【解消!ツレヅレハナコのワインもやもや Vol.4】ラベルに何が書いてあるかわからない!
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お酒と食と旅を愛する文筆家・料理研究家のツレヅレハナコさん。日々、ワインもたっぷり飲んでいます。ただし、品種、産地、ヴィンテージなどが複雑に絡む独自の世界にはお手上げのよう。
Vol.3までで好みの味わいを言語化できるようになり、食事と合わせるコツやロゼとオレンジの万能性も知りました。そんなハナコさんの次なるもやもやは、ワインの「顔」でもあるラベルについて。エノテカのソムリエである河から情報を読み解くコツを学びます。
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酒と食と旅を愛する文筆家・料理研究家。著書にサクッと作れる&ちょっとヘルシーな酒の肴のレシピ『47歳、ゆる晩酌はじめました』(KADOKAWA)や、おばあちゃんになっても元気に楽しく飲むために腸をぐるぐる動かす惣菜を仕込んだ記録『ツレヅレハナコのからだ整え丼』(Gakken)などがあり。ワインの勉強は語学学習と近しいものがあると感じる今日この頃。
J.S.A.ソムリエ、J.S.A.SAKE DIPLOMA。京都府出身。ワイン好きが高じて2018年にIT企業からエノテカへ転職。都内2カ所で販売職を経験後、マーケティング部にてコンテンツの作成に携わる。複雑なラベルの世界を自分なりに因数分解し、知識を吸収してきた。
河
この連載もVol.4を迎えましたね。
ハナコさん
はい。先生のおかげでワイン偏差値がちょっとずつ上がってきているような気がしています。
河
それは嬉しい!では、そんなハナコさんに質問です。Vol.1「結局どんな味わいが好きなのかわからない!」で手にされた「ふくよかでジューシー」な白ワインを覚えていますか?
ハナコさん
うーんと…。サ…ン…ダルなんとかじゃなくて、ダルジャクソン?
河
惜しい!正解は「ケンダル・ジャクソン」です。
ハナコさん
あー!それだ!!
河
すみません。意地悪な質問をしちゃいましたね。
ハナコさん
そんなことないです。あー、やっぱり外国語の名前ってなかなか頭に入らない!ワインの勉強って語学学習と通ずるところがありますよね。
河
どんな点でしょうか?
ハナコさん
英語だとまず主語+動詞のように基本の5文型を学びますよね。そこから現在完了や過去完了が出現すると、途端にわからなくなるじゃないですか。これまで覚えてきたワインの種類が基本文型だとしたら、今の私にとってボトルに貼られたラベルは完了形です。何を書いているのかさっぱりで……。
河
僕もソムリエになる前はそうでしたのでご安心を。今回は大枠を掴むテクニックをお教えしますね。
ハナコさん
よろしくお願いします。
河
基本的にラベルには3Wが印字されています。「①Whenいつ(収穫年)」「②Where どこで(生産国、原産地)」「③Who 誰が(生産者)」ワインを造ったのかという内容になります。 さらにアルコール度数や内容量が記載されているのが一般的です。ただ、記載すべき情報は各国の法律によって異なるため、一律ではありません。
ハナコさん
味わいだけでなく、ラベルもバラエティ豊かなんですね。
河
そうなんです!そのためにはどうしても知識が必要となります。 親しむポイントとしてはアメリカ、チリ、オーストラリアといった国々のボトルを手にしてみるといいです。フランスなどの伝統国よりも後にワイン造りを始めているため、比較的ラベルが読みやすいんですよ。
ハナコさん
へー!なんで、それらの国はわかりやすくなっているんですか?
河
手塩に掛けた1本を海外でも浸透させるために、世界の共通言語である英語を採用しているのが一般的です。また、記載されている情報もわかりやすいものが多いです。 チリの「モンテス」で解説しますね。ラベルの下段に基本の3W「①When いつ(収穫年)」「②Where どこで(生産国、原産地)」「③Who 誰が(生産者)」が印字されています。そして最も大きい字で書かれているのが「④ワイン名」のことが多く、銘柄によっては「⑤品種」が記されています。
ハナコさん
なるほど。とはいえ、情報が盛りだくさんですね。結局、どこを見ればいいんだろう……。
河
では、ここでさらに削ぎ落としますね。味わいを読み解く最大の手がかりは「産地」と「品種」になります。
ハナコさん
やっぱり「産地」と「品種」にたどり着くのかぁ!それって覚えなきゃいけないですよね?
河
もちろん、覚えるのがベストではあります。でも、暗記しなくても好みの1本に近くづくためにラベルを活用した裏技があります。それは、おいしい1本に出会ったら写真を撮っておくことです。
ハナコさん
なんと。一気にハードルが下がりました。よかったぁ。ただ、楽しいあまりにそれすら忘れちゃっています。
河
わかります(笑)。でも、保存した画像をワインショップやレストランでソムリエに見せることで、好みの1本にまた出会う確率は上がりますよ。
ハナコさん
やっぱりソムリエさんともなると、ありとあらゆるワインが頭に入っているんですね。
河
そういうわけでもないんです!というのも、飲んだことがないものでもラベルに記載されている「産地」と「品種」によって味わいの大まかな予測ができるんです。 例えば、ハナコさんが僕に「アメリカ」で造られた「シャルドネ」のラベルを見せてくださったとします。そしたらアメリカのシャルドネは「ふくよかでジューシー」なものが豊富なため、ハナコさんのざっくりとした好みがわかります。そしてそれに近いものが提案できるんですよ。
ハナコさん
なるほど。シャッターボタンを押すのも勉強の一貫ですね。それなら私にもすぐできます。
河
その調子です!そして「産地」と「品種」の知識は飲むうちに自然と身につくので構えなくていいです。そうそう、次からは「産地」と「品種」についての基礎知識をお伝えしていきますね。
ハナコさん
ワインの場数を踏むしかないですね。
河
ちなみにボトルの裏側にあるラベルも撮影しておくといいです。さまざまな情報が記載されているので。最近はイラストだけのものも増えていますし。
ハナコさん
おいしかった思い出とセットになると呪文が日本語に変換されて、すんなりと入っていきそうです。記憶が鮮明なうちに振り返ってアップデートしてみます。そのためにも今夜も1本空けるとしますか。
文=松岡真子 イラスト=鈴木七代
ハナココラム:取材を終えて
ワインショップにズラリと並ぶボトルたち。いざ買おうと売り場を回ったところで、結局は白か赤かロゼか。最終的にはラベルのデザインの好み……というか、ただの勘だけで選んでしまい、「なんか違った」となってしまう。そんな悩めるお仲間、いませんかー?
レストランであれば「こちらは〇〇で造られたワインで、こんな味と香りで品種は~」とサービスの方が詳しく説明してくれることがほとんど。知らないなりにイメージをフル動員して、好みに近いワインを選ぶことができます。もちろんショップだって、店員さんに聞けば教えてくれるのだろうけれど、自分からは聞きづらい。
「自分で判断できたらいいのに」とは思うのですが、ラベルのどこにどんな情報が書いてあるのかさえもあやふや。そもそもフランス語やイタリア語だし!……と投げだしそうになったところに、今回も河先生の超実践的な教えがありました。
まずは「3W+ワイン名+品種」。これを見つけるだけでも、かなりの情報が整理されます。そして、伝統国以外の英語表記ワインで練習するというのも目からウロコ。実は、その後ショップへ行くたび、こっそり自主練していたりして。
そして、これまでワインボトルの写真を撮ったり撮らなかったりしていたけど、これが大事なことだったなんて、おどろき。店員さんに写真を見せると似たワインをセレクトしてくれるのは、ラベルにあるワインの特徴を読み解いているからなのですね。まさに情報の宝庫!うーん、私も知った情報を活用できるようになりたいなあ(次回の授業、乞うご期待)。
今回は産地×品種の情報がラベルに書かれていたフランス・アルザス地方のリースリングをセレクト。爽やかな酸味で和食などの繊細な味わいにぴったりだそう。暑い季節にもうれしい、あっさり出汁びたし。とどうぞ
レシピ:青菜とわかめのあさり出汁おひたし
【材料 2人分】
あさり 20個
酒 1/4カップ
小松菜 2株
パプリカ 1/4個
生わかめ 100g
Aだし汁 2と1/2カップ
Aみりん 大さじ2
A薄口しょうゆ 大さじ1
A塩 小さじ1/2
いりごま 小さじ1
1.鍋に砂抜きしたあさり、日本酒を入れてふたをし、中火にかける。殻が開いたら粗熱を取り、殻から身をはずす。煮汁はとっておく。
2.小松菜は塩ゆでして3㎝長さに切る。パプリカは5㎜幅の細切り、わかめは食べやすく切る。
3.煮汁にAを加えてあさりの身、小松菜、パプリカ、わかめをひたす。器に盛り、ごまを散らす。
文=ツレヅレハナコ 写真=福田喜一