クリスマスは、日本では恋人と迎える日ですが、海外では、感謝祭同様、家族と祝います。
日本では、「私はキリスト教徒じゃないので」と、クリスマスに冷たい態度をとる人も少なくありませんが、昔から冬至(今年は12月22日)を祝う風習があります。
別名、一陽来復(いちようらいふく)の冬至は「昼が1番短い日」で、冬至以降は日が長くなるため「良いことが起きる最初の日」として祝うのです。
クリスマスにしろ、冬至にしろ、お祝いにシャンパーニュは欠かせませんね。シャンパーニュが似合う真冬の音楽をシチュエーション別に紹介します。
愛する人と二人で、大勢の友人で賑やかに、家族と楽しく、一人で切なく、シャンパーニュと音楽をお楽しみください。
あらゆるシチュエーションで
クリスマスソングの「三銃士」が定番中の定番『ジングル・ベル』、物語性のある軽快な『赤鼻のトナカイ』、元祖クリスマスソング、アンダーソン作曲の管弦楽曲『そりすべり』。
シャンパーニュがどんな食事にも合うように、この三つの曲を聴くとどんな状況でもシャンパーニュを3杯、飲めます。
大勢の友人と賑やかに
気の合う愉快な仲間と大笑いしながらシャンパーニュを飲むのは、クリスマスの風物詩。スケールが大きく明るく楽しい音楽を2曲紹介します。
『ハレルヤ』ヘンデル作曲
クリスマスをテーマにしたクラシックの曲の中で、圧倒的に力強くて明るい音楽がこれ。
「遅くなってごめん」と息を切らせて会場に走り込んだ友人にグラスシャンパーニュを渡し、「じゃあ、また乾杯しよう」と何回目かの乾杯をする時にピッタリ。
『くるみ割り人形』チャイコフスキー作曲
海外の人が集まる場所で必ず耳にするのが、チャイコフスキーが作曲した三大バレエの一つ『くるみ割り人形』。
主人公のクララがクリスマスイヴのプレゼントでもらった「くるみ割り人形」が実はお菓子の国の王子で、「チョコレート」「コーヒー」「お茶」「トレパック」「葦笛」「花」「金平糖」が踊るストーリー。
原作は1816年、ドイツのE.T.A.ホフマンが描いた絵本『くるみ割り人形とねずみの王様』。シャンパーニュを飲みながらこのバレエを見ると、気分は王子様&王女様。
おごそかな雰囲気で
大勢が集まり、渋谷のスクランブル交差点でのハイタッチではなく、石造りの教会で厳粛にクリスマスを祝うような雰囲気で感情を抑制してしっとり静謐な大人の気分になりたいなら、「音楽の父」バッハにお任せ。今回は代表的な3曲を紹介します。
ちなみに、ユダヤ系(イスラエル系)の人は宗教上、クリスマスを祝わないので、海外の人にメールで「Merry Christmas」と書くと、不適切な場合があります。
「Season's Greetings」と書けば、「誰でもOK」の文面に。シャンパーニュは、宗教に関係なく、世界中のみんなが大好き。
『クリスマス・オラトリオ』バッハ作曲
12月25日から1月6日までのクリスマスの物語をオーケストラ、合唱、独唱で演奏する壮大で明るい曲。
全6部を通すと2時間半になる超大作で、シャンパーニュをたっぷり飲むパーティーの時間としてはちょうどイイかも。
『主よ、人の望みの喜びよ』バッハ作曲
クリスマスの定番曲ですが、大作『クリスマス・オラトリオ』と異なり、こちらの演奏時間は3分半。
ピアノ用に編曲したバージョンは、明るく絢爛豪華でカッコいいけれど意外に簡単に弾けるので、少し練習して披露すると、みんなが喜んでくれそう。シャンパーニュと絶妙の相性。
『マタイ受難曲』バッハ作曲
『クリスマス・オラトリオ』同様、交響楽団、合唱、独唱で演奏しますが、更に長い3時間超の大作。
1727年の初演以降、忘れられ、バッハの没後80年となる1829年に、メンデルスゾーンが「100年ぶりの復活」として演奏したことで有名に。
ウィレム・メンゲルベルクの指揮、アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の演奏による1939年のライブ録音には、女性の泣いている音が入っていて、「すすり泣く名演」と伝説になっています。シャンパーニュは、淑女の涙がよく似合いますね。
子供も一緒に家族で
海外では、各地に散らばった家族がクリスマスに実家へ集合して、楽しく過ごします。
日本でも、テーブルの真ん中にチキンの丸焼きを置き、大人はシャンパーニュで乾杯する中、子供は走り回っていることでしょう。
『I Want a Hippopotamus for Christmas』
海外では超有名なのに、日本では無名のクリスマスソングの代表がこれ。
子供が「クリスマスのプレゼントは河馬(カバ)がほしい」と歌う軽快でコミカルな曲。キレのよいシャンパーニュと一緒にどうぞ。
『Let It Snow! Let It Snow! Let It Snow!』
これもクリスマスの定番ソングなのに邦題が決まっていない曲で、日本の『雪やコンコン』の英語版。
明るく軽快な曲で、シャンパーニュとの相性も抜群。
『ママがサンタにキスをした』
「サンタさんって、パパだったの?」という子供の驚きを歌った古典的なクリスマスソングで、古き良き時代のアメリカを連想します。
大統領がJ.F.ケネディー、ヘビー級のチャンピオンがカシス・クレイで、自動車が巡洋艦みたいに大きく、アメリカが自信に満ちていた時代。ノスタルジーのお供にシャンパーニュを。
愛する人と二人でしっとりと
夏に見つけた恋を秋に実らせ、冬に確かめる……。そんなカップルには、二人だけで静かにクリスマスを過ごすといいでしょう。
必要なのは、熱い気持ちと冷たいシャンパーニュだけ。
『ホワイト・クリスマス』
「メロディーが美しいクリスマスソング選手権」があれば、金メダルはこの曲でしょう。飲むシャンパーニュはブラン・ド・ブランで決まり。
深夜、二人きりの部屋でこの曲を小音量で流し、片手にシャンパーニュグラスを持って、お相手に「ねえ、踊ろう」と手をさし出してください。部屋が狭くても、踊りなんて知らなくても、二人でくっついて、リズムに合わせて身体を揺らせば十分。
スペースが狭いほど、ダンスを知らないほど、シャンパーニュを飲むほど、ロマンチックになります。
『きよしこの夜』
これぞ、「ザ・静謐」のクリスマスソングですね。『ホワイト・クリスマス』同様、静かに二人きりで過ごすのに最適。
二人で踊りながら、出会いから今日までの甘い日々を回想すると、シャンパーニュの酸味と絶妙の組み合わせ。二人は熱く、シャンパーニュは冷たく。
一人で切なく
一人で静かにクリスマスを過ごす人もいるでしょう。「去年は二人だったのに」「今年も一人だぁ……」といろいろな思いはあるでしょうが、一人でしんみりとシャンパーニュを飲むのも悪くありません。
「孤独は人を哲学者にし、シャンパーニュがあると詩人にする」ですね。
『ブルークリスマス』
エルヴィス・プレスリーで超有名になった賑やかなのに切ないクリスマスソング。「君のいないクリスマスを一人で過ごす」状況で、これほどピッタリの曲はないでしょう。
少しカントリー・アンド・ウェスタン調が混じっているノスタルジー感が切なさの秘密。シャンパーニュを一人で飲む時に是非、どうぞ。
来年のクリスマスでは、『ホワイト・クリスマス』を聞きながら二人でシャンパーニュを飲んで踊っていることでしょう。
オペラ「ラ・ボエーム」第1幕『私の名はミミ』プッチーニ作曲
『蝶々夫人』や『トスカ』を作曲したオペラの貴公子、プッチーニの作品。
1830年頃のパリ、カルティエ・ラタンに4人の貧乏な芸術家がボロアパートで共同生活をしていました。クリスマス・イヴの夜、隣の部屋の貧しいお針子、ミミが4人の部屋にロウソクの火をもらいに来ます。詩人のロドルフォが火を渡し、ミミが部屋へ帰る時、鍵を落とてしまいました。
ロウソクの火も消え、暗闇で探すうちに、二人の手が触れ合います。その瞬間、二人は恋に落ちるのです。ミミがその時に自己紹介として歌うのがこの曲。
そんなロマンチックな出会いを夢見て、一人、静かにシャンパーニュを飲む時にこの曲をどうぞ。