「ワイン選びは難しい」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。ワインショップに行っても、自分に合った1本を見つけるのはなかなか難しいものです。
そんな時は、ワインのプロにお任せください。ワインに詳しくなくても大丈夫。スタッフがあなたにピッタリのワインとの出会いをお手伝いします。
この記事では、ワイン初心者・長谷川あかりさんのエノテカ体験を通して、ワイン選びのコツや楽しみ方をご紹介します。
今回は、今夜のメニューに合わせるワインを、ペアリングのポイントを聞きながら探してみました。
前回の記事はこちら
【プロフィール】長谷川あかりさん
料理家・管理栄養士。1996年生まれ、埼玉県出身。『なんでもない日を幸せにする、シンプルで豊かなごはん』をテーマに、食べ疲れないのにちょっぴりおしゃれで自己肯定感の上がる“新しい家庭料理”のレシピをSNSや雑誌等各種メディアで発信中。
X(旧Twitter):@akari_hasegawa
Instagram:@akari_hasegawa0105
ひとりでワイン1本飲み切れない!
これまで、赤ワインにハードルを感じ、なかなか手を伸ばせていなかった長谷川さん。前回、エノテカを訪れ、赤ワイン好きの友人とともに楽しむワインを購入しました。
接客を受けて赤ワインのイメージはどう変わったのか、実際にワインを飲んでみてどうだったのでしょうか?
長谷川さん
「前回、赤ワインをスタッフの方と一緒に選びましたが、いろいろ説明していただいたおかげでよりワインが好きになりました!赤ワインを難しいものだと思い込み過ぎていたんだなと思います」
ご友人と一緒にワインを楽しんだという長谷川さん。赤ワインも身近な存在になりつつあるものの、未だワインの悩みがあるそうです。
長谷川さん
「ワインはこの前のように友人とか複数人で飲むことが多くって。夫はお酒を飲まないので自宅で飲むのはいつも一人なんです。
普段から自分の作った料理とワインを合わせたいと思ってもボトルを一人で開けるのはなかなか難しいなぁって……」
今回も長谷川さんとワインショップ・エノテカ広尾本店へと向かいました。
ワインの変化を楽しむ!?
ショップに入ってワインを目の前にするとすでに楽しげな長谷川さん。前回からさらにワインが好きになったのが表情からも伝わってきます。
そんな長谷川さんを広尾本店スタッフの磯山が迎え入れました。
スタッフ磯山
「長谷川さん、こんにちは。いらっしゃいませ」
長谷川さん
「こんにちは。先日はありがとうございました!」
スタッフ磯山
「こちらこそありがとうございました!モンテス・アルファ・シラー、いかがでしたか?」
長谷川さん
「とっても美味しかったです!話していた通り、スパイスを効かせた豚の角煮と合わせて飲みました。
ワイン自体がソースみたいな役割になってくれて、すごく美味しかったです!」
スタッフ磯山
「美味しそうですね……!僕も合わせてみたいのでぜひレシピを教えてください」
長谷川さん
「ぜひぜひ!
私も普段からもっと料理に合わせてワインを飲みたいんですが、一人でボトル1本はなかなか難しくって……やっぱりその日に飲み切らないとダメになっちゃいますよね?」
スタッフ磯山
「ご安心ください!ワインは1日で飲み切る必要性はありませんよ!
ワインや保存状態にもよりますが、目安として白ワインなら3日、赤ワインなら5日は持ちます。味わいの変化も感じていただけるかと思います」
長谷川さん
「そんなに大丈夫なんですね!味わいの変化というのは?」
スタッフ磯山
「ワインって空気に触れることで渋みがまろやかになったり、フルーツの香りが広がったりするんです。
ワインによっては1日目より2日目のほうが香りや味わいが広がって美味しい、ということもあります」
長谷川さん
「なるほど、そうなんですね!空気に触れさせちゃいけないんだと思っていました……!」
スタッフ磯山
「空気に触れさせすぎるのも良くないんですけどね。
フルーツと同じだと思ってもらえると分かりやすいかもしれません。フルーツって熟すと甘くなって美味しくなりますが、熟させすぎると味わいのバランスが崩れると思うんです。
ワインも同じように空気に触れることで口当たりがまろやかになったりしますけど、ピークを過ぎてしまうと味わいのバランスが崩れたり香りが飛んでしまったりするんです」
長谷川さん
「分かりやすい、ありがとうございます!
今日は自宅で飲むワインが欲しいなと思っていて。前回、ワインとのペアリングにとても感動したので、もっとペアリングのことも知りたいなと思っています」
おうちでもワインペアリング
スタッフ磯山
「今日はどんな料理を作られるんですか?」
長谷川さん
「ビーフストロガノフにしようかなと!私の作るビーフストロガノフは長時間煮込むとかではなくて、トマトと玉ねぎと牛肉を1度蒸して、味付けもお醤油とみりん仕立てなので、イメージは洋風牛丼のような感じです。
生クリームとヨーグルトを加えてコクと酸味を加えているので、すっごく重たいわけではないけどコクは感じられます。
赤ワインが合うかなぁと思っているんですが、どんなワインが合うかもまだわからないので教えていただきたいです!」
スタッフ磯山
「わぁ、美味しそうですね……!たしかに赤ワインが合うと思います。
ペアリングのポイント、いくつかあるのでご説明しながらワインをご提案していきますね」
長谷川さん
「ありがとうございます!よろしくお願いします!」
意外と簡単!?ペアリングのポイント
スタッフ磯山
「まず最も簡単なペアリングのポイントが食材の色合わせです。
お肉でも鶏肉のように白っぽいものには白ワイン、牛肉のような赤いお肉には赤ワインなどのしっかりとした色合いのものを合わせるとペアリングが上手くいきます」
長谷川さん
「色で合わせるというのは視覚的にも分かりやすいですね!できそう!」
スタッフ磯山
「なので今回のようなビーフストロガノフには赤ワインが合いそうかな?という予想ができます。
そして二つ目のポイントは、香りや味わいの要素を合わせることです。前回、長谷川さんがモンテス・アルファ・シラーにスパイスの効いた角煮を合わせた、というのがまさにこれです!」
長谷川さん
「たしかに……!!黒コショウとブルーベリーの香りがすると聞いて、スパイスの効いた角煮にブルーベリージャムも添えてみたんですよ。それが本当に美味しかったです!」
スタッフ磯山
「素晴らしいです!そうやってワインの香りや味わいが分かれば料理との共通点を探して同調させることができます。
ただし難しいのが、人によって美味しい、美味しくないの感じ方はバラバラで正解が一つじゃないということです。
ご自身でペアリングを考えながらワインを選ぶ時は、心構えとして『良い組み合わせだったらラッキー』くらいの感覚だと良いかもしれないです。合わなかったらその飲んでいるワインに感じたハーブやスパイスの要素を加えて、ワインに寄り添うようにしてあげると良いかと思います。
長谷川さん
「なるほど!!逆のイメージですね!!
自宅なら自分の好きなワインに合わせた料理を作れば上手くペアリングできますね。そうやってワイン主体でペアリングを考えるのも楽しいかも!」
ワインを選んでみよう!
スタッフ磯山
「ではまず1本目におすすめなのがこちらのスペインの赤ワインで、マルケス・デ・ムリエタ・レゼルヴァです。
最初は力強い印象があるんですが、後味はさわやかで飲み込んだ後にもカシスやリコリスのような甘いスパイスの風味が広がっていき、余韻が楽しめます。
ビーフストロガノフのコクやさわやかさ、そういった香りや味わいの要素と上手くペアリングすると思います」
長谷川さん
「余韻……気になる!!
ビーフストロガノフってちょっとしたごちそう感があって、ゆっくりのんびり楽しみたいので、雰囲気や味わい的にも合いそうですね!」
スタッフ磯山
「美味しいとついつい飲み進めてしまうかもしれませんが、余韻を楽しむにはゆっくりじっくり飲む、というのがおすすめです。
個人的にここ1、2年で飲んだワインの中で1番好きなワインで、力強いだけじゃなくエレガントな味わいが本当に心地良いんですよね」
長谷川さん
「力強いけどエレガント……やっぱり気になる!」
スタッフ磯山
「もう一つ、ペアリングのポイントがあって、それが産地を合わせること。その土地のワインと食材は、同じ風土で育っているので自ずと相性が良くなるんです。
ビーフストロガノフはロシア料理ですが、ロシアのワインはあいにく取り扱いがないので、料理の共通点から考えてみました。
先ほどレシピを伺った感じ、玉ねぎが入った煮込み料理なのでフランスのブルゴーニュ地方の料理に似ているかなと思います。ブルゴーニュにはバターを使って玉ねぎ、ベーコン、マッシュルームを赤ワインで煮込む料理があります」
長谷川さん
「ビーフストロガノフ、乳製品を結構使っているのでそういうフランスのお料理と近しい部分があるかもしれないです!」
スタッフ磯山
「そこでおすすめなのがこちらのブルゴーニュ・ピノ・ノワール ラ・ムートニエールです。
長谷川さんがお好きなピノ・ノワールを使ったワインで、ラズベリーやフレッシュな酸味が特徴です。透明感があるのでビーフストロガノフもワインと寄り添うかなと思います。
醤油とみりん仕立てと聞きましたが、ピノ・ノワールと醤油の相性が良いので味わいもすごく合うかなと思います」
長谷川さん
「ピノ・ノワールと醤油って相性良いんですね!試してみたい!」
スタッフ磯山
「最後の1本も同じように似た食材を用いた郷土料理がある産地のワインから選んでみました。こちらのサンタ・クリスティーナ・キャンティ・スペリオーレです。
ブルーベリーの香りとほんのりカカオの風味がします。冷やして飲むことでスッキリさわやかに楽しめると思うんですが、今回の場合だと、煮込み料理なので温度は高めのほうがお料理との相性は良くなると思います。
1日目は温度高めでビーフストロガノフと合わせて、2日目は冷やして飲むと二度美味しいかと!」
長谷川さん
「二度美味しい!良いですね!
カカオの香りは料理の隠し味になりそうですね」
スタッフ磯山
「まろやかで旨味のある赤ワインなので、ビーフストロガノフのトマトの酸味や玉ねぎの旨味とも合うと思います。
さらにブラックペッパーをかけたり、チーズで旨味をプラスすると、なお合うかなと」
長谷川さん
「ありがとうございます!今回の3本もどれも美味しそうで迷っちゃいますね。ちょっと考えてみます!」
店内を周り熟考すること数分。購入するワインが決まったようです。
スタッフ磯山
「余韻は一度楽しみ方を知ると抜け出せなくなりますよ(笑)」
長谷川さん
「余韻の境地に行ってきます!(笑)今日もありがとうございました!」
スタッフ磯山
「ありがとうございました!またのお越しをお待ちしております」
まだ知らないワインの世界へ
長谷川さん
「自宅でワインと食事のペアリングを楽しむなんて、と思っていたんですが、お話を聞くとやっぱり難しく考えすぎていたんだなと思いました。
自分が今持っている知識に加えてもう少し興味を持って調べるだけでできるかも!と思います。よりワインが身近に感じられました。
前回もそうですが、悩んで決めた1本ってそれだけで特別感があるので今から飲むのが楽しみです!」
後日、長谷川さんからビーフストロガノフと選んだ赤ワインの感想が届きました。
長谷川さん
「力強さとエレガントさ、しっかりと感じ取ることができました。余韻、素晴らしいですね!
渋すぎず柔らかさもあるのでお料理ともよく合いましたし、スパイス感がまったりとしたビーフストロガノフをより引き立ててくれました。
今まで飲んでこなかったような味わいで、まだ知らなかったワインの世界を知ることができました」
と、赤ワインとのペアリングに大満足していただいたご様子です。
今日食べたい料理にピッタリなワインやお気に入りのワインに合う料理など、自宅でワインを楽しむときのワインペアリングは無限大です!
難しく考えすぎず、一度スタッフに相談してみてください。
あなたにピッタリな1本に出会えますよ。
長谷川さんが選んだワインはこちら
マルケス・デ・ムリエタ・レゼルヴァ
赤
パワフル&ストラクチャー
スペイン・リオハの頂点に君臨する造り手。彼らのスタイルが集約された、渾身のフラッグシップワイン。力強くエレガントな味わい。 詳細を見る
4.3
(43件)2019年
4,290 円
(税込)
WA 93
2018年
4,290 円
(税込)
WA 94