あのひとの、特別な日に飲む「ハレ」ワイン、日常に馴染む「ケ」ワイン。
ワイン好きで知られるあのひとに、それぞれのワインと楽しみ方を語ってもらいました。
放送作家。脚本家。京都芸術大学副学長。1964年6月23日熊本県天草市生まれ。 日本大学芸術学部放送学科在籍中に「11PM」で放送作家としての活動を開始。「料理の鉄人」「カノッサの屈辱」など斬新なテレビ番組を数多く企画。脚本を担当した映画「おくりびと」で第32回日本アカデミー賞最優秀脚本賞、第81回米アカデミー賞外国語部門賞、第60回読売文化賞を獲得。執筆活動の他、地域・企業のプロジェクトアドバイザー、下鴨茶寮主人などを務める。2025年大阪・関西万博ではテーマ事業プロデューサーを務める。熊本県のPRキャラクター「くまモン」の生みの親でもある。「湯道」を提唱し、一般社団法人湯道文化振興会を創設。2023年2月23日には、企画・脚本を担当した映画「湯道」が公開。
実は私、エノテカのレンタルセラーを愛用しています。ワイン好きから見たレンタルセラーがいかに素晴らしいかをちょっとだけ話させてください。
仕事の合間にポチッと買ってそのまま入庫。旅先のホテルやレストランにセラーから気軽に直送できるのがとても便利です。改めてレンタルセラーのラインナップを見ると、自分の好みが白ワインやシャンパーニュだとわかります。
▼ハレワイン
個人的なつながりで、当時はまだロバート・モンダヴィ・ワイナリーの醸造責任者だったティム・モンダヴィ氏と出会いました。彼が日本に来るときは私の家でBBQをしたりお寺を巡ったり、代わりに私がアメリカへ行くときは彼の家でもてなしてくれるなど、家族ぐるみの仲です。
ティムに招待されて伺ったロバート・モンダヴィ氏の家でのこと、当時90歳を超えたロバートは年を感じさせないほどパワフル。あまりの若さに秘訣を尋ねると、食後にリビングのプールで泳ぐことだと語ります。リビングに食後すぐ飛び込める用のプールがある家を初めて見ました。ティムとはかれこれ20年以上の交流がありますが、コンティニュアムは今までのモンダヴィ一家との思い出が浮かぶ特別なワインです。
もともとルイ・ロデレールが好きで、いつも飲むシャンパーニュはスタンダード・キュヴェであるコレクションを、ちょっといい日にはフィリップ・スタルクブリュット・ナチュールを、特別な日にはクリスタルを開けています。
最近気が付いたのですが、私は熟成シャンパーニュが好きです。毎年京都で開かれる“蛍の会”に今年も参加し、様々なワインを飲みました。その日飲んだワインの中で1番美味しいと思ったのが1986年のクリスタル。熟成を経ると、華やかさだけではない熟成シャンパーニュにしかない良さを生むと感じました。それからは、自身の誕生日でもクリュッグのバックヴィンテージを開けたりと、熟成シャンパーニュが私のハレの日の新定番となりつつあります。
▼ケワイン
ワインは毎日飲みます。地元熊本の菊鹿ワイナリーのシャルドネや、キスヴィンの甲州などの日本ワインも好きですが、お気に入りはナチュールワインです。
ワインを選ぶときに大切にしているのが、食事とのバランス。私は、素朴な田舎の料理やおふくろの味が好きで、幸福の“ふく”、おふくろの“ふく”、まんぷくの“ふく”を感じる料理の“ふくあじ”を提唱しています。
最近は特にオレンジワインが好きで、つい先日はイタリアのフリウリに行ってラディコン(※)を訪れました。家族経営で生産数は少ないものの、こだわりのつまったナチュールワインはまさに“ふくあじ”のお酒=“ふくさけ”ですね。
※オレンジワインで知られるナチュラルワインの著名生産者