銘醸地ブルゴーニュの中でもとりわけ優れたワインを生むコート・ドール。
かつてのブルゴーニュ公国の首都ディジョンから南へ約50kmにわたり細長く続く丘陵の斜面に広がるコート・ドールは、北部のコート・ド・ニュイと南部のコート・ド・ボーヌの二つの地区に分かれます。この両地区をつなぐ位置にある村がペルナン・ヴェルジュレスです。
輝かしい名声を誇る村々が連なるコート・ドールにおいて、ペルナン・ヴェルジュレスもまた偉大なグラン・クリュのワインを産出する村です。今回はペルナン・ヴェルジュレスについて解説したいと思います。
面積 | 158.52ha |
主な土壌 | 泥灰および小石の多い石灰岩 |
栽培されている 主な品種 | ピノ・ノワール、シャルドネ |
生産可能タイプ | 赤、白 |
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テロワール
コート・ド・ボーヌの最北部に雑木林に覆われたコルトンの丘があります。その丘の東、南、西側の標高約250m〜330mの範囲を、コート・ドールで最大面積を誇る大規模な特級畑が取り囲んでいます。
その特級畑は三つの村(アロース・コルトン村、ラドワ・セリニィ村、ペルナン・ヴェルジュレス村)にまたがっており、ペルナン・ヴェルジュレス村はコルトンの丘の西向きの斜面を有します。
具体的には、ペルナン・ヴェルジュレス村の特級畑は丘の裏側の西向き斜面にある17.25haの「アン・シャルルマーニュ」一つで、ペルナン・ヴェルジュレス村内に収まっています。この畑のシャルドネから造られる白ワインは「コルトン・シャルルマーニュ」、ピノ・ノワールから造られる赤ワインは「コルトン」と表示されます。
ペルナン・ヴェルジュレス村の気候は、夏は暑く秋は乾燥し冬は寒い大陸性気候です。
コルトンの丘の斜面の上部は茶色や黄色の泥灰、斜面の中腹は小石の多い石灰岩、麓は粘土石灰質の土壌が広がっており、主に斜面上部はシャルドネが、斜面中部はピノ・ノワールに向いています。
ワインの特徴
ペルナン・ヴェルジュレスの赤ワインはピノ・ノワールから造られます。肉付きが良く豊かなタンニンを持ち、果実味のコクと滑らかさを兼ね備えたバランスの良いワインとなります。
一般的には5年〜10年程の熟成が可能で、プルミエ・クリュやグラン・クリュのワインはそれ以上の長期熟成も可能です。
シャルドネから造られる白ワインは、一般的に豊かなミネラルと酸を備えたフレッシュなスタイルに仕立てられますが、ふくよかな果実味を持つ長期熟成に向いた力強いワインも造られています。
例えばグラン・クリュのコルトン・シャルルマーニュは10年以上の熟成も耐えうるワインとなります。
また、ペルナン・ヴェルジュレス村の東向きの冷涼な地にあるプルミエ・クリュの白ワインは、非常に上質ながら比較的手に取りやすい価格で手に入れることができるのでおすすめです。
コルトンとコルトン・シャルルマーニュ
ペルナン・ヴェルジュレス村が産出する二つの有名なグラン・クリュワイン、コルトン及びコルトン・シャルルマーニュのA.O.Cは少々複雑なのでここで改めて説明したいと思います。
コルトンには赤ワインと白ワインの両方があり、大半が赤ワインで白ワインはわずかです。
コルトンの赤はコード・ド・ボーヌ唯一の赤のグラン・クリュワインで、ペルナン・ヴェルジュレス、アロース・コルトン、ラドワ・セリニィの三つの村で造られています。
コルトンの白はアロース・コルトン、ラドワ・セリニィの2村でのみ造られており、ペルナン・ヴェルジュレスの畑のブドウからは造られません。
一方、コルトン・シャルルマーニュは白ワインのみに認められたA.O.C.で3村で造られています。
さらに、コルトンはクリマ(畑名)を付記しますが、コルトン・シャルルマーニュは付記しないため、エチケットを見ただけでは三つの村のどの村のどの畑のブドウから造られたかはわかりません。
代表的な生産者
- ボノー・デュ・マルトレイ
- ドメーヌ・ドゥブルイユ・フォンテーヌ
- ドメーヌ・ラペ・ペール・エ・フィス
- ルイ・ジャド
- ルイ・ラトゥール
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参考文献:日本ソムリエ協会 教本2021 ブルゴーニュワインがわかる / マット・クレイマー(阿部秀司 訳)