天才醸造家が語る コレクション243のキーワード “Intensity”

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公開日 : 2022.11.8
更新日 : 2023.11.22
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天才醸造家が語る コレクション243のキーワード “Intensity”

昨年ルイ・ロデレールより新たなスタンダード・キュヴェとして発売され話題となったコレクション 242


このコレクション 242に次いで、2018年ヴィンテージのワインをベースに造られた「コレクション 243」がついに発売開始となりました。


このコレクション 243について、今回3年ぶりの来日を果たしたルイ・ロデレールの副社長兼醸造責任者 ジャン・バティスト・レカイヨン氏にお話を伺いました。


天才醸造家が語る、コレクション 243の魅力とは?ぜひご一読ください。

目次

キーワードは“Intensity”

コレクション243

―コレクション 243について、味わいの特徴を教えてください。


コレクション 243(以下243)は非常にリッチな味わいに仕上がっています。


これはベースとなった2018年のワインに、よく熟したピノ・ノワールを使用しているからです。


2018年はピノ・ノワールがよく熟した年でした。特に、冷涼なモンターニュ・ド・ランスで栽培されたピノ・ノワールの出来が良かったです。


ここで採れたピノ・ノワールはしっかりした酸とアロマティックさをワインにもたらすのが特徴で、ブリュット・ヴィンテージにもよく使っています。


今回ベースワインにこのピノ・ノワールを使用したことで、243は果実の凝縮感やフレッシュさが感じられる素晴らしい仕上がりになりました。


―この243を一言で表現するなら、どんな言葉が当てはまるでしょう?


Intensity」です。


直訳すると「強い、強度」という意味がありますが、ここでは果実の凝縮度が高いことを表しています。


しっかりと熟したピノ・ノワールの骨格がベースにあって、それをシャルドネで少しソフトにしたことで絶妙なバランスを保っているのが2018年の特徴です。

ジャン・バティスト・レカイヨン氏

―では243と前年発売されたコレクション 242(以下242)を比較すると、どのような違いがあるのでしょうか?


ピノ・ノワールの個性を強く感じられるのが今回の243。一方でシャルドネの個性を感じられるのが242です。


242は2017年ヴィンテージがベースとなっていますが、2017年は雨と湿気が多く、カビの被害もあったので、ブドウを早く収穫する必要がありました。そこでより早く熟すヴァレ・ド・ラ・マルヌのピノ・ムニエと、シャルドネをベースに造ることにしたんです。このベースワインの品種が1番の違いですね。


また、醸造においても違いがあって、マロラクティックファーメンテーション(※1)の比率を変えています。242が34%だったのに対し、243の方が26%で比率を低くしました。


243のベースとなる2018年は先ほど申し上げた通りブドウがよく熟した年だったので、マロラクティックファーメンテーションの比率を下げることで、ワインに綺麗な酸を残したかったんです。

※1 乳酸菌の働きにより、リンゴ酸から乳酸に変えるための発酵。

―コレクションでは、その年の天候やブドウの個性が色濃く反映されていて、それを活かすための醸造がなされているのですね。


はい。この点は、以前のスタンダード・キュヴェであるブリュット・プルミエと大きく異なるところでもありますね。


ブリュット・プルミエでは味わいの一貫性が大切でしたが、コレクションではヴィンテージの個性を表現することに重きを置いています。


コレクションはベースワインに加えてリザーヴワインやパーペチュアル・リザーヴ(※2)も使用していますが、考え方はヴィンテージシャンパーニュと一緒で、その年のベストな味わいを目指しているんです。

※2 2012年以来、大きなステンレスタンクに毎年ワインを継ぎ足して熟成を積み重ねてきたリザーヴワイン。

個性を表現するブレンディング

ジャン・バティスト・レカイヨン氏

「ヴィンテージの個性を表現する」のはとても難しいことだと思うのですが、最も苦労するのはどんなところでしょうか?


やはりブレンディングです。ブリュット・プルミエではこのスタイルを造るというゴールが決まっていたので、アルコール発酵の段階からある程度ゴールを見定めて、最後のブレンディングで微調整するという流れでした。


しかしコレクションではゴールが決まっているわけではないので、自由度が高い分、難易度もグッと高くなりました。


具体的に説明すると、最終的なゴールにたどり着くためにコレクションではまず区画ごとに個性を最大限に引き出したベースワインを造っていきます。その数、約400区画分です。


―400!そんなに多いのですね!?


同じようなタイプをまとめたとしても、200~250くらいあります。


ブレンディングとは、例えていうならば約200種類の強い色があって、それらをどのようにしたら最高の表現になるのかを考え、試行錯誤し創り上げていくことです。


本当に難しいことなのですが、このブレンディングを行うのがマスターオブブレンダーである自分の役目だと思っています。


―すごい……!ずっと聞いてみたいと思っていたのですが、レカイヨンさんは普段一体どんなことを意識してテイスティングをしているのですか?


「ワオ!」という印象を大事にしています。これは単に驚いた、ということではなくて表現するのが少し難しいのですが……。


例えばテイスティングを行う際、多くの評論家やワイン評価誌は酸度や糖度がどうとか、タンニンはどれくらいかなどワインを批評するのが一般的です。


私はそこでもう少し俯瞰してみることを意識しています。例えばこのワインはエフォートレスか、シームレスか。


これが強い、あれが弱いなどの定量的なところを超えた感覚的なところに訴えかけてくるようなワインを造りたいと思っているので、自然が織り成す絶妙なバランスを探し出すようにしているんです。

日本のルイ・ロデレールファンへメッセージ

ジャン・バティスト・レカイヨン氏

―日本のルイ・ロデレールファンへメッセージをいただけますか?


ルイ・ロデレールのシャンパーニュを楽しんでくださって本当にありがとうございます。


私たち生産者は、自分の持ちうる最大限のパッションとクリエイティビティを持ってワイン造りを行っています。


ルイ・ロデレールを楽しんでくださっている方が日本には多くいらっしゃいますが、それはどういう温度で飲むのか、どういうグラスで飲むのか、誰と楽しむのか、どういう食事と合わせるのかというルイ・ロデレールを楽しむためのクリエイティビティをお客様自身でも発揮してくださっているからだと思います。


このように生産者とお客様の両方のパートが成り立たないとこの体験が生まれないということを考えると、ワインってやっぱりヒューマンストーリーだなと日々感じていますし、このようなお客様との繋がりが生産者にとってより良いワインを造るモチベーションにもなっています。


ぜひこれからも、今回のコレクション 243をはじめとしたシャンパーニュを通じて、良いルイ・ロデレール体験をしていただければ幸いです。

ジャン・バティスト・レカイヨン氏

名実ともに世界No.1のシャンパーニュ・メゾンとして、不動の地位を築いているルイ・ロデレール。今回のインタビューを通じて、彼らが新たに生み出したスタンダード・キュヴェ「コレクション 243」の奥深さや素晴らしさを感じることができました。


皆さんもコレクション 243を通して、世界No.1シャンパーニュ・メゾンの味わいを堪能してみてはいかがでしょうか。

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