奇怪な用語が飛び交うワインテイスティング。フルーツや花ならまだしも、スパイスに、ミネラル、焦げ香??しまいには動物臭?!ですが、これにはきちんと意味があるのです。ソムリエ目線で、毎回難解なテイスティング用語や表現などを解明!
あなたもイメージを膨らませてテイスティングに挑戦してみてはいかがでしょうか。
新たな注目産地は毎年のように誕生しています。食材に旬、料理に季節があるように、ワインにも季節感があり、それを注視しています。本サイトでもよく「夏ワイン」という特集が組まれていますが、四季折々のワインがあります。
しかし、これは明確に決められているものではありません。ワインの特徴、その生産地の郷土料理や名産品の旬に合わせて考えられるものです。エノテカ・オンラインの「ペアリングレッスン vol.2」で詳しく取り上げていますので、ぜひ読んでみてください。
私はかなりこの季節感にこだわっていて、お客様にお勧めする時も、ペアリングを考える時も季節が違っているワインは除外していました。どこか違和感を覚えてしまうのです。もちろん、すべての人が季節感を気にしているわけではありません。飲みたいワイン、好きなワインはいつ飲んでもよいものです。
しかし、近年はワインのスタイルが変わっていっています。
爽やかなワインといえば青々しいフレーバーのサンセール、それは昔の話です。現在はトロピカルフルーツのようなよく熟したものや、ミネラル感が主体の深みのあるものとなっています。秋、冬に楽しんでもなんの違和感もありません。
アルプスの麓、ピエモンテは私にとって晩秋から冬のワインです。ポルチーニ、白トリュフは非常に有名ですし、大変ポピュラーな郷土料理、バーニャ・カウダ(日本では年中メニューに載っていますが)、ボッリート・ミスト(様々な肉と野菜の煮込み)は冬の料理です。
ピエモンテ名産のチーズ、ゴルゴンゾーラ、タレッジョ、カステルマーニョもいずれも冬。そしてジビエのパートナー、ネッビオーロによる赤ワイン。これほどまでに冬の要素が揃った地域は他には滅多にありません。そんなワインを夏にお勧めすることなどできるでしょうか。
Brightなバローロ
Cavalotto Baloro Bricco Boschi 2013は、鮮やかで艶やかなルビー・ガーネット。フレグラント、ピュア、かつディープな香りはラズベリー、スミレを伴い、華やかな印象です。
加えて、タバコやチャコール、ドライ・ビーフ、さらにはチェリーブランデーと多層的で、濃縮感あり、見事にインテグレート(まとまりがある)されています。味わいはしなやかでマイルドな口当たり、ほどよい厚み、酸味・アルコール・タンニンのハイレベルな構成(ストラクチャー)、後半には収斂性があり、密度の高い渋みが旨みを伴い、フィニッシュとなります。
バローロといえば熟成感が形容詞ですが、このワインは色が鮮やかで若々しさ、そして香りの華やかさが前面に出ています。非常に伝統のあるワイナリーですが、新世代により伝統と現代性が巧みに調和した個性を表現しています。
“Bright”「明るい、輝かしい」といった意味あいです、ワインでは大変ポジティヴな表現として好んで使うテイスターも少なくありません。明朗、快活、艶、燦々とした、独創性に富む、といった意味も含みます。このワインにまさに相応しい表現ではないでしょうか。
このBrightなバローロであれば、初秋に楽しむのもよいでしょう。
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優れた自社畑と創業当時と変わらぬ製法を引き継ぎ、家族経営を貫き続ける生産者カヴァロットが生み出す、長熟タイプをブリッコ・ボスキスのブドウを使用したキュヴェ。複雑で芳醇な香りに、飲み応えがありながらも良くまとまっている、クラシカルなスタイル魅力です。
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