テイスティングが楽しいと感じられるようになったなら、もうワンステップ上達するコツをつかんでみましょう。
特に後半では白ワインに見つかりやすい香りを紹介します。
赤ワイン編はこちら
香りをメモしよう
なぜ香りをメモするのでしょう。理由は二つあります。
一つは自分の記憶のためです。「甘い香りがした」「カシスとコーヒーの香りがした」とその瞬間思っていても、メモしておかないと忘れてしまうからです。逆にメモに残しておけば、何ヶ月か経っても見返せばすぐに思い出すことができるでしょう。
そしてもう一つの理由は、メモを続けることで、表現が蓄積され、ワインの特徴を人に伝えることができるようになるからです。
例えばショップやレストランで「(以前飲んで美味しかった)カシスやコーヒーの香りがするワインを探している」などソムリエに伝えることができれば、自分の好みのワインにスムーズにたどり着けるからです。
本格的なテイスティングノートを用意しなくても、最近では香りを簡単にメモできる無料アプリも出ているので上手く利用してみてください。
香りを探す順番を決めておく
香りを探すのに慣れてくると、これまで以上にワインを飲むのも楽しくなるもなるものです。このとき、香りを探す順番を決めておくことをおすすめします。例えば「果物⇒花⇒植物⇒スパイス⇒その他」といった具合です。
前回の「赤ワイン編」 でも触れたように、果物の香りは最も大切です。それらを探し漏れないようにするためにも、ルーチン化しておくと良いでしょう。
ワイングラスに鼻を近づけてヴァニラの香りがしたから、「ヴァニラ」とノートにつけるのではなく、まずは果物を探すと予め決めておいて、それから香りを探すのに専念するという具合です。
これはスポーツのフォームと似ているかもしれません。いつもその順番を意識しておくとで、自然と香りが探せるようになるようになっていくのです。
まずは果物の香りを探そう
赤ワイン同様、慣れるまでは柑橘、木なり果物、有核果実、トロピカルフルーツといった具合におおざっぱに果物の香りが分かればいいでしょう。
ここでポイントなのは「柑橘⇒木なり果物⇒有核果実⇒トロピカルフルーツ」と、酸度の高い果物から甘い果物へ並んでいることを知ることです。
柑橘のような香りがするワインは、熟度の低いブドウを使っていること、すなわち冷涼産地で造られたことが推測できます。
逆にトロピカルフルーツのような甘美な香りがする場合は、熟度の高いブドウ、すなわち温暖産地で造られたことが分析できるのです。
+αでステップアップ!果物の状態にも注目
果物を探すのに慣れてきたら、今度はその状態にも注目してみましょう。例えば同じ果物でも「フレッシュな」「柔らかくなった」「コンポートした」「ジャムにした」といった状態があるのです。
フレッシュな桃と、コンポートした桃を想像してみてください。どちらが甘そうですか?
答えは明白ですね。フレッシュな桃なら熟度の高くないブドウから、コンポートした桃なら熟度の高いブドウから造られている可能性があります。
このように果物の状態まで気に掛けることで、より細かに香りを表現し、分析することもできるようになるのです。
花の香り
赤ワインではスミレ、牡丹といった花弁の赤い花が見つかりやすいもの。しかし白ワインでは白い花びらの花が見つかるでしょう。
例えば、「菩提樹」「スイカズラ」「アカシア」「白バラ」です。これらはテルペンという香り成分に由来しており、リースリング、ミュスカ、トロンテス、ゲヴュルツトラミネールに感じやすい香りです。
ゲヴュルツトラミネールはリースリングの10倍のテルペンを含んでおり、特にはっきりとした「白バラ」が香ります。
植物の香り
「ミント」「ヴェルヴェーヌ」「草」といったグリーンを彷彿させる香りも見つかるかもしれません。これらはピラジンという香り成分に由来しています。
ピラジンを含む代表選手がソーヴィニヨン・ブランです。清涼感を伴うので、すっきりしたいときには嬉しい香りです。
スパイスの香り
「コリアンダー」はパクチーの種で、割ると柑橘に似た爽やかさがあります。軽めの白ワイン全般に見つかりやすい香りです。
ときには「白胡椒」のような鼻腔をさすような刺激を伴うような香りが見つかることもあるでしょう。
その代表例がグリューナー・フェルトリーナーという白ブドウ品種です。この品種には赤ワイン編でも紹介したロタンドンを含んでいることが報告されています。
その他の香り
「ヴァニラ」「アーモンド」「トースト」の香りは柔らかく優しく、万人受けしやすい香りです。これらは白ワインをオーク樽で寝かしたときに、現れる香り。
特におろしたての樽(新樽)を使うとヴァニラが豊かに香ります。ワインに親しみやすさをもたらすだけでなく、香りに深みを与えています。
まとめ
香りには形も色もありません。
香りを覚えるためには、自分の言葉で普段から名詞化しておく必要があります。上記に紹介した表現は一般的に使われる用語のほんの一部です。
これらを参考にして、自分の言葉で自由に置き換えてみてください。ワインを言葉にできるようになると、もっとワインを飲みたくなり、人と魅力を共感したくなることでしょう。
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