ワインの栓には様々なものがあります。コルク、スクリューキャップ、ガラス栓など。
そして、たいていのコルク栓には瓶口を覆うキャップシールがついていますが、中には蝋で覆われた蝋キャップのワインもあります。
さて、この蝋キャップのワイン、どのように開けるかご存知でしょうか?
今回は蝋キャップの正しい開け方から、生産者があえて蝋キャップを選択する理由まで、蝋キャップにまつわるあれこれを解説します。
動画で見る 蝋キャップの開け方 1:12~
蝋キャップとは?
蝋キャップとは、コルクで打栓された瓶口を蝋で覆ってあるキャップのことで、ワインをはじめウイスキーやブランデーなどのボトルの封印にも使用されています。
ワインに使われている蝋キャップは、瓶口に残るのが前提なので一般的に蜜蝋が原料です。蜜蝋はミツバチの巣を構成する蝋を精製したもので天然の素材ですから人体に害はありませんし、ワインに溶け出たりすることもありません。
一般的なアルミ製やプラスチック製のキャップシールは瓶との間に隙間がありますが、蝋キャップはしっかりと瓶口に付着しているため空気を通しません。そのため、キャップシールに比べてワインの酸化とコルクの乾燥を防ぐことができます。
蝋キャップは基本的にボトル1本ずつ手作業で封蝋することになるため、生産者にとっては手間がかかる作業と言えるでしょう。
蝋キャップにする理由
かつて蝋キャップは長期保存させる高級ワインに多く使用されていた時代がありました。そのため、20世紀後半までは高級感や伝統を演出するために蝋キャップを選択する生産者が多かったようです。
しかし、最近はそういった目的だけではなく、蝋キャップの機密性に着目し、酸化を少しでも抑制したいと考える生産者が蝋キャップを選択するようになってきています。
特に、酸化防止剤の使用量が非常に少ないため酸化のリスクを減らしたい、アルミやプラスチックなどの人工素材をできるだけ使いたくないという自然派ワインの生産者に多く見られます。
有機栽培のブドウを原料とし、人的介入をできるだけ排除した醸造を行い、コルクと蜜蝋といった自然の素材を用いてキャップをするというように、自然環境にとことん配慮した生産者が増えてきています。
蝋キャップの開け方
初めて蝋キャップワインを開ける時は少々戸惑うかもしれませんが、開け方は簡単です。
蝋キャップの上から直接ソムリエナイフのスクリューを差し込みいつも通りに開ければ良いのですが、注意すべきポイントが二つあります。
一つ目のポイントは、最初にスクリューの先端部分を蝋キャップの中心に少し穴が開くくらいしっかりと差し込むこと。蝋キャップは、表目がツルツルして滑りやすいものが多いので、力を入れて少し削るように差し込まないといけないかもしれません。
スクリューを寝かせて先端を差し込み、押し込んでからスクリューをまっすぐに立てると良いでしょう。
蝋にスクリューが刺さったら、ゆっくりとハンドルを回し、コルクの奥へねじ込みます。
そして、蝋で覆われた瓶口にソムリエナイフのフックをしっかりと掛け、テコの原理で柄の部分を持ち上げコルクを抜きます。
コルクが瓶口から上がってくると、蝋キャップに大きくヒビが入り、蝋がボロボロと剥がれてきますので、蝋の破片を丁寧に取り除きます。
ここで勢い良くコルクを抜いてしまうと、ボトルの中に破片が入ってしまうので、ゆっくりとコルクを引き上げましょう。これが二つ目のポイントです。
コルクを抜き終えたら、瓶口の周りや内側についた蝋のクズを清潔な布(トーションなど)で拭き取ります。瓶口の外側についたままの蝋はグラスに注ぐ時に問題なければそのままで構いません。
もし、蝋の破片が瓶内に落ちてしまった場合はデキャンタージュをして取り除けば良いでしょう。
まとめ
ワインのキャップもまた生産者からのメッセージであるならば、それはそのワインを知る上でとても興味深いことではないでしょうか?
開けるのが面倒そうだという理由でこれまで蝋キャップのワインを敬遠していたなら、次回はぜひチャレンジしてみてください。