた造語です。
アルコールは依存性があるので習慣的な飲酒を継続していると耐性ができ、徐々に飲酒量が増える危険性があります。
また、お酒をたくさん飲むと肝臓に大きな負担をかけることになるので、休肝日を設けると相対的な飲酒量が減り、肝不全が予防できる可能性があります。
例えばワインの場合、毎日グラス2杯以上、つまり適量を超える酒量を飲んでいるなら、週に2日連続した休肝日が必須とされています。末長くお酒を楽しむためにも、必ず休肝日を設けましょう。
健康的なお酒の飲み方
コロナ禍をきっかけに飲酒習慣が変わった方も多いと思います。自粛生活を強いられ、外でお酒を飲む機会が激減した代わりに、自宅で飲むお酒の量が増えた人も少なくないはず。
時間や予算を気にしなくて良い家飲みは、気楽でつい飲み過ぎてしまいがちです。適量、休肝日はもちろん、家飲みでは特に以下の点に注意してください。
食事と一緒にゆっくりと
お酒は良質なたんぱく質と野菜を中心とした食事と一緒にゆっくりと飲むのが良いとされています。空腹時にお酒を飲むと、体内でのアルコールの吸収が速くすぐに酔いが回りますが、食べながら飲むとアルコールはゆっくり吸収され、血中アルコール濃度の急激な上昇も抑えられます。
また、卵や大豆製品、魚介類、肉類等の高たんぱく質は肝細胞の再生を促進し、アルコール代謝酵素の活性を高めてくれます。お酒は会話や食事を楽しみながらゆっくりと飲みましょう。
寝酒は禁物
寝る前に飲むお酒は眠りを誘い熟睡できるように思いがちですが、実際は眠りが浅くなって夜中に目を覚ましたり、翌朝早くに目が覚めてしまうなど、睡眠の質が落ちることが分かっています。
特にお酒が弱い人が寝る直前にお酒を飲むと動悸を引き起こしていまい、かえって寝付けないということもあります。寝酒は禁物です。
まとめ
ワインに限らずお酒は休肝日を取り入れながら、適量を守り、栄養バランスの取れた食事と一緒に飲むこと。
休肝日にはノンアルコールワインやワインテイスト飲料などを取り入れるのも良いかもしれませんね。
お酒は上手に付き合えば人生をより豊かにしてくれます。健康的なワインライフを心がけましょう!
参考:厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット「飲酒」(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/)