飲み残したワインを捨ててしまったことはありませんか?「開けたワインはその日のうちに飲み切らないといけない」なんて思い込んでいませんか? それは間違いです。
開封後のワインは適切に保管しないと、時間の経過とともにおいしさが失われていきます。しかし逆に、適切な保管さえすれば、数日に渡っておいしく飲むことができるのです。
この記事では、開封後のワインの適切な保管方法と賞味期限の目安、さらに風味が落ちてしまったときの活用法までご紹介します。
ワインを捨てるなんてもったいない! 二度とあなたにワインを捨てさせません。
開封後のワインの保管方法
開けたワインの味わいが劣化する理由は、ワインが酸素と触れあうことで酸化が進むため。つまり、開封後のワインをおいしいまま保管するには、いかに酸素と触れないようにするかが重要です。
基本的にはどれも簡単な対策なので、試してみてくださいね。
- 冷蔵庫に入れて立てて保管する
- コルクやスクリューキャップを利用して、ボトルに入る空気を減らす
- 酸化を防ぐために真空ポンプを使う
- 中身が少ない場合は瓶を小さくする
冷蔵庫に入れて立てて保管する
開封後のワインを保管する最善の方法は、冷蔵庫に立てた状態で保管することです。「ワインは冷蔵庫に入れてはダメなのでは?」と思うかもしれませんが、それは未開封のワインを長期保管するときのこと。
低温の環境では分子の動きが遅くなるため、ワインが酸化するスピードも遅くなります。ワインの種類は問題ではありません。白ワインでも赤ワインでも、一度開けたワインは冷蔵庫に入れて保管しましょう。
さらに、ボトルを立てることで空気と触れるワインの表面積を最小限にできます。寝かせて保管すると空気に触れる面積が増え、酸化が進みやすくなってしまうので、できるだけ立てて保管するようにしましょう。
コルクやスクリューキャップを利用して、ボトルに入る空気を減らす
最もシンプルな方法ですが、もともと使われていたコルクやスクリューキャップで再び栓をすることも重要です。
コルクはもともと挿さっていた方向と逆向きに挿しましょう。コルクの太さは均一ではなく、瓶口側は締め付けられて細くなっていますが、瓶内側はスペースに余裕があり太いままのため、元の向きでは挿さらないことが多いのです。
この時、コルクにラップを巻きつけると密閉度が増し、ボトル内に入る空気がより少なくなるので効果的です。
酸化を防ぐために真空ポンプを使う
少しでも長くおいしい状態を保ちたいという方のために、様々なワイングッズが用意されています。
特にお手軽なのが、ゴム栓と空気を吸い出すポンプのセット。ゴム栓のストッパーをつけてポンプでボトル内の空気を吸い出せば、ワインと酸素の接触を減らして酸化を防ぎます。
1つ買っておけば長い間使えるので、コスパも抜群です。
中身が少ない場合は瓶を小さくする
もし手間を惜しまないのであれば、より小さな容器に移し替える方法もあります。「ボトルを立てて保存する」の応用ですが、ワインが空気に触れる面積が少ないほど酸化しづらくなるため、小さな瓶をワインで満たして栓をすることで、酸化を抑えることができます。
この方法が最も効果を発揮するのが、一人でワインを楽しむ際です。初めから2日間にわたって飲むつもりで、抜栓直後にハーフサイズの空瓶に半分移して冷蔵庫に入れてしまえば、翌日もフレッシュな状態で楽しむことができます。
ワインの開封後の賞味期限
ワインに賞味期限はありません。しかし開封後のワインは時間の経過とともに風味が飛び、なんだか物足りない味わいになっていきます。
結果的に酸味だけが目立つようになってしまうので、その前に飲み切ることが理想的です。
- 赤ワイン|5日程度がおすすめ
- 白ワイン|辛口なら3~5日、甘口糖度によって異なる
- スパークリングワイン|炭酸が抜けないように当日中が理想
赤ワイン|5日程度がおすすめ
赤ワインの場合は渋みが酸化を防ぐ働きをするため、他のワインの種類に比べると長く持ちます。
元々の渋みの強さにもよりますが、2日ほどなら初日よりもおいしく感じることも多いでしょう。とはいえ、5日程度を目安に飲み切ることがおすすめです。
白ワイン|辛口なら3~5日、甘口糖度によって異なる
渋みのない白ワインは、一般的に赤ワインより早くへたってしまいます。辛口であれば3日程度で飲み切りましょう。
一方で冷蔵庫に入れて保管すれば、フルーティな中甘口タイプは1週間、ハチミツのような極甘口タイプは1カ月ほど持ちます。残糖度によって賞味期限は大きく異なるので、甘さを目安にするのがおすすめです。
スパークリングワイン|炭酸が抜けないように当日中が理想
スパークリングワインは再栓ができないという観点からも、泡が楽しめる開けた当日中に飲み切るのがベストです。どうしても飲みきれなかった場合は、空気が抜けないように専用のストッパーを使って保存し、次の日には飲み切るようにしましょう。
白ワインとして飲めばいいと思うかもしれませんが、スパークリングワインは発泡していることを前提として、少し甘みのあるものがほとんどです。泡が抜けると、この甘みが目立ち、白ワインとしては味わいのバランスが崩れたものになってしまいます。
味が落ちてしまったワインの活用方法
残量や飲むペースによっては、適切に保管していてもおいしいうちに飲み切ることができないこともあるでしょう。そんな時もご安心ください。
直接飲用するには味が落ちすぎてしまったワインも、まだまだ活用できるんです。
- 料理酒として使用する
- ホットワインにして楽しむ
- サングリアにして風味をつける
- 塩とワインを混ぜてワイン塩を作り、香りを楽しむのもおすすめ
料理酒として使用する
赤ワインは肉系の煮込み料理やソースに適量を入れればコクが深まり、本格的な仕上がりになります。ただし煮込み料理に大量に入れると、酸っぱくなってしまうので注意しましょう。
白ワインは日本酒と比較すると、フルーティな印象を料理に与えてくれます。少量でも、魚介系の料理に振りかけると非常に華やかな印象になります。
ホットワインにして楽しむ
冬場のおすすめの活用法はなんといってもホットワイン。風味が落ちてしまったワインには、風味をプラスすれば良いという考え方です。
シナモンやクローブなどお好みのスパイスを入れて火にかけ、ハチミツやオレンジジュースでお好みの甘みに調整すれば、寒い日に身体を温めてくれるホットワインのできあがり。火にかけることでアルコールも飛ぶので、お酒が弱い方にも飲みやすくなります。
赤ワインだけでなく、白ワインやロゼワインでも作れます。
サングリアにして風味をつける
ホットワインとは逆に、暑い季節におすすめの活用法がサングリアです。風味が落ちてしまったワインに、スパイスやフルーツで風味をプラスする点は同じですね。
お好みのフレッシュフルーツと氷を入れて、爽やかに楽しみましょう。サングリアも、白ワインやロゼワインでも作れます。
塩とワインを混ぜてワイン塩を作り、香りを楽しむのもおすすめ
しばらく飲まない時におすすめなのが、ワイン塩にしてしまう方法です。最近では市販もされていますが、実は自宅で簡単に作ることができます。
特に赤ワインで作ったワイン塩は風味豊かで、料理の仕上げに振りかけるだけで見た目も鮮やかにおいしくなる調味料です。
分量は大まかで良いので、ワイン2:塩1くらいの割合。ワインを煮立ててアルコールを飛ばしたら、塩を投入。弱火でじっくり水分を飛ばすだけで完成です。簡単に作れてお料理の盛り付けも映えるので、料理好きな方はぜひ作ってみてください。
ソムリエに相談!開封後のワインに関するよくある質問
ここからは、開封後のワインに関するよくある質問に、プロのソムリエが回答します。質問は下記の2つです。
- ブショネとはどういう意味?
- どのくらいの温度で保管するのが良い?
Q.ブショネとはどういう意味?
ブショネとはコルクが原因で引き起こされるワインが劣化する現象です。つまり不良品のワインのこと。
きちんとした統計資料があるわけではありませんが、天然コルク栓のワインのうち3~5%ほどがブショネの可能性があると言われています。しかし近年は技術の発達によって、ブショネが発生しない特殊なコルクや代替栓が普及し、ブショネと出会うことは少なくなっています。
ブショネのワインは濡れた段ボールや漂白剤のような香りがして、本来の果実風味が感じられません。レストランでブショネかも?と思ったら、恥ずかしがらずソムリエに確認してみましょう。ソムリエのいるレストランであれば、何かしら対応してくれるはずです。
ちなみに日本では伝統的にフランス語の「ブショネ」という呼び方が浸透していますが、英語圏ではコルクティントと言うほうが一般的です。
Q.どのくらいの温度で保管するのが良い?
低温環境ではワインが酸化する速度が遅くなるため、基本的には低ければ低いほど良いのですが5度前後までと考えましょう。甘口ワインなどを5度以下で長期間置くと成分が結晶化する可能性があります。
またアルコール度数の高い蒸留酒と違って、ワインは家庭用冷凍庫の温度でも簡単に凍ります。一度凍ったワインは味わいのバランスが崩れてしまうので、急冷のために冷凍庫に入れたまま忘れないように気を付けましょう。
まとめ
ワインは当日中に飲み切らなければいけないなんてことはありません。今回ご紹介したとおり、空気と触れ合うことによって進む酸化を防げば、数日にわたってゆっくりと楽しむことができます。
またもし風味が落ちてしまい、そのままではおいしくないなと思っても色々な活用方法があります。「今日はそんなに飲めないから」とワインを敬遠せずに、もっと気軽にお家でワインを楽しんでみてください。