ジュヴレ・シャンベルタン村はブルゴーニュのコート・ド・ニュイ地区最大の面積を持ち、なおかつコート・ド・ニュイの中で最多となる九つのグラン・クリュ(特級畑)を保有します。
それらのグラン・クリュは全て街道に沿って隣接しているにもかかわらず、生まれるワインはそれぞれ個性が異なるからなんとも不思議です。
今回はその九つのグラン・クリュの一つ、ラトリシエール・シャンベルタンについて解説します。
産地 | フランス ブルゴーニュ コート・ド・ニュイ ジュヴレ・シャンベルタン村 |
面積 | 7.31ha |
土壌 | 粘土質を含む石灰岩 |
品種 | ピノ・ノワール |
タイプ | 赤 |
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テロワール
ラトリシエール・シャンベルタンはブルゴーニュのコート・ド・ニュイ地区北部ジュヴレ・シャンベルタン村にあるグラン・クリュで、面積は約7.31ha、標高約275〜300mの日当たりの良い東向きの斜面にあります。
北側にはグラン・クリュのシャンベルタン、街道を挟んで東側の斜面下方にはシャルム・シャンベルタン(マゾワイエール・シャンベルタン)、南側にはプルミエ・クリュのオーコンボットと隣接しています。
夏は暑く冬は寒い半大陸性気候のブルゴーニュの中で、ジュヴレ・シャンベルタン村はグラン・クリュを擁する村としては北方に位置するため比較的冷涼です。この地域一帯の土壌は粘土石灰質土壌で、グラン・クリュは茶色い土壌で表土は薄く、泥土や砂利質の堆積物となっています。
ジュヴレ・シャンベルタンのグラン・クリュの中では南側に位置するラトリシエール・シャンベルタンは、その南側に隣接するプルミエ・クリュのオーコンボットと比べると違いは明確です。
ジュヴレ・シャンベルタン村は地勢に由来する局地気候が著しく、コンボットの畑はその名の通り(「コンブ」はフランス語で谷間を意味する)冷気の集まる谷間にあり、気象の微差でグラン・クリュ群より少し冷涼になります。そのため、他のグラン・クリュのワインよりやや軽やかなワインが生まれるのです。
ジュヴレ・シャンベルタン村の九つのグラン・クリュ
ワインの特徴
1937年にA.O.C.に認定されたラトリシエール・シャンベルタンはピノ・ノワールから造られる赤ワインです。
ラトリシエール・シャンベルタンは他のグラン・クリュに比べて、とりわけしなやかなボディが特徴の女性的なワインとなります。これは、北側に隣接するグラン・クリュのシャンベルタンから生まれるワインが、肉付きが良く非常に男性的であるのと対照的です。
ラトリシエール・シャンベルタンのワインは木苺、ラズベリーのような赤い果実の香りや、バラやスミレ、森の下草のアロマ、さらにはスパイシーなニュアンスも感じられる傾向にあります。繊細でありながら、凝縮した果実味と豊富なミネラル、柔らかなタンニンがバランス良く調和し、グラン・クリュとしての品格の高さが伺えます。飲み頃を迎えるまでに10年は熟成させたいワインです。
代表的な生産者
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