ワインの世界には数多くの噂や疑問が存在します。
「これって本当なの?」と思うような噂や「ワインのここがわからない!」という疑問など、あなたも持っていませんか?
そんな皆さんが聞いたことのある噂や抱えている疑問をエノテカスタッフが検証します。
第3回のテーマはワインの温度。
「白ワインは冷やして、赤ワインは常温で」と聞いたことはありませんか?赤ワインを冷やすべきか迷う方もいらっしゃるかもしれません。
SNSでは「ワインの温度によって味わいはどのように変わるの?」と質問をいただきました。
温度によって味わいはどのように変わるのでしょうか。異なる温度のワインを用意して、飲み比べてみました!
スタッフプロフィール
左から
河獠
マーケティング部 企画販促課
新卒入社したIT企業勤務後、好きなワインを仕事にと2018年にエノテカへ入社。渋谷ヒカリエShinQs店、六本木ヒルズ店を経て、現在はマーケティング部にてワインのコンテンツ作成やワインセミナーを担当。
ワインだけでなく日本酒も好きなため、J.S.A.SAKE DIPLOMAも取得。国内旅行では、地元のワイナリーに加えて、日本酒蔵に訪問することも旅の楽しみの一つ。
淵岡美香
通販事業部 自社サイト企画課
学生時代に経験した飲食店でのアルバイトでワインに触れ興味を持ち、2019年に新卒入社。卸事業部で飲食店や酒販店への営業活動を担当した後、現在は通販事業部で自社サイトの企画、制作を担当。
自宅では自分へのご褒美としてシャンパンを飲みます。外食での美味しい食事とワインにも目が無く、休日はペアリングの勉強も兼ねて楽しんでいます。
清原海
マーケティング部 企画販促課
親やお酒好きの仲間の影響で学生時代からお酒に興味を持ち、2018年に新卒入社。5年間、ショップでの勤務を経て、現在はマーケティング部でイベント関連の業務を担当。
お酒は何でも好きですが、そんな中でもワインは知れば知るほど面白く、日常を豊かにしてくれる存在です。特にワインにハマるきっかけになったサンジョヴェーゼのワインがお気に入り。
検証について
「白ワインはよく冷やす。赤ワインは冷やしすぎない」などワインには美味しく飲むための適正温度がありますが、その温度が全く違う状態で飲んだら味わいにどのような影響があるのでしょうか。
今回は同じワインを異なる三つの温度で用意。味わいにどんな違いがあるのか、検証しました。
スタッフには、同じワインだが異なる温度だと伝えた状態でテイスティングを行ってもらいます。
白ワインを検証
サンタ・クリスティーナ・ヴェルメンティーノ/サンタ・クリスティーナ
フレッシュな果実の香りと爽やかな酸味が魅力の白ワインです。
条件
5℃:(冷蔵庫で24時間以上保管)
10℃:(一般的な白ワインの適正温度に調節)
27℃:(室内で24時間以上保管)
―それぞれ違いはありましたか?
清原
香りも味わいもしっかり違いましたね!
淵岡
ですね!まず5℃は最も酸味が際立っていたなと思います。
清原
同じくです。香りで言うと、柑橘系の香りを1番メインに感じたのが5℃のワインでした。
河
僕もお二人と同じです。あとは苦みを1番強く感じましたね。
清原
それに比べると、10℃はより甘みを感じやすくなったかなっていうのと、酸味と果実味のバランスも良かったです。
淵岡
そうですね!10℃の方が果実味をより感じて、苦みも程良くなりました。
―10℃の香りはどうですか?
河
5℃より10℃の方が香りは強く、5℃のときに感じた柑橘系の香りにプラスして果実以外の香りも感じました。
清原
果実だけじゃなく花やハーブの香りも感じとれるようになりましたね。一方で27℃は、甘さを通り越して、アルコールを感じやすかったですね。
淵岡
ベタッとしている感じがしましたね。
河
ですね!重たく感じましたね。27℃は甘みを1番感じるんですが、それ以上にアルコール感が強いですね。温度が上がるほど複雑になるのかと思いきや、柑橘系の香りも10℃のときに感じた草花の香りもアルコール感が覆い隠してしまっているような印象でした。
まとめ
5℃:酸味、苦味を強く感じた。香りは柑橘系がメイン。
10℃:5℃に比べて甘みが増し、酸味と果実味のバランスが良くなり、苦みも程良くなった。柑橘系の香りに加えて、花やハーブの香りも感じ取れた。
27℃:最も甘みが強く、アルコール感も強い。草花のような繊細な香りもアルコール感が覆い隠してしまった印象。
赤ワインで検証
果実やスパイスの香りや芳醇な果実味を感じる、フルボディの赤ワイン。
条件
5℃:(冷蔵庫で24時間以上保管)
14℃:(14℃のセラーで保管、一般的な赤ワインの適正温度に近い)
27℃:(室温で24時間以上保管)
―赤ワインはどうでしたか?
清原
5℃は1番香りが穏やかで、果実の香りを強く感じました。
淵岡
そうですね。それに加えて苦みも感じやすかったですね。
河
冷めたコーヒーって温かいものと比べて苦く感じるじゃないですか。それと一緒な気がしますね。あと面白いなと思ったのが、5℃も27℃も果実の香りを感じるんですけど、同じ果実でも状態が違うというか、温度が高い方が加熱したようなフルーツの印象に変わったことですね。
清原
確かにそうですね!5℃はフレッシュなカシスやブルーベリーのような印象だったのが27℃だとジャムっぽい感じでした。
淵岡
あと27℃は、アルコールの重さを1番感じて、もったりした印象が強かったです。
―14℃はどうでしたか?
河
5℃の香りは果実中心だったのが、14℃になると、果実にプラスしてスパイスの香りがしました。香りの量もそうですけど種類も増えた印象で、確実に5℃より14℃の方が複雑さは増していますね。
清原
14℃は甘さもちょうど良く、アルコールも感じ過ぎず、バランスが良かったですね。それに比べると、27℃は甘さがかなり目立っていました。
淵岡
そうですね。甘みが強くなりすぎて、酸味と甘みのバランスが崩れている印象でした。
まとめ
5℃:フレッシュな果実の香りを感じた。苦みを最も強く感じる。
14℃:5℃に比べて酸味と果実味のバランスが良い。果実の香りに加えて、スパイスの香りも感じ取れて、複雑さが増した。
27℃:最も甘みが強い。ジャムのような状態の果実の香りを感じた。酸味と甘みのバランスが崩れている印象。
赤ワインは常温が良いってほんと?
―今回は皆さんの意見が割れることなく、一致していましたね。温度が変わると味わいに明確な違いを与えるというのがよく分かりました。
今回、室内で保管していたものを飲んでもらいました。「赤ワインは常温で」言われることが多いと思うんですが……。
河
よく言われることですが、フランスの“常温”と日本とでの違いだと思った方が良いですよね。日本は高温多湿なので。
淵岡
今日、室内で保管したワインを飲んでみて改めてそれは思いましたね!甘さやアルコール感が強くなって、本来のワインの良さが隠れていたかなと思います。
清原
室内に置いていた温度を常温とするなら高すぎると思うので、やっぱり適正温度までしっかり冷やしたほうが良いですね!
淵岡
実は私、今回の赤ワインは14℃では酸味やタンニンが感じやすいのでちょっと冷たいかなと感じていました。ただ、時間が経つとちょうど良くなったので、少し冷やした状態でも良いのかなと思いました
清原
良いと思います!ぬるい状態から自然に冷たくなることはないじゃないですか。適正温度よりも高い状態で飲み始めてしまうともう後戻りできないので、冷たい状態で飲み始めるのは良いですね。
河
以前行ったレストランで「温度変化を楽しんでください」と最初はやや低めの温度で提供してくださったソムリエさんもいました。ゆっくり料理を食べている間に温度は上がっていくのでその変化も楽しめるのも良いですね!
清原
あとは夏の時期や外で飲む場合であれば、5℃まで冷やすのもありだと思います!
河
シーンによっても変えられますね!ただ、熟成感は温度が低いと出にくいので、熟成したワインだと冷やしすぎない方が良いと思います。
淵岡
適正温度で飲めば美味しく飲めるのは間違いないと思うので、いつも同じように飲んでいるワインも温度を変えてみたら違った印象になって面白いかもですね!
まとめ
今回は参加したスタッフの意見が割れることがなく、全員が同じ印象を受けており、温度はワインに明確な違いを与えるということが分かりました。
冷やしすぎると酸味が強くなり、香りの種類も少なく感じてしまい、温度が高すぎると酸味や果実味のバランスが崩れてしまいます。また、“常温”というのも日本の気候には当てはまらないというのも実感できました。
一般的に言われている適正温度は、本来のワインのポテンシャルを引き出せるというのも今回改めて分かりました。
密接な関係にある温度と味わい。次にワインを飲むときはぜひ温度も意識してみてくださいね。
随時、皆さんからのワインにまつわる疑問や噂を募集中!エノテカスタッフが実際に検証します。
ワインのうわさを募集中!