V.D.L.(ヴァン・ド・リキュール)とは?

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公開日 : 2023.4.20
更新日 : 2023.7.12
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酒精強化ワイン

V.D.L.(ヴァン・ド・リキュール)というお酒をご存じでしょうか?


リキュールは、蒸留酒に果実やハーブなどの副材料と砂糖などを添加し調整した混成酒ですが、ヴァン・ド・リキュールは一般的なリキュールとは異なります。


そこで今回は、V.D.L.とはどんなお酒なのか、造り方から産地まで詳しく紹介したいと思います。

目次

V.D.L.(ヴァン・ド・リキュール)の特徴

リキュール

V.D.L.(Vin de Liqueur ヴァン・ド・リキュール)とは、フランスで造られる酒精強化ワインの一種で、未発酵のブドウ果汁(一部発酵中の場合もある)にアルコールを添加し、樽またはタンクで熟成させて造られます。


V.D.L.の主な産地はジュラやラングドック、またコニャックやアルマニャック地方です。添加するアルコールは地方によって異なりオー・ド・ヴィーやマール、コニャック、アルマニャックが用いられます。


V.D.L.は原料ブドウの糖度がそのまま残った状態でアルコールが添加されますから、一般的に甘口になります。アルコール度数は16〜22%、赤、白、ロゼが造られています。

V.D.L.とV.D.N.の違い

フランス産の酒精強化ワインにはV.D.L.の他にV.D.N.(Vin Doux Naturel ヴァン・ドゥー・ナチュレル)があります。名前が似ており間違いやすいですが、二つの違いは製法です。


V.D.L.が未発酵のブドウ果汁にアルコールを添加して造られるのに対して、V.D.N.はブドウ果汁の発酵途中にアルコールを添加して造られる甘口の酒精強化ワインで、日本語では「天然甘口ワイン」と呼ばれています。


V.D.N.全生産量の約9割がルーション地方で造られおり、主な原料ブドウはグルナッシュとミュスカですが、V.D.L.は産地よって原料ブドウが異なります。

V.D.N.についてはこちら

産地

ジュラの風景

主な産地はジュラやラングドック、コニャックやアルマニャック地方です。それぞれどのようなV.D.L.が造られているかご紹介します。

ジュラ地方

ジュラ地方で造られるV.D.L.はマック・ヴァン・ド・ジュラと言い、赤とロゼはプールサール、トルソー、ピノ・ノワールを原料とし、白はシャルドネとサヴァニャンを原料に造られます。


糖度が170g/1L以上のブドウを収穫し、その果汁または発酵の初期段階にアルコール度数52%以上のオー・ド・ヴィーを添加して造られます。


オー・ド・ヴィーはフランス・コンテ産のもので、最低14ヶ月樽熟成させたものを使用しなければなりません。また、添加後は少なくとも10ヶ月はオーク樽で熟成させて造られます。

ラングドック地方

ラングドック地方では2種類の白のV.D.L.が造られています。


ミュスカ・ド・フロンティニャンは1936年、エロー県のフロンティニャン村とヴィック・ラ・ガルディ村の2カ村に認められたV.D.L.で、ミュスカ・ブラン・ア・プティ・グラン100%で造られます。また、同じくミュスカ・ブラン・ア・プティ・グラン100%でV.D.N.も造られています。


また、クレレット・ディ・ラングドックはエロー県の11カ村に認められたクレレットのみを用いて造られるV.D.L.で、同じA.O.C.に辛口、甘口の白ワイン、ランシオが認められています。

コニャック地方

フランス西部ボルドーの北部に位置するコニャック地方で造られるV.D.L.をピノー・デ・シャラントと言います。ご存じの通り、コニャック地方はブランデー「コニャック」の産地です。


ここで造られるV.D.L.は白、ロゼ、赤があり、白はコニャックの原料ブドウと同じ、ユニ・ブラン、フォル・ブランシュ、コロンバール、モンティル、セミヨン等から造られます。2008年にA.O.C.に認定された赤はカベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、メルロ、マルベックが原料となります。


ブドウ果汁に添加されるアルコールは当然コニャックで、アルコール度数は60度以上でなければなりません。添加後、白は18ヶ月以上、赤は12ヶ月以上の熟成が必要です。また、「vieux」の表記は木樽で5年以上、「très vieux」または「extra vieux」の表記は木樽で10年以上熟成したものになります。

アルマニャック地方

コニャック地方と並んでブランデーの産地であるボルドー南部のアルマニャック地方で造られるV.D.L.がフロック・ド・ガスコーニュです。ロゼと白があり、白はコロンバール、グロ・マンサン、ユニ・ブラン主体、ロゼはカベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨン、コー等が主な原料ブドウです。


フロック・ド・ガスコーニュはブドウ果汁にアルコール度数52度以上のアルマニャックを添加し、最低でも収穫翌年の3月1日まで熟成させることが義務付けされています。

まとめ

V.D.L.は一般的に食前酒や食後酒として楽しまれますが、おすすめはやっぱり食後酒です。よく冷やしてから飲むと、上品なブドウの甘みと芳ばしい樽の香りが楽しめます。


単体で飲んでも美味しいのですが、チーズとも相性が良いので合わせてみてはいかがでしょうか?例えばマック・ヴァン・ド・ジュラには同じジュラ地方で造られるチーズ「コンテ」と、フロック・ド・ガスコーニュには蜂蜜を添えたブルーチーズとよく合います。


ぜひ一度お試しください。

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