【解消!ツレヅレハナコのワインもやもや Vol.3】ロゼワイン、オレンジワインって何?

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公開日 : 2024.6.28
更新日 : 2024.9.27
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解消!ツレヅレハナコのワインもやもや

お酒と食と旅を愛する文筆家・料理研究家のツレヅレハナコさん。日々、ワインもたっぷり飲んでいます。ただし、品種、産地、ヴィンテージなどが複雑に絡む独自の世界にはお手上げのよう。


なじみの浅いロゼワインとオレンジワインとの楽しい付き合い方をエノテカのソムリエである河に教わりました。

前回の記事はこちら

ツレヅレハナコさん
ツレヅレハナコさん

酒と食と旅を愛する文筆家・料理研究家。著書にサクッと作れる&ちょっとヘルシーな酒の肴のレシピ『47歳、ゆる晩酌はじめました』(KADOKAWA)や台湾、シリア、フィンランドなど旅先で教わった料理の数々が詰まった『おいしいトコだけ世界一周食べ歩き ハナコの書き留めた味コピ! 世界の現地ごはん帖』(光文社)、2024年5月30日には『ツレヅレハナコのからだ整え丼』(Gakken)も刊行。ほろ苦さを感じるオレンジワインに惹かれるそう。

河 獠(は りょう)
河 獠(は りょう)

J.S.A.ソムリエ、J.S.A.SAKE DIPLOMA。京都府出身。ワイン好きが高じて2018年にIT企業からエノテカへ転職。都内2カ所で販売職を経験後、マーケティング部にてコンテンツの作成に携わる。イチ推しのペアリングは餃子×ロゼワイン。

ワインもやもやVol.3
ハナコさん

ハナコさん

先生〜!前回の「Vol.2 今夜のご飯に合うワインを選べない!」で料理に合わせるワインは「色」と「食材」×「味付け」で選ぶといいと教えてくださいましたよね。その流れで新しい疑問が生まれました。

河

何でしょう?

ハナコさん

ハナコさん

ハンバーグに合わせるワインです。デミグラスソースには赤ワインだとすぐに浮かびます。じゃあ、おろしポン酢ソースにはどっちなんだろう。「ふくよかでジューシー」な白ワインなのかなぁ?

河

ハナコさん、良い質問ですね~。合わせる1本を迷ってしまったときには、赤でも白でもなく、ロゼかオレンジワインがおすすめです。

ハナコさん

ハナコさん

なんと!新しい選択肢ですか。

河

はい。赤ワインと合わせてみるとおろしポン酢のさっぱりとした風味が損なわれてしまいます。とはいえ、白ワインではジューシーなハンバーグを前にすると存在感を発揮できない。 両者のいいとこどりの特徴を持つロゼワインかオレンジワインであれば、おろしポン酢の風味とハンバーグの旨味を際立たせることができるのです。

ハナコさん

ハナコさん

そういえば、レストランで隣になったカップルが「コースを通しでいける1本が飲みたい」とリクエストしていました。その時にロゼが提供されていたんです。 ただ、正直なところ私はその理由が分からないかも。もちろん、存在は把握していて、これまでたくさん飲んでもいます。そもそもロゼとオレンジって何が違うんですか?

河

では、それぞれの基礎となる赤と白の造り方から解説しますね。まず、白ワインは白ブドウをつぶした後に皮と種を取り除いた果汁を発酵&熟成したものです。 一方で赤ワインは、黒ブドウをつぶし、皮と種を一緒に漬け込んで発酵させた後、ワインだけを抜き取って熟成させて造られます。

ハナコさん

ハナコさん

なるほど!赤ワインと白ワインの違いは、ブドウの種類と皮と種を取り除くかどうかなんですね。

ワインの造り方
※画像は簡略化しています
河

そうなんです。ロゼワインは黒ブドウをつぶした後に皮や種は取り除きます。その際に皮の色が少し付いたピンク色の果汁を発酵させるのが代表的な醸造法です。つまり、ブドウの種類が異なるだけで造り方は白ワインと同じです(※)。 可愛らしい見た目から「甘口」だと思われがちですが、国内で流通するほとんどが「辛口」なんですよ。

※ロゼワインの造り方はいくつかあり、上記の説明は「直接圧搾法」というものです。

ハナコさん

ハナコさん

ロゼはいろいろ誤解されているイメージもあります。

河

そうなんです。日本では桜の季節にフォーカスされることもあって春のイメージも強いですよね。でも、ヨーロッパではバカンスの主役として楽しまれています。しっかりと冷やして飲むだけでなく、氷を入れて楽しむこともあるんですよ。

ハナコさん

ハナコさん

あー、おいしそう!

河

それから、比較的リーズナブルな価格設定も魅力の一つです。ボトルでも1000円〜2000円台が充実しています。同じ造り手の赤や白と比べると、手の届きやすいプライスであることが多いです。

ハナコさん

ハナコさん

たしかに、あまり高価なものは見たことないかも。 ロゼと比べてオレンジはニューカマーですよね。ワインリストに「オレンジ」というカテゴリーが出てきてびっくりした記憶があります。フルーツのオレンジを絞ったワインだと思っている方もいそう。

河

そのように勘違いしてしまうネーミングですよね。 オレンジワインは白ブドウをつぶして、その果汁をブドウの皮と種とともに漬け込んで発酵した後、ワインだけを抜き取って樽に詰めます。つまり、オレンジワインは白ブドウを使って赤ワインのように造ったワインです。白ワインは果汁のみを発酵させるので基本的には透明に近い色味になります。一方でオレンジワインは一緒に発酵させた種と皮の色が果汁に移るため、オレンジ色に仕上がります。 ヨーロッパではここ20年ほどの間に脚光を浴びるようになりましたが、南コーカサスにあるジョージアでは伝統的に造られていました。

ハナコさん

ハナコさん

そんなに長い歴史がありつつも一般的になって、まだ20年くらいなんですね。

河

日本ではもっと浅いです。かつてはワイン好きの中でも知る人ぞ知る存在でしたが2010年代から始まった自然派ワインの流行とともに広がりました。 人気に火がついた理由には料理との相性の良さも挙げられます。ワインと合わせるのが難しい料理でもオレンジならマッチしやすい。例えば、和食だと麹や味噌といった発酵食品ですね。そして適度な渋みもあるのでスパイス料理ともなじみます。

ハナコさん

ハナコさん

それが不思議ですよね。和食とエスニックって対極にありそうなジャンルをカバーできるなんて。

河

そうなんです!ロゼもオレンジも白ワインのような綺麗な酸味を持ちつつ、皮に由来する赤ワインのような渋みもあります。この両者を併せ持つことこそが、ロゼワインとオレンジワインの強み。そのため幅広いジャンルの料理を引き立ててくれるんです。

ロゼワインとオレンジワインが万能な理由
ハナコさん

ハナコさん

料理を問わない万能選手か。日本の食卓や宴会のいいところって各国の料理が同居しているところですよね。持ち寄りパーティーなんてその好例で、焼売、シャルキトリー、刺身が並ぶこともあります。ジャンルがバラバラの食材にこそロゼやオレンジの出番なのかも。

河

まさに!ロゼワインとオレンジワインはそんなバラエティ豊かな料理が並ぶシーンにぴったりです。

ハナコさん

ハナコさん

ワインビギナーにとっては心強い味方ですね。次のホムパのワインはロゼとオレンジにしてみよーっと。

文=松岡真子 イラスト=鈴木七代

ハナココラム:取材を終えて

ここ10年ほどで、ぐっと飲む機会が増えた「ロゼワイン」と「オレンジワイン」。


とはいえ、白と赤とは何がどう違うワインなのか、きっちり説明できるワインビギナーは少ないのかも……?実際、周りに聞いてみると、「オレンジは赤を薄めてオレンジ果汁を入れたもの?」などの珍回答も。


私にとって、この2種は「お昼に飲みたいワイン」。どのロゼもオレンジも重すぎず軽すぎず、食事を楽しみながら爽やかに飲めるイメージがあるからです。


かわいらしいピンクやオレンジの色は甘口と思われがちですが、「国内に流通しているロゼやオレンジは、ほとんどが辛口」と聞いて納得。それなら、もっと普段の食卓への登場回数が増えてもよさそうですよね。この誤解されやすい2種こそ、正しく理解しないともったいない!


原材料や醸造方法の違いを知ったら、次は合わせるお料理。私はランチにスパイスやハーブを使ったエスニックを食べることが多いのですが、「酸味と渋みのバランスが良いロゼやオレンジは、エスニックと好相性。どんな料理にも寄り添えるのが良いところ」と教わりびっくり。おおー、これまで理由もわからず選んでいたけれど、正解だったのか。うれしい~。


そうそう。実は先日、早めの夏休みでインド旅行をしていた時のこと。以前なら、カレーには「スパイスに負けなさそうな重めの赤ワイン」を選んでいたはず。でもこの旅では、インドのワイナリーで造られたロゼをセレクト。これが本当にぴったりで、食事を共にした友人と感動しました。


今回は、ナンプラーやハーブをたっぷり使ったサラダに、少しエキゾチックな印象のチリのオレンジワインをペアリング。

爽やかな組み合わせが、やみつきのおいしさでした。蒸し暑い日のランチなどにも、ぜひお試しを!

レシピ:豚しゃぶのエスニックハーブサラダ


【材料 2人分】

 

豚肩ロース薄切り肉(しゃぶしゃぶ用) 200g

紫玉ねぎ 1/8個

きゅうり 1本

ミニトマト 10個

ミント 3g

ピーナッツ 20粒

〔ドレッシング〕

 ナンプラー 大さじ2

 砂糖 小さじ1

 にんにくのすりおろし 少々

 ライム果汁 1個分

 赤唐辛子(輪切り) 2本分


【作り方】


1.ボールにドレッシングの材料を合わせる。紫玉ねぎは薄切り、きゅうりは太めの千切り、ミニトマトは四つ割りにする。ミントはちぎり、ピーナッツは粗く刻む。


2.鍋に湯を沸かし、豚肉を一度に入れて火を止める。ほぐしながら、余熱で肉の色が変わるまで火を通してざるにあげる。


3.豚肉の粗熱が取れたら、ドレッシングのボールに入れてしっかりと和え、残りの食材をすべて加えて混ぜる。

文=ツレヅレハナコ 写真=福田喜一

今回のコラムのワインはこちら

ラ・カウザ・ナランホ
750ml

ラ・カウザ・ナランホ

  • アロマティック&フルーティー

  • 2021

    2,640

    (税込)

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