そろそろ気になってくるのが、昨年ブドウの収穫を終えた2022年ヴィンテージのワインについて。近年は温暖化による異常気象など、農作物であるブドウの栽培への影響も懸念されていますが、その出来はどうだったのでしょうか。
そこで今回はブルゴーニュ委員会から届いたヴィンテージレポートをもとに、2022年ブルゴーニュのヴィンテージについての最新情報をお伝えします!
ワインの品質はどうなる?
まずはブルゴーニュ委員会が現時点での2022年のワインについてコメントを発表していたのでご紹介します。
ワインは良質で、凝縮感とバランスに優れている。極端な暑さに見舞われた年であったというのに、新鮮な果実のアロマと躍動感が明るい未来を感じさせる、驚くべきヴィンテージとなった。
白ワインは、その丸み、滑らかさ、そして複雑さで際立っている。リッチで非常に表情豊か、果実のアロマが過度にならずに存在感を示している。味わいでは、みずみずしい果実味とバランスの良さが生き生きと持続する。
赤ワインの熟成は始まったばかりだが、色が濃く、しなやかな口当たり、良い凝縮感を備えている。柔らかいタンニンに支えられた骨格を持ち、丸みと凝縮感を兼ね備えている。よく熟した赤や黒の果実のアロマが凝縮されている。
ワインの評価についてはまだこれからですが、2022年ヴィンテージのブルゴーニュワインは華やかなアロマと凝縮感のある果実味を備え、良質であることが期待できそうです!
強烈な天候に見舞われた2022年
続いて2022年のブルゴーニュの天候について振り返っていきましょう。
2022年は霜、猛暑、乾燥をはじめ強烈な天候に見舞われたにも関わらず、ブドウ樹はたくましい成長を遂げました。
4月3日から11日の夜間に4回霜に見舞われましたが被害は軽く、その後すぐに気温が上がったため、ブドウ樹は急速に成長することとなりました。
開花は例年よりも2週間早い5月19日から26日にかけて広がり、5月は例外的に温かく良い条件がそろったため、花ぶるい(注1)や結実不良といった症状も少なく済んだよう。
その後、乾燥した気候により水不足が心配されましたが、6月21日から25日にかけて待望の雨が降り、結果的には6月の累計降雨量が例年を大きく上回ったことで水不足を回避することができました。
8月は猛暑となりましたが、乾燥した気候により病害のリスクが少なかったことと、8月中旬に降雨があったことにより、ブドウは順調に成熟することができたようです。
(注1)花が咲いても受粉が上手くいかないことで結実ができず花が落ちてしまうこと。
猛暑となるも収穫は順調
ブドウの収穫は8月中旬より徐々にスタート。収穫の間も猛暑が続きましたが、約1ヶ月かけて順調に進みました。
収穫時期については温暖化の影響で年々早くなっており、30年前と比べると1ヶ月くらい早くなっているそう。そのため収穫のタイミングについても、ブドウの熟度の管理に加えて果実と果汁のテイスティングを行うなど、ブドウの様子を見ながら慎重に行われたようです。
ここでブルゴーニュの現地での情報について、約25年間にわたってブルゴーニュ生産者を訪問し続けているポール・ヴァラン氏にお話を伺うことができたのでご紹介します。
ポール・ヴァラン氏
ブドウの栽培及びワイン醸造を学び、ワイナリーで栽培・醸造家としても働いた経験を持つ。 約25年間にわたってブルゴーニュ生産者を訪問し続けており、ブルゴーニュ生産者とインポーターを繋ぐワインのスペシャリストとして活躍している。
「シャブリ、ニュイ、ボーヌ、マコンと付き合いのある生産者と話したばかりですが、2022年のブルゴーニュはどのエリアでも多くの生産者が健全なブドウを手に入れることができたとのことでした。
ただ春には数日霜害のリスクが高まった日があり、ブドウの新芽が凍ってしまわないようにキャンドルを使った生産者も多かったようです。
シャブリでは10~15%ほどの収量を失う生産者もいましたが、霜害の影響が特に大きかった2021年と比べると軽微な被害だったと感じています。」とのこと。
2022年のブルゴーニュは十分な量のブドウが収穫できたため、ワインの量についても申し分ないことが予想されます。
まとめ
2022年のブルゴーニュは霜害や猛暑、乾燥といった温暖化による影響はあったものの、多くの生産者が健全なブドウを手に入れることができ、量、質ともに安定した素晴らしいヴィンテージであることが期待されます!
ワインが私たちのもとに届くのはもう少し先ですが、ワイン造りに取り組む生産者の努力に感謝しながら、今後のリリースを楽しみに待っていましょう。
参考文献 https://www.bourgogne-wines.com/gallery_files/site/289/1910/72734.pdf