ワインとアート。それは切っても切れない関係と言っても過言ではないでしょう。歴史上の名だたる芸術家がこれまでワインやシャンパーニュを愛飲し、数多くの作品や物語にも登場しています。
そんな中、ワインを通じてアートを感じられるものの一つに「アートラベル」があります。美しい絵や個性的なモチーフのラベルは、ワインの味わいとはまた違った魅力で飲む者を魅了しています。
今回はそんなアートラベルに彩られたプレミアムワインたちをご紹介します。
アートラベルとは?
ワインボトルに貼られたシールのことを英語ではラベル、フランス語ではエチケットと呼びます。
このラベルにはワインについての情報が表記されており、国やワイン法にもよりますが主に以下のことが書かれています。
・ワインの名前
・生産者名
・生産地
・生産年
・アルコール度数
・容量
これらの情報に加え、ラベルあるいはボトルそのものに、美しい絵や文字、彫刻などがあしらわれたものを、「アートラベル」と呼びます。
著名な芸術家が描くものから、歴史やエピソードがアートとして表現されているものなど種類は様々。ワインによっては毎年ラベルが異なるものもあり、味わいだけでなくラベルからもワイン好きの心をくすぐっているのです。
シャトー・ムートン・ロスチャイルド
最も知名度が高いアートラベルと言えば、メドック格付け第1級「シャトー・ムートン・ロスチャイルド」ではないでしょうか。
1945年以降、毎年異なるラベルは、過去にミロやシャガール、ピカソにダリなど、名だたる芸術家たちがラベルを描いたことで知られています。何を描くかは芸術家たちに委ねられていますが、「ブドウ」や「ワインを飲む喜び」、あるいはシャトー・ムートン・ロスチャイルドのもモチーフでもある「羊」が描かれているラベルが多く見られます。
左)画・堂本尚郎
右)画・セツコ・クロソフスカ=ド=ローラ(出田 節子)
過去には日本人画家がラベルを描いたことも。1979年ヴィンテージは京都出身の西洋画家、堂本尚郎氏が。1991年ヴィンテージはセツコ・クロソフスカ=ド=ローラ(出田 節子)さんが手掛けています。
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ペリエ・ジュエ ベル エポック
1811年の創業の老舗シャンパーニュ・メゾン、「ペリエ・ジュエ」。彼らのフラッグシップキュヴェ「ベル エポック」は美しいアネモネの花が描かれていることで有名です。シャルドネ主体の洗練された味わいに加え、その見た目の美しさも相まって、お祝いの場を彩るシャンパンとして世界中の人々を魅了しています。
この美しいデザインの歴史は1902年まで遡ります。当時、花や植物をモチーフに曲線を組み合わせた新しい芸術としてアールヌーボー流行していました。
3代目の社長であったアンリ・ガリスは、アールヌーボーの巨匠エミール・ガレに出会いボトルデザインを依頼します。ガレは、自宅の広大な庭に数百種類もの日本の植物を植えていましたが、その畑が育てた植物の一つが「秋明菊(シュウメイギク)」で日本産のアネモネです。
白い秋明菊(シュウメイギク)
日本の芸術に深く感銘を受けていたガレは、エレガントで生命力溢れる秋明菊がお気に入りでした。ガレがベル・エポックに描いた白いアネモネは、実はこの秋明菊なのです。こうして日本の白いアネモネをモチーフにしたその美しいボトルが誕生しました。
しかしその後、第一次世界大戦の混乱を迎え長い眠りについていたそのボトルは、1964年に当時のセラーマスターであるアンドレ・パブレ氏によって発見され、シャルドネを主体としたプレステージ・キュヴェとして復活。
それ以来イギリスのヴィクトリア女王をはじめ、フランス皇帝ナポレオン3世、ベルギー王室など各国の王侯貴族やグレース・ケリーをはじめとする世界中のセレブリティ達を魅了し続けているのです。
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モンテス フォリー・シラー
圧倒的凝縮感とパワフルな味わいを誇り、チリ産シラーのトップと名高い「フォリー・シラー」。チリのトップワイナリー「モンテス」が、コルチャグア・ヴァレーの最も標高の高い、傾斜45度もある畑で栽培されたシラーで造るワインです。
近隣の人たちに「これまで誰も耕したことのない断崖絶壁の畑でシラーを育てるなど馬鹿げている(フォリー)」と言われたことが、ワインの名前の由来になっています。
そんなフォリー・シラーのアートラベルに描かれているのは、イギリスの有名イラストレーター、ラルフ・ステッドマン氏による風景画と天使の絵。毎年変わるラベルには、チリのアタカマ砂漠が描かれ、砂漠の持つ厳しさと美しさが表現されています。
アタカマ砂漠
一度飲んだら忘れられないような印象的な味わいもさることながら、ラルフ・ステッドマン氏の描く個性溢れるアートもこのワインの魅力の一つなのです。
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まとめ
そのワインの特徴や歴史、生産者の想いが表現されたアートラベル。
ラベルをじっくり眺めながら飲むと、そのワインの奥深さを知ることができるかもしれません。ワインとアートが織りなす、奥深き世界へ足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。