皆さんは、ブラジルと言えば何を連想しますか?
カーニバルやサンバ、サッカー、コーヒー...これらがまず頭に浮かぶのではないでしょうか。
では、ワインはどうでしょう。高温多湿なブラジルで美味しいワインが造れるの?と思った方も多いはず。
ですが実はブラジルは南アメリカでアルゼンチンとチリに次ぐワイン生産国。
主にスパークリングワインが生産されており、昨年11月にはなんと新世界初のスパークリングワインDOがブラジルで認定されたのです。
そこで今回は、日本ではまだあまり知られていないブラジルワインについてDO認可の最新ニュースも含め詳しくお伝えします。
スパークリングワインDOが認定!
2022年11月29日、ブラジル南部セラ・ガウチャ地方にあるアルトス・デ・ピント・バンデイラが新世界初のスパークリングワイン専用DOに認定されました。
これはAsprovinhoというピント・バンデイラ・ワイン生産者協会の10年間にわたる宣伝活動や調査の賜物であり、アルトス・デ・ピント・バンデイラはブラジルにおいてヴァレ・ドス・ヴィニェドスに次ぐ2番目のDOとなりました。
品種はシャルドネ、ピノ・ノワール、リースリング・イタリコの三つが認められており、シャンパンと同じ瓶内二次発酵で製造することなどが定められています。
現時点でDOアルトス・デ・ピント・バンデイラをボトルに記載できるワイナリーは、ファミリア・ガイセ、オーロラ、ドン・ジョヴァンニ、ヴァルマリーノの四つ。
中でもファミリア・ガイセはアルトス・デ・ピント・バンデイラでのスパークリングワインの可能性をいち早く見出したワイナリー。
2014年にはアメリカのワイン専門誌、ワイン・エンスージアストにて新世界のワイナリー・オブ・ザ・イヤーにノミネートされるなど世界的に高い評価を得ています。
ファミリア・ガイセの創業者であるマリオ・ガイセ氏は、アルトス・デ・ピント・バンデイラのスパークリングワインとシャンパンの違いについて以下のように述べています。
「ピント・バンデイラも同様の特徴(低糖度で高い酸を備えながら完璧に成熟したブドウを栽培できること)を持っていますが、酸味はフランスほど高くありません。これにより、汎用性が向上します。これは、ここでの利点です。熟成期間がそれほど長くないスパークリングワインを作ることができると同時に、20年以上の熟成の構造を持つワインも作ることができます。」(Babiana Mugnol, "Conquista da D.O. Altos de Pinto Bandeira, na Serra, valoriza a produção de espumantes brasileiros no mundo", Pioneiro, 2022-12-02, https://gauchazh.clicrbs.com.br/pioneiro/economia/noticia/2022/12/conquista-da-d-o-altos-de-pinto-bandeira-na-serra-valoriza-a-producao-de-espumantes-brasileiros-no-mundo-clb6wfe2a00ar014u8dqv9ccs.html)
DOアルトス・デ・ピント・バンデイラのスパークリングワインは今年にもリリースされる予定です。
ブラジルワインの歴史
今回のDO認可を受けてさらに盛り上がっていきそうなブラジルワインですが、これまでにどのような歴史を経てきたのでしょうか。ここで少し振り返ってみましょう。
ブラジルに初めてブドウの樹が持ち込まれたのは1532年。ポルトガル人によってサンパウロ州に植えられました。
しかしブラジルの暑く湿度の高い気候はヨーロッパ品種に向かず、長きにわたりブドウ栽培に苦戦します。
そうして本格的にワイン生産が始まったのは1870年頃。現在のワイン主要産地であるリオ・グランデ・ド・スル州にイタリア移民がやって来たときでした。
彼らによりワイン生産の知識や技術が伝わり、ここから続々とワイナリーが増えていったのです。
さらに1970年代にはモエ・エ・シャンドンやバカルディなどの大手ブランドが投資を行ったことで、ワインの品質が大きく向上。
2002年には前述したヴァレ・ドス・ヴィニェドスが国内で初めて地理的表示を獲得し、9年後の2011年にDO昇格を果たすなどブラジルワインは近年急速に発展しています。
ブラジルワインの特徴
このような歴史を経て現在では1,200ほどのワイナリーが存在しているブラジル。
生産者は多いですが国土の大部分は高温多湿な気候でブドウ栽培に適さず、ワイン産地は冷涼な南部の丘陵地に集中しています。
ブラジル最南端のリオ・グランデ・ド・スル州が全生産量の9割を占めており、ブラジルの六つの主要産地のうち五つが位置しています。その中でも二つのDOが認められているセラ・ガウチャ地方が最も重要と言われています。
ワインのタイプとしては赤ワインとスパークリングワインが中心で、現在はカベルネ・ソーヴィニヨンやメルロ、シャルドネ、セミヨンといった国際品種が主に栽培されています。
ブラジルのワインは一般的に軽くフレッシュでフルーティーな飲みやすいものが多く、赤ワインもカリフォルニアと比べてアルコール度数が低く親しみやすいと言われています。
まとめ
ブラジルでワイン造りが盛んなことに驚いた方も多いのではないでしょうか。
現在は生産量のわずか2%しか輸出されていないというブラジルワインですが、今回のアルトス・デ・ピント・バンデイラのDO認定をきっかけに世界的に認知度が上がることが期待されます。
日本でももっとブラジルワインを楽しむ機会が増えることを願いつつ、今後のニュースにも注目していきましょう!
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