ワイン造りにおいてサステナブルな取り組みが積極的に行われている昨今。
農薬を抑えた栽培、馬による耕作、太陽光発電パネルの設置など様々な取り組みがありますが、消費者である私たちがワインを手に取るときに分かる、実感しやすい取り組みと言えばワインのパッケージングです。
キャップシールの廃止などの見直しを行う生産者が増えている中、2023年4月上旬、シャンパンの史上最軽量ボトルが開発されたというニュースが届きました!
今回はこのニュースについて、開発の経緯から詳しくお伝えします。
史上最軽量のシャンパンボトル誕生!
2023年4月6日、シャンパンメゾン「テルモン」とフランスのガラスメーカー「ヴェラリア」が史上最軽量のシャンパンボトルを完成させたというニュースが報じられました。
そのボトルの重量は、現在の標準ボトルよりも35g軽い800g。
では、なぜボトルが軽いほうが環境に良いのでしょうか。
まず第一に、ボトルが軽ければ輸送時の燃料が少なく済み二酸化炭素の排出量を削減することができます。
そして、ボトルが軽いということは使用しているガラスの量が少ないということ。
ガラスの量が減ると、同時にガラスを溶解してボトルを製造する際に発生する二酸化炭素量も減るのです。
この800gのボトルでは製造時に発生する二酸化炭素量が、従来のボトルよりも1本あたり約4%少なくなると発表されています。
今回の軽量化を実現したテルモンは、サステナブルなシャンパン造りを重視しこれまでにも二酸化炭素排出量が多いギフトボックスを排除、リサイクルガラスを使わない透明のボトルから85%リサイクルガラスで造られたグリーンボトルに変更するなどの取り組みを行ってきました。
彼らはシャンパン製造時に排出される二酸化炭素量全体の約24%をガラス瓶が占めているということを知り、次なる二酸化炭素削減への取り組みとしてボトルの軽量化に目を向けたのです。
そして900gから835gへの軽量化を10年前に実現したガラスメーカー「ヴェラリア」と提携し、この計画に乗り出しました。
この計画の目標はボトルの外観と形状をほぼ変えずに重量を減らすこと。
重量を減らすというと簡単に聞こえますが、それはただ単にガラスの量を減らすことではありません。
形状を変えないことに加えシャンパンボトルとしての耐久性も維持させながらの減量は簡単でなく、テルモンのCEOルドヴィック・デュ・プレシ氏によるとボトルの底は衝撃を受けすぎるため手を加えるのが難しく肩部分から減量を図ったそう。
そうして作られた3,000本のボトルサンプルを使い、二次発酵だけでなく、デゴルジュマン、ラベリング、輸送、温度テスト、さらにシンガポールへの出荷テストまで実施。
このような数々のテストを経て 、ついに史上最軽量の新たなシャンパンボトルが完成しました。
テルモンは2026年からこのボトルを使用してオーガニック認定キュヴェ、レゼルヴ・ド・ラ・テールを販売する予定です。
まとめ
10年前に一度軽量化したシャンパンボトルを、ガス圧に耐え得る頑丈さを損なわずに、さらに減量するという難しいチャレンジを成功させたテルモン。
CEOのルドヴィック・デュ・プレシ氏は、「テルモンが始めたこの試みは、メゾンの枠を超えて広がるべきです。母なる自然の名のもとに、シャンパーニュ地方のすべてのメゾンがこのボトルを採用することになれば、と思います。その理由?私たちが軽量ボトルを全面的に取り入れることは地球のためになり、地球の利益となるからです!」※と語っています。
テルモンに限らずシャンパーニュ地方において二酸化炭素排出量を減らす取り組みが積極的に行われている中、このボトルを採用する生産者が増えることで、シャンパーニュ地方全体の排出量のさらなる減少が期待されます。
※レミーコアントロージャパン.“環境活動に取り組むサステナブルシャンパーニュ・テルモンがシャンパーニュボトルの史上最軽量化に成功し、業界新基準を実現”. PR TIMES. 2023-04-06. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000212.000016452.html,(参照2023-04-26)
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