奇怪な用語が飛び交うワインテイスティング。フルーツや花ならまだしも、スパイスに、ミネラル、焦げ香??しまいには動物臭?!ですが、これにはきちんと意味があるのです。ソムリエ目線で、毎回難解なテイスティング用語や表現などを解明!
あなたもイメージを膨らませてテイスティングに挑戦してみてはいかがでしょうか。
6月、渡仏の乗り継ぎ地となったフランクフルト空港のカフェでいたってシンプルなベーグルサンド2つと小瓶のビールを3人で頼むと会計は50数ユーロ(7000円超)。
為替に関わらず、世界では物価上昇が続いています。その波はもちろんワイン業界にも押し寄せており、毎月のように価格改定の知らせが届きます。
1990年代、奮発すれば楽しむことができたワインはもはや夢のまた夢。アルマン・ルソーのシャンベルタン1985を20代の若造ソムリエがお勧めしていた時代があったとは、もはや前世での出来ことのようです。
かつて「グランヴァン」と称されたワインは、ごく一部の富裕層のものになり、はたまた投機目的で転売を繰り返し、世界を周り続ける。決してグラスに注がれる日の目をみることはなく。
「オルタネイティヴ」近年よく聞かれるようになった言葉です。手が届く価格の、それでいてその素晴らしさを十分に堪能できるワインに注目してゆこう、というものです。Covid-19もその流れを作った立役者です。
どんな富裕層でも、どんなワイン愛好家でも、家で家族とグランヴァンを毎晩開ける人はそうはいません。レストランもクローズ。高価格帯のワインの動きが著しく鈍化しました。
それによって伸長したのが、それまで「セカンドライン」「カジュアルレンジ」と呼ばれていた価格帯のワインです。
そこでポジティブな転換が生まれ始めます。
ブルゴーニュでは生産者のフラッグシップといえばグラン・クリュ。ジェネリック(ACブルゴーニュ)は付録のような印象がありました。ある筆頭メゾンでは最も注意を払い、力を注ぐのはそのジェネリックだといいます。
「グラン・クリュは間違えさえ起こさなければ素晴らしいワインとなる。一方で、畑や買い付け先を吟味し、適切な醸造、熟成、ブレンドをすることでメゾンのフラッグシップの位置付けとなるワインがブルゴーニュ・ブランであり、ルージュである」。
つまりシャンパーニュの考え方です。プレステージはあくまでも別格。メゾンのスタイルを表すのはブリュット ノン・ヴィンテージ。それは継続可能なビジネスのためであり、ワインを食卓で味わうという本質的なメッセージともいえます。
テヌータ・サン・グイド グイダベルト 2020は深く濃いダークレッドで縁にかけてグラデーションがみえます。クリーンでピュア、艶があり、率直。
サワーチェリー、野生木イチゴなどの果実、カカオ、コーヒー豆といった見事にインテグレートされた木樽からの香り。ベーキングスパイスの豊富なニュアンス(クミン、ターメリック、フェヌグリークなど)。
さらに森の下草、タバコのような土っぽさが発展的な印象を与えます。味わいは生き生きとして、ふくよか、アルコールの強さがあり、噛めるような果実味の食感、ボディをリフトする酸味が味わい全体にテンションと余韻の長さをもたらします。繊細なタンニンがカカオの香りを伴ったフィニッシュをリフレッシュします。
テヌータ・サン・グイドといえばサッシカイア。これからはこのグイダベルトがメゾンのフラッグシップと呼べるのではないでしょうか。
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元祖スーパータスカンの生産者として圧倒的な存在感を放ち続けているテヌータ・サン・グイドが造る、「早くから飲めるサッシカイア」というコンセプトのワイン。2000年にリリースされて以来、旨味がたっぷり詰まった味わいで多くのワイン愛好家を魅了しています。
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