大西洋に注ぐフランス最大の大河であるロワール川の河口近くは、爽やかな白ワイン「ミュスカデ」で有名な産地です。
海に近い場所で造られているミュスカデはシーフードとの相性が良く、また比較的手に取りやすい価格でもあることから、日本人にとっても親しみやすいワインの一つです。
今回は複数あるミュスカデのA.O.C.の中でも、とりわけ高品質なワインを生み出すと言われるミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌを紹介したいと思います。
面積 | 7,100ha |
主な土壌 | 片岩、片麻岩、花崗岩 |
栽培されている主な品種 | ムロン・ド・ブルゴーニュ(ミュスカデ) |
生産可能タイプ | 白 |
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テロワール
ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌはロワール川の河口近く、ロワール・アトランティック県の県庁所在地ナントの南東に位置するワイン産地(A.O.C.)です。
ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ及びその周辺地域は白ブドウのムロン・ド・ブルゴーニュ(別名ミュスカデ)の一大産地として知られおり、ミュスカデを名乗るA.O.C.は四つもあります。
その中でミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌは最大規模を誇り、栽培面積は7,100ha、年間生産量も300,000hlに達します。
この地域は海に近いため典型的な海洋性気候で夏は温暖、冬も比較的穏やかで、内陸に比べると夏と冬の寒暖差も小さく、過ごしやすい気候です。
土壌は片岩、片麻岩、花崗岩が主体ですが他にも多種の土壌を含む土地。ブドウ畑は低い丘陵に広がっています。
ワインの特徴
一般的にミュスカデから造られるワインはやや緑がかった淡い黄色をしており、レモンやライムのような柑橘系果実の香りが特徴です。味わいは、グレープフルーツのようなフレッシュな果実味としっかりした酸味があり、若飲みタイプが主流です。
ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ地区のブドウは熟度が高いものも多く、最近は木樽を使って熟成させ、ボディのしっかりした、熟成も可能なワインも造られるようになってきました。
ミュスカデはシュール・リーという製法で造られるのが一般的です。シュール・リーとは、フランス語で「澱の上」という意味で、アルコール発酵後ワインを澱引きしないでそのまま発酵槽の中に放置し年を越させ、翌4~5月ごろに澱の上にあるワインの上澄みだけを取り出し瓶詰めを行う手法を言います。こうすることで澱からアミノ酸などの旨味成分が抽出され、独特の豊かな味わいのある白ワインとなるのです。
ちなみに、収穫翌年の3月1日までシュール・リーで熟成させるとエチケットに「Sur Lie」と表示することができます。ただ、新鮮味を損なわないよう澱との接触はひと冬に限られ、収穫翌年の11月30日までに瓶詰めしなければなりません。
代表的な生産者
- ファミーユ・リューボー
- ギィ・サジェ
- シャトー・ド・ラゴティエール
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参考文献:日本ソムリエ協会 教本2021