ブルゴーニュのコート・ド・ニュイ地区最大の面積を持つジュヴレ・シャンベルタン村には九つのグラン・クリュ(特級畑)があります。
その一つ、リュショット・シャンベルタンは、この村のグラン・クリュの中で最北に位置し、隣接する八つのグラン・クリュとはテロワールにも違いがはっきりと見られます。
今回はリュショット・シャンベルタンについて詳しく解説します。
産地 | フランス ブルゴーニュ コート・ド・ニュイ ジュヴレ・シャンベルタン村 |
面積 | 3.25ha |
土壌 | 粘土質を含む石灰岩 |
品種 | ピノ・ノワール |
タイプ | 赤 |
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テロワール
リュショット・シャンベルタンはブルゴーニュのコート・ド・ニュイ地区北部ジュヴレ・シャンベルタン村にあるグラン・クリュで、面積は約3.25ha、標高約290〜310mの日当たりの良い東向きの斜面にあります。
この村のグラン・クリュの中では最も標高の高い位置にあり、東側の斜面下方にはグラン・クリュのマジ・シャンベルタンが広がっています。
半大陸性気候のブルゴーニュの中では、ジュヴレ・シャンベルタン村はグラン・クリュを擁する村としては北方に位置するため、比較的冷涼です。この地域一帯の土壌は粘土石灰質で、グラン・クリュは茶色い土壌で表土は薄く、泥土や砂利質の堆積物となっています。
とりわけリュショット・シャンベルタンはこの村の西側にある小さな山(ラ・コンブ・グリーズ)の登り口にあって傾斜がきつく、土地の表層は痩せていて小石が多く見られます。
また、リュショット・シャンベルタンはコンブ・ラヴォーの渓谷の出口にあるため、谷からの冷風の影響を受け、近隣のグラン・クリュよりブドウの成熟が遅くなり、ブドウに酸が多く残る傾向にあります。
リュショット・シャンベルタンは、斜面上部のリュショット・デュ・ドシュと小道を挟んで斜面下部のリュショット・デュ・バからなります。上部のリュショット・デュ・ドシュの方が日照に優れているとされており、ドメーヌ・アルマン・ルソーの約1haのモノポール(単独所有畑)「クロ・デ・リュショット」もこのリュショット・デュ・ドシュにあります。
ジュヴレ・シャンベルタン村の九つのグラン・クリュ
ワインの特徴
1937年にA.O.C.に認定されたリュショット・シャンベルタンはピノ・ノワールから造られる赤ワインです。
リュショット・シャンベルタンのワインは骨格がしっかりとしており、凛とした酸味と濃密すぎない果実味、硬質なミネラル感が特徴で、若いうちは硬さが目立ちます。このような個性は、上記のような痩せた土壌に由来していると考えられます。
熟成が進むと酸味や硬さは角がとれ、風味は複雑さを増し、きめ細やかで洗練されたワインに変貌を遂げます。そのため、最低でも10年は熟成させたいワインです。
作柄の良い年には、果実味も豊満になり、堅牢さとエレガントさを兼ね備えた逸品となります。
代表的な生産者
- ドメーヌ・アルマン・ルソー
- ジョルジュ・ミュニュレ・ジブール
- フレデリック・エスモナン
- クリストフ・ルーミエ
- ドメーヌ・フランソワ・トラペ
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参考文献:「ブルゴーニュワインがわかる」 マット・クレイマー著 阿部秀司:訳