思いもしないちょっとした出会いが、劇的ではなくても、小さくその後の人生を変えていく……。
この物語は、そんな奇天烈な出会いをなぜか果たしてしまったアンチワインな今どき会社員の、ワインを巡るちょっと不思議なお話。
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中井戸りこ(25歳)/演:中井りか(NGT48)
アパレル商社に勤めるOL。富山県出身。
おしゃれ大好き、骨格パーソナルカラー完璧把握女子。
休日はカフェに行って、美容メンテやコスメや服のショッピング、夜は赤提灯系で日本酒を飲むのが好き。
若手アントレプレナー風遊び人元カレに浮気されて別れて以来、その人が趣味にしていたワインが嫌いに。
謎のワインおじさん(??歳) /演:加藤章太郎
なぜかりこが「だからワインって好きじゃない……」など苦手意識発言をするとどこからともなく現れるスタイリッシュイケオジ。
大変紳士的にワインの魅力をりこに伝えて颯爽と消え去っていく謎の人物。
でもよく見ると、どこかで見たことあるような……?
メニューを見ても呪文みたいなのが書かれてて頼めない!
「お疲れ様! かんぱーい!」
今日は大きなプロジェクトが無事終わって、会社のメンバーと打ち上げ。部の先輩や同期と食事をしにレストランへ。
「みなさん今回のプロジェクト、お疲れ様でした! 乾杯ー!」
りこの手にはしっかりビールが。
やっぱりビールでしょ! 最高! 今回は初めて責任のある立場で関わったプロジェクトだったので、無事終わってその達成感も安堵感もひとしおの様子。いつもよりお酒も進むりこ。
「りこさん、次何飲まれます?」
メニューをもらうと、そこにはワインリストが。
「ワインもこんなにあるお店なんだ……。え! なんで今私ワインのページを!? 普段なら見ることもしないのに」
ワインおじさんとの出会いがこんなところに影響が……?
「いやいや、ワインは私無理無理! カタカナで名前長過ぎだし、種類の違いも、赤白くらいしかわかんない。難しくない? 種類も多過ぎ(笑)私絶対自分では頼めないー」
メニューを閉じかけるりこ。
まずはブドウの種類から決める?
すると今回は……突然横からの登場!
「!? え!? 何でここに……!」
「今、種類が多いし難しいからワイン頼むのやめようとしましたね?」
「ええ、まぁ……。だって本当に長い名前で何が何やら……」
「そこも実はワインの楽しさでもあるんです! 全部最初から知っている必要はないんです。ワインの名前は多くの場合、ブドウの品種や、産地の名前がついていることがほとんど。それを少しずつ知ると選ぶのが楽しくなるかも」
「この長いカタカナの呪文は、ブドウの種類と産地が書かれているんだ……。知らなかった…」
「そうですね! たとえば、赤ならカベルネ・ソーヴィニヨン、白ならシャルドネ、このあたりはりこさんも耳にしたことのあるメジャーな品種ですね。ブドウの品種はある程度限られているんです。初めはそこから選んでみるのもおすすめですよ」
「なるほど、ブドウの種類……! 私それさえも知らなかったです……」
もう一度ワインリストを手にするりこ。
「よし、じゃあ、シャルドネにしてみようかな……。産地はまだちょっとわからないから、とりあえずこの一番上ので。ところであなたは……」
そこまで言いかけたところで、急に他の社員から声をかけられるワインおじさん。
ワインおじさんの正体ついに……!?
「社長!? いないと思ったらここで何しているんですか! そろそろ挨拶の時間です」
「……!? 社長!??」
「え? 中井戸知らなかったの? 来月頭から就任なんだよ。イタリアからの刺客! って社内は大騒ぎだよ」
「……!?!?!?」
声にならないりこを横目に、相変わらず余裕のワインおじさん……改め社長!
まさかの事実にリアクションも取れないりこ。
「ではりこさんのワイン好きへの第一歩に、乾杯!」
「か、乾杯!!?」
とんでもない出会いを果たしたりこですが、この出会いによって新しい世界の入り口に立ったのです。
広く、限りなく深く、そしてとてもとても旨い、そんな新しい世界の入り口に。
ここから一歩踏み出しどうやって進んでいくか……のお話はまたいつかどこかで。
りこの大冒険、どうぞワイン片手にまたお目にかかれるのを楽しみにしています。
ワインおじさんからもうひとこと
どうもワインおじさんです。
いやー、ついに正体がバレてしまいましたね、というか隠していたつもりもないのですが……。
さぁ、今回の「ワインは種類が多くてどうやって選んだらいいかわからない」、これは誰もが最初に持つ悩み。
でもこれもそんなに難しく考えなくていいのです。色々なものに挑戦してご自身の“好き”をのんびりじっくり探していけば良い。つまり旅のようなものです。
私だってもちろんまだまだその旅の途中。
今回りこさんに言ったように、最初はお気に入りの品種を見つけてその品種の別の産地に挑戦してみるというのがおすすめ。
例えば暖かい地域なのか、寒い地域で育てられたブドウなのか。同じ品種でも産地が違うだけで、随分と味わいが変わってくるんです。それを感じられること自体がとても楽しいことなんですよ。
いやぁ、先ほども言いましたがワインは旅と同義。少しずつ一歩ずつ、自分の好きを探し求めて歩み続けるものなのです。
するとそこに、思いもしなかった出会いがあり、あとはワインが自然と導いてくれますよ。
大変、また喋りすぎましたね。
それではみなさん、またどこかで!
アンチワイン役:中井りかさん
中井りか 1997年8月23日生まれ。富山県出身。2015年7月、NGT48の1期生オーディションに合格。2016年11月、「ハイテンション」でAKB48のシングル曲選抜メンバーに選ばれ、2017年のNGT48デビュー時には、表題曲「青春時計」でセンターを務めた。愛称は「りかちゃん」「りか姫」。
ワインおじさん役:加藤章太郎さん
加藤章太郎 モデル。18歳からキャリアをスタートし、現在ではメンズファッションメディアを中心に、CMや俳優業など多方面で活躍。雑誌「東京カレンダー」の人気Webドラマ「港区おじさん」の主人公を好演し、そのイケおじっぷりが話題に。