料理とワインのマリアージュは「魚に白ワイン、肉に赤ワイン」と言われますが、時折、セオリーほど単純ではないと感じることもあるでしょう。
魚料理といっても、その種類や調理法は様々。白ワイン以外にもピッタリ合うワインがあります。
それでは今回は秋に旬を迎える魚とワインの相性を考えてみましょう。
魚と合わせる注意点
例えば鮮魚。ワインと同時にいただくと、不快な「生臭み」を感じることがあります。鮮魚そのものの臭みが増大してしまうケースや、一緒に口にしたときに発生する化学変化のような生臭み。まさに逆マリアージュ現象ですね。
ワインと魚を合わせて生臭く感じる理由、古くはその原因は“タンニン”であると考えられていましたが、近年の研究によると、「魚類に含まれる脂(不飽和脂肪酸)が、ワイン中の成分によって酸化・分解されることで生臭い香りを発生させる」ことが原因とのことです。
その成分とは、鉄分と亜硫酸。つまり、魚介類と相性が悪いのは必ずしも赤ワインというわけではなく、鉄や亜硫酸の含有が多いワインということになります。
とは言え、鉄分や亜硫酸の量なんて分かりませんし、含有量の少ないワインを選ぶこともできませんよね。
そんな時は、オリーブオイルの助けを借りましょう。魚の生臭みを包み込んでスッとマスキングし、素材の味わいを引き立ててくれます。味付けに粗塩と粗挽き黒コショウをプラスすると、さらにワインコンシャスな一皿に仕上げてくれます。
オリーブオイルは香り高い「エキストラバージン」を選んでください。かける量も躊躇せず、贅沢に思いっきりかけるほうがワインとの相性も良くなります。
レモンなど柑橘類やビネガーをかけるのも、お助け技の一つです。酸は鉄分と相性が良く化学変化を防ぎつつ、お魚の味わいを引き締めてグッと格上げしてくれます。
最初から〆てしまうのもアリですが、食べる直前にテーブルで仕上げの一振りをすると、ワインと口の中で一体になり、初めて料理が完成するような幸せ感を楽しめます。
それでも、どうしても生臭さが気になる時は、加熱調理をして解決しましょう。軽く塩を振ってオリーブオイルで焼いたり、ビネガーやケッパーを加えて煮込むなど、火を通すことで嫌な香りを逃がし美味しくいただけます。
秋刀魚に合うワイン
秋に刀を入れ味わう魚、秋刀魚は秋の味覚の代表格と言えるでしょう。青魚とワインのペアリングは何かと戸惑いがちですが、ここは変化球なしで素直に。脂ののったお魚をスッキリいただける、柑橘系のニュアンスをもつ白ワインでいきましょう。
秋刀魚の調理法は、おそらく2択。お刺身と塩焼きでしょう。
味付けに大きな違いはありませんので、どちらも同じワインで合わせられます。添えられる薬味の風味や調味料もポイントになりますので、同じニュアンスを持つワインを選んでみてください。
苦みと香りのインパクトが強い、塩焼きの“ワタ”だけは少々難関。興味のある方は、シェリーを試してみてください。
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アイン・フンダート・ヒューゲル・リースリング・トロッケン / ヴィットマン アイン・フンダート・ヒューゲル・リースリング・トロッケン / ヴィットマン
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秋鮭に合うワイン
海老を食べて赤く染まる秋鮭。もともとは白身魚のため、クセもなく幅広い料理に馴染む懐の深い魚です。
生でいただくならハーブのニュアンスをもつ軽やかな白ワイン、クリームソースに合せるならコクのある濃厚な白ワイン、キノコを添えたホイル焼きなら軽めの赤ワイン、フライにしてタルタルソースをかけるなら飲みごたえのある赤ワイン…料理も合わせるワインも幅広いのが特徴です。
調理法に左右されず、オールマイティーに合せられるロゼワインを合わせてみましょう。秋鮭は味わいも濃厚ですので、ワインもしっかり飲みごたえのあるドライタイプのロゼワインが良いでしょう。
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鰹(戻り鰹)に合うワイン
カツオには、春の黒潮にのって北上する「初鰹」と、気温が下がって南下してくる「戻り鰹」の2種類があります。秋に出回る戻り鰹は栄養と脂をたっぷり蓄え、濃厚な味わいともっちり独特な食感を楽しめます。
食べ方は、お刺身を醤油かぽん酢でシンプルに、表面をさっと焼いてステーキ、甘辛い味の煮つけなどが主流でしょうか。
いずれの調理法でも、ワインは鰹の色味に合わせて赤ワインがおすすめ。渋みの少ない柔らかい味わいのものを選ぶことで、素材の旨味を邪魔することなく楽しめます。
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まとめ
秋はお魚が美味しい季節。野菜同様、1年中食べられるものが増えていますが、パワーを蓄えた旬の魚の味わいはやっぱり格別です。
1年で今だけのお楽しみ、ワインとともに秋の夜長をのんびりお過ごしください。