【解消!ツレヅレハナコのワインもやもや Vol.1】結局どんな味わいが好きなのかわからない!
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お酒と食と旅を愛する文筆家・料理研究家のツレヅレハナコさん。日々、ワインもたっぷり飲んでいます。ただし、品種、産地、ヴィンテージなどが複雑に絡む独自の世界にはお手上げのよう。
心から堪能するために、ワインにまつわるもやもやをエノテカのソムリエである河に投げかけました。
酒と食と旅を愛する文筆家・料理研究家。著書にサクッと作れる&ちょっとヘルシーな酒の肴のレシピ『47歳、ゆる晩酌はじめました』(KADOKAWA)や台湾、シリア、フィンランドなど旅先で教わった料理の数々が詰まった『『おいしいトコだけ世界一周食べ歩き ハナコの書き留めた味コピ! 世界の現地ごはん帖』(光文社)などがある。ワインショップ・エノテカ 広尾本店で生まれ年のマグナムボトルと遭遇し、いつか飲みたいと夢を膨らませている。
J.S.A.ソムリエ、J.S.A.SAKE DIPLOMA。京都府出身。ワイン好きが高じて2018年にIT企業からエノテカへ転職。都内2カ所で販売職を経験後、マーケティング部にてコンテンツの作成に携わる。プライベートではワイナリーや酒蔵を巡り郷土料理とのペアリングも楽しむ。
ハナコさん
私はワインが大好きです。たぶん量だけは、かなり飲んでいるはず!でも、一度もワインの勉強をしたことがないので、自分の好みの傾向を人に伝えるのが難しくて……。
河
なるほど。普段はどのように選ばれているのでしょう?
ハナコさん
ホムパの時はショップの方やワイン通に一任しています。せっかく詳しい人がいるのなら、その日に食べるものと予算を伝えてセレクトしてもらうのがベストだと長年言い続けてきました。 ただ、このところ、自分でも選べるようになったらもっと楽しいんだろうなぁ〜と思うようになったんです。とはいえ、ワインスクールに通ってみっちりと勉強をするのもちょっと違うし……。純粋にタイプの1本を飲みたいだけなんです!!
河
では、ハナコさんの好みを探っていくところから始めてみましょうか。
ハナコさん
うーん。初回からなかなかハードルが高いですね(笑) そもそもどんな味わいに惹かれるのかが、わからないんです。エチケットに書いてある産地やブドウの品種をヒントにすればいいんでしょうけれど、知識のない私がそれをチェックしたところで味わいを想像できるはずもなく……。 口にして初めて好みかどうかを感じます。ただ、情報が頭に入らないのでそのまま流れていく。そのためにタイプの傾向が把握できないんです。
河
ご安心ください。私もソムリエになる前はハナコさんと同じでした。好みの傾向が分かれば運命の1本に出合う確率は上がりますよ。 そしてそれはビールやラーメン、チョコといったドリンクや食の好みから探ることもできそうです。
ハナコさん
なんと!そんな手法があるんですね。
河
そうなんです。ハナコさんはビールもよく飲まれるそうですね。どんなテイストがお好みでしょう?
ハナコさん
コクがあってホップの苦味を堪能できるものがいいかも。なかでもIPAに目がありません!
河
なるほど。それならハナコさんには「ふくよかでジューシー」な白ワインが合うかもしれません。
ハナコさん
え、それでわかるんですか!?
河
そうなんですよ。ハナコさんのお気に入りのビールであるIPAは、度数も高く風味がしっかりとした豊潤なタイプです。 そのような味わいがお好みであるなら、「ふくよかでジューシー」な白ワインもお口に合うのではないかと予想ができます。
ハナコさん
すごくわかりやすい!おかげでイメージが湧きました。ちなみにラーメンならとんこつ派なので、やっぱり「ふくよかでジューシー」な白ワインが好きみたい。
河
好みが一貫していますね。品種でいうとアメリカやチリのシャルドネになります。ともに温暖な環境で育ったブドウのためよく熟しているので、コクがあるんです。
ハナコさん
私はなんでもしっかりとした旨味を堪能したい方かも。
河
今回は白ワインをざっくりと「ふくよかでジューシー」「キリッとフレッシュ」「爽やかでフルーティー」の3種に分けました。好みのタイプが把握できるだけでもワイン選びはグッと簡単になると思います。
ハナコさん
これからワインを選ぶ時は「『ふくよかでジューシー』な白ワインをください」と伝えるようにしてみます。
河
ぜひ、そうしてみてください。タイプに出合う確率はアップします。 ちなみに赤ワインもよく飲みますか?
ハナコさん
飲むし、好きですよ。ただ、白に比べると少しハードルが高い印象。オーダーするときは安全牌として「軽めの赤をください」と言ってしまっています。軽めの赤なら和洋中を問わずになじんで、ずっと飲んでいられるから。
河
ハナコさんがおっしゃる「軽めの赤」というのは、「軽やかでチャーミング」に当てはまりそうですね。 代表的な品種としてピノ・ノワールがあります。イチゴやラズベリーのような香りが特徴で、渋みは控えめ。さらりとした飲み心地のため、和食とも相性が良いです。
ハナコさん
渋みをあまり感じないから、1本飲めるのか!
河
おそらく。赤ワインのどっしりとした口当たりが得意でないという方は、「軽やかでチャーミング」を選ぶといいかも。こちらも3つのタイプに分けているので、ワイン選びの参考にしてみてください。
ハナコさん
よくみなさんが「チャーミング」と表現しているのを耳にしていましたが、どういうことなのかわらなかった。だけど今回のお話でなんとなく想像できるようになりました。 なによりも、好みのビールとラーメンから導き出した答えに納得。 これからは白ワインなら「ふくよかでジューシー」な赤ワインなら「軽やかチャーミング」なものを楽しみます!
文=松岡真子 イラスト=鈴木七代
ハナココラム:取材を終えて
これまで、うすうすは感じていたワインとの距離感。本当は、もう少しワインのことを知りたい。でも、あまりに難しそうでどこから学べばよいのかもわからない!きっと、同じような状況のお酒好きさんも多いのでは?
今回、河さんからお話を聞いて目からウロコだったのが、品種や産地などをみっちり覚えることから始めるような「ワインの教科書」通りでなくても、十分ワインと仲良くなれるということ。中でも、「好きな食べものや飲みものから好みのワインがわかる」なんて……これなら私にもできるかも。そして、その結果は驚くほど当たっていました。
さっそく、私好みと知った「ふくよかでジューシー」な白ワインを用意。カリフォルニア屈指のワイナリー「ケンダル・ジャクソン」のシャルドネで、なんとあのオバマ元大統領もお気に入りに挙げた1本だとか。
一口飲んでみると、ふわりと華やかな香りにはちみつのような甘みと完熟果実のリッチな味わい。おお、まさに大好きな方向性はこれだ~!うれしい!
この味わいなら、乳製品を使ったクリーミーなおつまみとの相性がよさそう。今回は春らしく、軽いクリーム煮込み「鶏ときのこのフリカッセ」を合わせてみることにしました。
ひとつのフライパンで仕上げられて、煮こむ時間は5分ほど。気軽に作れて見栄えがするので、おもてなしにもオススメです。友人たちにもワインの好みを推測してもらい、さっそく覚えたマメ知識で盛り上がりたいなあ。
レシピ:鶏ときのこのフリカッセ
【材料 2人分】
鶏もも肉 1枚(約300g)
玉ねぎ 1個
しめじ 1パック
にんにくのみじん切り 1かけ分
小麦粉 大さじ1
白ワイン 1/2カップ
生クリーム 1/2カップ
塩 小さじ1/2
オリーブオイル 大さじ1
バター 10g
パセリのみじん切り、好みのパン 各適宜
【作り方】
1.鶏肉は大きめのひと口大に切り、塩少々(分量外)をふる。玉ねぎは薄切り、しめじは小房に分ける。
2.冷たいフライパンにオリーブオイルを敷き、鶏肉の皮目を下にして並べ入れる。表面に軽く焼き色がついたら裏返し、肉の表面が白くなったら取り出す。
3.同じフライパンを洗わずにバターとにんにくを入れ、弱火にかける。香りが出たら玉ねぎを入れて炒め、透明になったらしめじを加える。しんなりしてきたら小麦粉をふり入れて2~3分炒め、鶏肉を肉汁ごと戻し入れる。
4.白ワインを加えて、しっかり沸騰させてから塩、水1と1/2カップを入れて半分くらいの量になるまで5分ほど煮詰める。生クリームを加えて温め、器に盛りパセリを散らしてパンを添える。
文=ツレヅレハナコ 写真=福田喜一
今回のコラムのワインはこちら
ヴィントナーズ・リザーヴ・シャルドネ
白
リッチ&コンプレックス
多くのラインナップを手掛けるカリフォルニア屈指のワイナリー。完熟した果実のような濃密でリッチなシャルドネ。 詳細を見る
4.4
(159件)2023年
3,520 円
(税込)