銘醸地ブルゴーニュのヴォーヌ・ロマネ村には、世界で最も高値で取引されるロマネ・コンティをはじめ、六つの偉大なグラン・クリュがあります。
その一つ、ラ・グランド・リュはAOC認定当初はプルミエ・クリュでしたが、1992年にグラン・クリュに昇格したという稀有な経緯を持ちます。
今回はそんなラ・グランド・リュについて解説します。
産地 | フランス ブルゴーニュ地方 コート・ド・ニュイ ヴォーヌ・ロマネ村 |
面積 | 1.65ha |
土壌 | 粘土質を含む石灰岩 |
品種 | ピノ・ノワール |
タイプ | 赤 |
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テロワール
ラ・グランド・リュはブルゴーニュのコート・ド・ニュイ地区ヴォーヌ・ロマネ村にあるグラン・クリュ(特級畑)で、面積は約1.65ha、ニコル・ラマルシュが単独所有するモノポールです。
ブルゴーニュ地方の気候は、夏は暑く冬は寒い半大陸性気候で、土壌は主に粘土・泥灰岩混じりの石灰岩です。中でもラ・グランド・リュの土壌は茶色の石灰岩で、表土はかなり薄くなっています。
ラ・グランド・リュは東西に細長い形をしており、標高は250〜290m、北にはグラン・クリュのラ・ロマネ、ロマネ・コンティと小道を挟んで隣接し、南は同じくグラン・クリュのラ・ターシュと隣接しています。
水捌けが良く、日当たりの良い東向きの斜面に、平均樹齢約30年のピノ・ノワールが植えられています。
ヴォーヌ・ロマネ村の六つのグラン・クリュ
- ラ・グランド・リュ
- ラ・ターシュ
- ラ・ロマネ
- ロマネ・サン・ヴィヴァン
- ロマネ・コンティ
- リシュブール
ワインの特徴
ラ・グランド・リュはピノ・ノワール100%で造られる赤ワインです。畑名はフランス語で「偉大な道」を意味します。
有機栽培のブドウを手摘みで収穫し、さらに徹底的に選果されます。除梗はヴィンテージに応じて決定し、破砕は行いません。
発酵はステンレスもしくは木製の開放槽で果皮と共に行うことで、複雑な風味を引き出しています。熟成にはフレンチオーク樽を使用し、新樽はヴィンテージとアペラシオンの特徴により、60~100%の割合で使用しています。樽熟成後、無清澄、無ろ過で瓶詰めしています。
ラ・グランド・リュはピノ・ノワールの繊細さ、複雑さを表現しつつも、非常に力強いストラクチャーを持ち合わせており、ヴォーヌ・ロマネ村の他のグラン・クリュ同様に、長期熟成にも耐えうるワインとなります。
歴史
ラ・グランド・リュは、ロマネ・コンティやラ・ターシュという偉大なグラン・クリュに挟まれた恵まれたテロワールにありながら、1936年のAOC認定時はプルミエ・クリュに格付けされました。
これは、当時の当主アンリ・ラマルシュがグラン・クリュに格付けされるのを拒んだからと言われています。
なぜなら、彼はグラン・クリュ申請にかかる費用や、グラン・クリュ認定後の膨大な課税を恐れたからです。
しかし、1984年、アンリの息子フランソワ・ラマルシュは改めてこの畑の昇格をINAOに申請。1992年にグラン・クリュに認定されました。
ブルゴーニュにおけるグラン・クリュへの昇格は、AOC法制定以降モレ・サン・ドニのクロ・ド・ランブレイとラマルシュのラ・グランド・リュの二つの畑のみですから、AOC昇格がいかに難しいことかが伺えます。
ちなみに現在はフランソワ氏の娘二コル女史が当主となり、ブドウ栽培から醸造までを担当しています。
代表的な生産者
- ニコル・ラマルシュ(単独所有)