日に日に風が心地良く涼しさを感じる、過ごしやすい季節になりました。朝晩の冷え込みとともに、日没も早まり、少しだけ切なさを感じる秋。
ワインもしっとりゆっくり楽しみたい!飲みごたえのあるワインが恋しくなる季節です。
そんな秋は、ジビエのシーズンでもあります。グルメ好きさんなら、ジビエにもやっぱりワインが外せないことでしょう。
今回はジビエ料理とワインの入門編をご紹介します。ジビエにピッタリなワインを合わせて、秋ならではのペアリングを楽しんでみませんか?
目次
ジビエとは?
「ジビエ(gibier)」はフランス語で、狩猟で得た天然の野生鳥獣の食肉を意味しています。例えばシカ、イノシシ、ウサギ、カモ、クマ、ハト、ウズラなど、その動物の種類は多彩です。
ジビエの食文化は、ヨーロッパ、中でもフランスにおいて長い歴史の中で発展してきました。もともとは、上流階級の貴族の口にしか入らない、とても貴重な存在。高貴で高級な食材として重宝され、特別な料理として愛されてきました。
秋から冬にかけてのジビエは、旬素材の代名詞の一つになっています。これは、野生の鳥獣は冬に備えて体に栄養を蓄えるため、肉質が非常に良い状態になるからです。
特に日本では、11月15日~2月15日まで狩猟が解禁となることもあり、この期間がジビエのシーズンとなります。
ペアリングのポイント
ジビエは赤身のお肉。「お肉には赤、魚には白」や、お肉の色とワインを合わせる「色合わせ」のセオリーなど、いくつかある簡単なペアリングの方法で考えても、基本は赤ワインの定説が当てはまることになります。
ジビエは独特の野性的な風味があり、ワインも同様に野性的な香りがある赤ワインが合います。ここでは更に細かいポイントを探ってみましょう。
①肉質とワインのボディを合わせる
同じ赤身のお肉においても、品種や部位により、質感や食べ応えに違いがあります。柔らかな肉質やタンパクな味わいの物には軽めボディのワインを。
逆に、食感も食べ応えもしっかりとした、いわゆる「肉肉しい」ものにはフルボディのワインを合せます。
②肉の脂分とワインのタンニンを合わせる
続いては脂分。厚めについているか?細くサシとして入っているか?脂の余韻はどうか?に注目します。
口の中に長く残る脂は、タンニンが味わいを中和させ、余韻を心地良くしてくれます。脂分の重さと、ワインのタンニンの比重に合せるのもポイントです。
③ソースの味わいに合わせる
コトコト煮込んだもの、グリルで香ばしさをつけたもの、シンプルに肉そのものを味わう料理、ソースとの調和を楽しむ料理では、同じジビエでも楽しみ方が変わります。
調理法やソースを変えることで、合わせるタイプを自由に変えられるのもワインの魅力。
ここでは、スパイスや果実味、香ばしさなど、味わいや香りの似た要素を合せる「同調のペアリング」を意識するとスムーズに合せることができます。
シカ肉とスパイシーな赤ワイン
フレンチ・イタリアン・和食と、幅広いジャンルで使われているシカ肉。見た目も味わいも牛肉の赤身に近く、やや淡白で、ローストや煮込みなど様々な調理方法で楽しまれています。
合せるワインは、シラーなどスパイス感のある赤ワイン。野性味のある風味とスパイスのニュアンスがガツッと組み合い、噛みしめるほどに力強さと溢れる旨みに酔いしれます。
料理はコトコト煮込んで柔らかに仕上げるより、ローストやグリルなど、シンプルな味付けで食べ応えある料理の方が好相性です。
ピノタージュ・シラーズ / レオパーズ・リープ
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イノシシ肉と華やかロゼワイン
豚肉によく似た味わいのイノシシ肉。豚肉よりコクがあり、日本ではぼたん鍋などで親しまれています。
イノシシ肉に合せるワインは、タンニンしっかりめの赤ワインが人気ですが、ドライタイプのロゼワインもおすすめです。
イノシシ肉の甘く軽やかな脂との相性も良く、フルーティーでエレガントなアロマが絶妙に融合。ロゼワインの華やかな香りも引き立ち、上品なペアリングを楽しめます。
柔らか煮込みから、食感しっかりソテーまで、幅広い料理に寄り添ってくれるロゼワイン。料理のポイントは、味付けや調理法より、風味です。香りのインパクトが強い料理の場合は、ワインも繊細すぎないしっかりタイプを選びます。
ロゼ・デル・ボッロ / イル・ボッロ
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鴨肉とピノ・ノワール
鴨はフレンチやイタリアンのほか、鴨南蛮や鴨せいろなど、和食でもなじみ深い食材。ジビエとはちょっと縁遠い印象のある方でも、比較的身近に感じられると思います。
合せるワインは、フレッシュな果実味の赤ワイン。滑らかなタンニンと柔らかな酸が魅力のピノ・ノワールは、特によく合います。鴨肉とピノ・ノワールの、ちょっと鉄っぽいニュアンスが綺麗に同調してくれます。
お料理のイチオシは、オレンジなど柑橘系の爽やかなソースを使ったもの。ピノ・ノワールの果実味と酸味が鮮やかに引き合い、まさに王道のペアリングを堪能できます。
ブルゴーニュ・ピノ・ノワール / オリヴィエ・ルフレーヴ
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まとめ
ソースとの調和を楽しむ元祖フレンチと、シンプルに素材を味わう和食。ジビエの魅力に多角的に愉しめる秋がはじまります。
この秋はぜひ、ジビエとワインの秋ペアリングを味わってみてください。