ワイン愛好家の誰しもが一度は飲んでみたいと思うのが銘醸地ブルゴーニュ、ヴォーヌ・ロマネ村のグラン・クリュ(特級畑)ワインではないでしょうか?
世界で最も高値で取引されるロマネ・コンティをはじめ、この村には六つの偉大なグラン・クリュがあります。
ラ・ロマネもその一つですが、生産量が極めて少ないため市場でほとんど見かけることがありません。
そんなラ・ロマネは一体どのようなワインなのでしょうか?詳しく解説します。
産地 | フランス ブルゴーニュ地方 コート・ド・ニュイ ヴォーヌ・ロマネ村 |
面積 | 0.85ha |
土壌 | 粘土質を含む石灰岩 |
タイプ | 赤 |
品種 | ピノ・ノワール |
テロワール
ラ・ロマネはブルゴーニュのコート・ド・ニュイ地区ヴォーヌ・ロマネ村にあるグラン・クリュ(特級畑)で、面積は約0.85ha、フランス最小のアペラシオンであり、その全てをリジェ・ベレールが単独所有しています。
この地域一帯の気候は、夏は暑く冬は寒い半大陸性気候で、ブドウ畑の土壌は主に粘土・泥灰岩混じりの石灰岩となっています。
ラ・ロマネの畑は東に隣接するロマネ・コンティの真上にあり、ロマネ・コンティより斜面は急で標高は300m近くあり、土壌の粘土質もロマネ・コンティより少なくなっています。
ヴォーヌ・ロマネ村の六つのグラン・クリュ
- ラ・ロマネ
- リシュブール
- ロマネ・コンティ
- ロマネ・サン・ヴィヴァン
- ラ・ターシュ
- ラ・グランド・リュ
ワインの特徴
ラ・ロマネはピノ・ノワール100%で造られる赤ワインです。年間生産本数は約4,000本と極めて少なく、ロマネ・コンティの生産本数(約5,000〜5,500本)をも下回ります。
ラ・ロマネの生産者であるドメーヌ・デュ・コント・リジェ・ベレールは非常に丁寧で緻密、手間のかかる作業を惜し気もなく費やしてワインを造ります。ブドウ畑の耕作は馬で行い、農薬や除草剤を一切使用しない有機農法でブドウを育てています。
ラ・ロマネのワインのスタイルは、ヴォーヌ・ロマネ村の六つのグラン・クリュワイン同様、長期熟成タイプで、飲み頃を迎えるまで少なくとも10年程度、ヴィンテージによっては20年〜30年程度寝かせた方が良いとも言われます。
香りは非常に複雑で華やか、特に熟成が進むにつれてトリュフ、森の下草、なめし革といったピノ・ノワール特有の熟成香が現れます。
絹のように滑らかなタンニンと木樽由来の甘やかなスパイスの風味、豊かな果実味。もちろんヴィンテージによって差異はあれど、長期熟成に耐えうる力強いストラクチャーを持ちながらエレガントで、味わいはしばしば官能的とも表現されます。ロマネ・コンティと比肩すると言っても過言ではないでしょう。
歴史
ラ・ロマネの畑を所有するリジェ・ベレール家には、かつてナポレオン・ボナパルトの副官(軍人)として仕えてきた人物がおり、ヴォーヌ・ロマネの優良な特級畑や一級畑を多数所有していたものの、ブドウの栽培、ワインの醸造、瓶詰めは全てネゴシアンのルロワ、アルベール・ビショー、ブシャール・ペール・エ・フィスが行ってきました。
しかし、7代目当主のルイ・ミッシェル・リジェ・ベレール氏はヴィニュロン(ブドウ農家)となり、ワイン造りをスタートします。
彼は、ピノ・ノワールの神様と呼ばれるアンリ・ジャイエ氏やジャン・イヴ・ビゾー氏から指導を受け、2000年にドメーヌ元詰めを行い、リジェ・ベレールの初ヴィンテージとして発表。
2002年にはグラン・クリュのラ・ロマネをリリース、2005年からは耕作、醸造、熟成、瓶詰め、販売のすべてをドメーヌ・コント・リジェ・ベレールにより行っています。
代表的な生産者
参考文献:『ブルゴーニュワインがわかる』 マット・クレイマー 著 阿部秀司 訳